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「第一印象が大切」は、本当なのだろうか。


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:
 
 
記事:Shota Hitomi(ライティング・ゼミ平日コース)
 
友達とはいいもんだ。
 
特に仲良しグループは思い出話に華が咲く。あの時こんなことがあった、あれはお前が悪いと、生産性もなくあーだこーだと答え合わせをしている時が、実はすごく幸せだったりする。
 
あなたには仲のいいグループはあるだろうか?
 
僕にはある。
通称「けんしゅーりょこー」と呼ばれるグループが。
 
大学3回生で出会ったから、かれこれ7年くらいの付き合いになるだろうか。コロナ禍もあって長らくオフラインで集まれてはいないが、社会人になった今でも度々食事や遊びに出かける程、なんやかんや仲が良い。
 
つい先日もみんなで集まってzoomミーティングを行った。しょうもない昔話やボケツッコミなど、基本的に他愛もない話で盛り上がる僕らだが、時折ちょっぴり頭を使う議題が上がる。それは今回も訪れた。終盤になってメンバーの一人が持ち出した「俺たち、よくここまで仲良くなれたよな」である。
 
食事したり、昔話で盛り上がったり。それが7年続いている……。
当たり前のこととは思わないが、かと言って特段珍しいことでもない気はする。
 
期間や接し方に珍しさがあるわけではない。その経緯にある。
なぜなら、僕たちの第一印象は、今でも忘れられないほど「最悪」だったから。
 

 
時は2014年。京都の人材教育系NPOが企画する、企業と学生が一緒になって活動するプロジェクトがあった。そのプロジェクトは関東のNPOと共同して開催されるとのことで、関東の学生と一緒になって京都の中小企業を訪問し、お互いの学びや考え方を共有し合うといった内容。「研修旅行」と名付けられたそのプロジェクト内で、関東の学生たちをコーディネートする立場として招集されたのが、僕たち4人だった。
 
しかし、その組み合わせに問題があった。一人は、眼光鋭い金髪ヤンキー。また一人は、まるで勤続15年の哀愁すら漂うお父さん系男子。また一人は、眉一つ動かないポーカーフェイス美少女。そして、ニコニコ愛想笑いでへつらう、つかみどころのない僕。
 
「こいつは合わん!」おそらく全員瞬時にそう察したであろう。正直な話、他所で会っていれば声すらかけなかった自信がする。それほど顕著にベクトルの違う4人が、集まっていた。だが、そんな4人に唯一共通する「極度の人見知り」という性質が、追い打ちをかけた。
 
週に一度行われたミーティングではロクに意見が出ず、ズルズルと平行線をたどる。終わって食事に行くことはあっても、誰も本音を見せようとはしない。5回、6回と回を重ねても一向に仲が深まる様子は見られなかった。
 
そんな心のソーシャルディスタンスが埋まらないまま、1ヶ月2ヶ月と時は経過し、とうとう研修旅行当日を迎えた。
 
コーディネーターである僕たちの朝は、午前5時から始まる。
まず、関東の学生たちが寝泊まりしている宿舎に向かう。バスに乗ったら訪問先企業のレジュメを配布し、企業の説明をする。到着し見学が始まれば、事前に調べておいた情報を補足して解説。彼女たちの食事の際には、翌日の予定を口頭で伝え、場合によっては朝一で使う切符を手渡す。また、研修旅行中、社長さんを含めて全員で居酒屋に行ったこともあった。そんな時は関東の学生や社長さんの席を配置したり、お酌をする。
慌ただしい一日を終えると、次はコーディネーターだけで集まり、その日の反省会と翌日の確認を兼ねたミーティングを夜中まで行った。
 
ハッキリ言って多忙だった。めちゃくちゃ大変だった。当然メンバー間での協力が必要不可欠となり、自然と僕らは助け合い、思い合った。そのお陰だろうか、僕たち4人の仲は、研修旅行を通して見違えるほど良くなっていった。お互いの腹を探り合って、睨み合っていた僕らが、旅行後には揃って笑顔で写真を撮っている。
 
それから僕たちの仲はさらに良くなった。恋愛の話で盛り上がったり、カラオケやビリヤードでオールしたり。それまでの関係がまるで嘘かのように楽しい時間を共に過ごした。
 
今だからこそ言えるが、きっと僕らの相性は良かった。通じ合うポイントはいくつもあったが、「人見知り」や「第一印象」という霧に覆われて見えなかったのだ。霧を払い、仲良くなるための「何か」が足りなかっただけ。
 
「一緒に一つのことを成し遂げる」僕たちにとっての「何か」は、それだった。
 
「人は見た目が9割」なんて言葉を耳にするくらい、第一印象の重要性は日々問われ続けている。実際、心理学の世界でもその重要性は証明されているし、ましてや大人になればなるほど関わる人の幅は狭まりやすく、深く人と向き合うことも少なくなる。そうするとますます第一印象が重視されてしまうということは理解できる。しかし、結局それはその人の一面でしかない。何が好きで、何が自分と合うのか、その人の本質は時間や手間をかけてやっと気付けるはずだ。
 
恐れ合い、「最悪だ」と遠ざけあっていた僕らが、今ではともに笑い合っている。こんな未来、出会った頃には想像すらしていなかった。でも、これは決して僕たちが特別だったからではない。僕たちに必要な「何か」を経験し、あるはずの未来をたぐり寄せただけだ。
 
だれでも一度や二度くらいは第一印象やパッと見で遠ざけてしまった経験があるだろう。ましてやそうやって簡単に諦める力を身につけるのが、ある意味「大人になる」ということなのかもしれない。でも、たまには諦めずに関わってみるのも悪くないのでは、と思う。他愛もない会話だったり、一緒に仕事を達成したり。その人と仲良くなるための「鍵」は意外と身近なところにあるかもしれない。そうやって関わろうとすることで、一生涯の友人だって出来るかもしれない。
 
そんな逆転劇が起こるくらい、人間関係は何があるかわからない。
 
 
 
 
***

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2021-05-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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