モネが僕を呼んでいた
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:後藤 修(ライティング・ゼミ 超通信コース)
みなさんはコロナが収束したら何をしたいと思うだろうか?
海外旅行、キャンプなど様々なことが浮かぶだろう。僕も思い浮かぶことは様々ある。そのうち、特にやりたいことは美術館に行くことだ。
僕にとって、美術館は‘扉’だった。
僕は会社で働き始めてから、3年後、本店の営業所に異動した。その部署は民法の知識や不動産の知識を使って仕事を進める部署だった。僕は、着任した当時、この部署で業務を進めていくことができるかを不安に感じた。そして、僕の予感は的中した。半年が経っても、普段の業務をあまり理解しないで、漠然と物事を進めている自分であることに気が付いた。
この状況は僕の成長を止めることになると、危機意識が高まった。それで、僕は業務を確実に理解して進めていくために、民法や不動産の法律が学べる司法書士の勉強をすることを決めて、名古屋にある法律の専門学校へ通うことにした。
内容はビデオ講義を聴ききながら進むものだった。また、講義の日は日曜日で、時間は午前9時から午後4時まで1時間の休憩を挟んで進んで行くものだった。僕は最初に受講した時に、「これは間違いなくためになる」と手ごたえを感じ、意欲的に受講し始めた。
学び始めた最初は、新しい知識を得られることが嬉しくて、始まる時間に着席して、講義を聴いていた。また、会社の業務にも学んだことが生かせたため、専門学校の価値を大いに感じながら通っていた。
しかし、時間が経つにつれて、少しずつ分からないことが増えてきた。それに比例して、学習熱が下がり、あまり集中せず講義を聴く時間が増えてきてしまった。そして、時々講義を聴かずに、新聞を読み始めてしまい、集中して学習に取り組み続けられなくなっていた。
僕は、このような状況になってしまったことを受け止めた。そして、始めた時のように、情熱をもって学べるように、どんな行動をとることが適切かを考えた。
そして、専門学校へ通っていたある日曜日。講義を終えて家へ帰る途中、地下鉄駅の構内で僕はあるポスターを見た。それは美術館を案内するポスターだった。さらに、よく見ると、有名画家のクロード・モネの作品が美術館で期間限定で展示されていると載っていたのだ。そこには、モネの代表作である‘睡蓮’が載っていた。僕はそのポスターに思わず目が釘付けになった。そして、ふと思った。
「あまり、根詰めて勉強しても、効果が出るわけではないな。美術館へ行って気晴らししてみようかな」
かなり、頑張っていたのか現実を避けるような思いが強まったのだ。しかし、それ以上に別の気持ちが強く働いた 僕は何かその絵に呼ばれているような感覚となり、急いで美術館へ向かった。
今まで、僕は美術館へ行こうなんて思う質ではなかった。なにせ、学生時代の通知表の評定では、いつも‘1’しか獲ったことがない人だったからだ。美術に関心なんて持ったことがない人だったのに……。
美術館へ着いた僕は驚いた。あと1時間で閉館するというのに、たくさんの人が待っていた。
有名画家ということもあるだろうが、美術館がこれだけの人を惹きつける場所とは知らなかった。そして、心がワクワクした。
30分ほど待ち続けて、運よく入館が出来た。そしてあの有名の‘睡蓮’の絵の前に立った。もう何とも言えない心持ちになった。
絵を眺めていると、心が清々しく軽くなった。
それまでは絵の良さはあまり分からなかったが、モネが描いた他の作品の前を通ると、足を止めてしばらく見続けた。
そして、美術館を出た僕は今まで味わえないような高揚感を感じた。それはまるで知らない世界へ入る扉を開けたような感覚だった。
これ以来、僕は美術館に行くようになった。特に、普段なかなか公開されないような画家の作品や、あまり知られていない画家でも自分が気になる作品が展示されている時は、足を運ぶようになった。それは、日常とはまったく離れたような心地、まるで海外旅行しているような非日常を感じられることを知ったからだ。また、心が軽やかに、解放される場所であることも知ったからだった。
僕は、専門学校で法律を学ぶ合間に、心をリラックスさせる、また心緩やかに過ごすことが出来るように、素敵な場所を発見できた。このように、今は美術館で絵画を鑑賞する時間が僕の大切な時間の1つになっている。
現在、日本はコロナが広がり、ステイ・ホームや外出制限などと自制を続けなければいけない状態だ。僕もコロナにかからないように自制する生活を送っている。だから、自分の心がリフレッシュし、軽くしてくれる美術館に行くことを控えている。
いずれコロナが収束し、いつもの日常生活が戻ったら、美術館に訪れて、最高に心が充実する時間を送ることがしようと思っている。
さて、みなさんはコロナが収束したら何をしたいですか?
***
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