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大変に見えるかもしれないが幸せだ!


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記者:ひまわり(ライティング・ゼミ集中コース)
 
 
「大変だね」
知り合って間がない人が私の境遇を知って発する第一声だ。
 
私は、20歳の時に2年付き合っていた人の子を妊娠し、結婚。
21歳で男の子を出産。
23歳の時に2人目の男の子を出産。
26歳で離婚した。
今は、12歳になる長男と9歳になった次男と親子3人暮らしをしている。
 
離婚の原因は旦那の借金だ。
ギャンブルが好きでパチンコやスロットにお金をつぎ込み、自分が遊ぶことしか考えていなかった。
借金があることがわかったのは、2人目を妊娠中の時だった。
 
「はじめての~♪ 」とCMでよく聞く消費者金融名でハガキが届いた。
借入額が記載された督促状だ。
そんな多い額ではなかったが、旦那が隠れて借金を作っていたという事実がものすごいショックで胸がキューっと締め付けられる思いだった。
気づいたら涙が流れていた。
これからどうするべきか。
そんな旦那の財布を見ると他社の消費者金融にいくつも手を出していた。
総額で180万ほど。
両家の親も交えて話し合い、一先ず借金全額を金利が安い金融機関から借り入れ、借金をこれ以上増やしていかないように返済していく方針で固まった。
 
その後、無事に2人目が生まれたが旦那とはケンカばかりだった。
旦那が実家に帰ることが多くなり、お金がなければ家に帰ってくるがケンカを吹っかけてきてふて寝する。
私のストレスがたまる。
いない方がマシだ。
 
一番大変だったのは、お風呂の時間。
首が座っていない赤ん坊と3歳児、そして自分。
今思い返してもどうやってお風呂に入れていただろう。
次男が寝ている間に上の子をお風呂に入れ、自分もものすごいスピードではいる。
しかし、そうタイミングよく寝てくれる時ばかりではない。
湯冷めして風邪をひかせないようにと毎日、試行錯誤して髪を振り乱しながら育児をしていた。
このまま離婚しようと考えたが、会社員勤めの私が仕事復帰できるのは2年後だ。
次男が2歳になるまで我慢しようと心に決めた。
 
我慢に我慢を重ね、旦那のご機嫌をとりながら、待ちに待った2年がたった。
旦那の様子からまた借金をしているだろうと思っていた。
 
こういう期待は裏切らない。
なんと2年で240万!
あの時よりも多い額ではないか!
 
しかし、あの時とは明らかに違うのは私の心境だ。
240万と聞いて「はっはっはっ」と笑ってしまった。
人は予想を上回ると笑うことができてしまうようだ。
あの時、40万円の借金を見て泣いていた私は、もういない。
 
3ヶ月後には離婚を成立させた。
 
離婚が成立するまでの間、信用できない旦那が何をするかわからなかったので、台所にある凶器となるものは全て隠して寝ていた。
そんな緊張からも解放されやっとゆっくり寝ることができたが、心配だったのは子供たちだ。
 
当時5歳の長男と2歳の次男。
長男は旦那が大好きだった。
よく家出する旦那だったので、いなくても特になにも思わないかもしれないが、
パパは?
と聞く長男に
仕事が忙しくてこれからしばらく会うことできなくなるよとだけ伝えた。
 
しかし、私は間違っていた。
子供はとても敏感だ。
子供たちは保育園に通っていたが、長男は何かを察知したかのように様子がおかしくなった。
画用紙に絵を描く授業では、黒のクレヨンで画用紙を塗りつぶすように描いていた。
そして、長男が先生こういった。
「ママは俺になにか隠してる」
 
わずか5歳にして一人称が俺という長男は、私には何も言わない。
気を使っているのかもしれない。
しかし、この言葉を聞いて長男は私に対して不信感を抱いているように感じた。
このままではいけない。
直感でそう感じた私は、長男が理解できる言い回しに変えて離婚したこと、今までのように会うことができないこと、だからといって長男のお父さんであることには変わりがないことを伝えた。
 
それから数日後、先生から最近の長男は安定しているよと教えてくれた。
離れていてもパパは俺のパパだから。
と言っていたそうだ。
5歳だろうがちゃんと向き合って話をしないといけないことを学んだ。
 
そして長男が教室の内線電話をみて先生に
あの電話でパパに連絡できる?
と聞いたそうだ。
パパ大好きだから連絡とりたいのかな。
私には言いづらいから先生に聞いたのかな。
 
私が長男に対して真摯に向き合わずにいた代償だろう。
そんな風に思っていた私だったが、その後に先生が発した言葉は予想していなかった言葉だった。
 
パパがいないからママが大変そう
と。
保育園で人目をはばからず泣いてしまった。
 
長男も大好きなパパに会えなくて寂しいはずなのに、悲しいはずなのに……
私が子供を心配するように子供も私のことを心配してくれていたのかと。
子供はちゃんと見てくれていた。
シングルマザーで2人の子育ては、はたから見たら大変だと感じられるかもしれない。
しかし、なにもしない旦那はいないし、ほとんど自分のことは自分でできるようになった息子たちなので、あの頃に比べたら大変と感じない。
大変という感覚が麻痺しているのかもしれないが……
今の方が断然幸せだ。
 
 
 
 
***

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2021-05-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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