頑張れ青年！今度こそ哲人を論破するんだ！
＊この記事は、「リーディング・ライティング講座」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
記事：鈴木 勇気（リーディング・ライティング講座）
今回は、私が人生で一番読み返している本を紹介したい。
一番読み返してはいるのだけれど、一番実践できておらず、何度読んでも同じ気持ちになるそんな不思議な本である。
普段、私は紙の書籍だけを買っているのだけれども、この本に関しては電子書籍、音声データも持っている。紙の書籍は２冊も持っている。１冊はパソコンの横においてあり、もう１冊はお風呂場においてある。ふとした瞬間に１段落だけでも読みたくなる時があるからだ。ちなみに電子書籍はベッドサイドにあり、音声データが通勤時などの移動時に聞く用である。
正直これほど買う必要はないと思うが気が付いたら、これだけの量になっていた。
今までの人生でどのくらい読み返したのか、ちょっと考えてみて、パッと思い出しただけでもゆうに10回は超えている。そのくらいこの本にハマっているのだ。
今回紹介をしたい本の名前は「嫌われる勇気」
アドラー心理学の研究者である岸見一郎とライターの古賀史健の共書である。
世界累計500万部以上を誇るの日本を代表する大ベストセラーである。なのであなたも聞いたことがあるのではないだろうか？
ドラマ化もされたので本を読まない人でも聞いたことはあるかもしれない。ドラマの内容関しては賛否両論があったようだが、今回は説明しないことにする。気になるのであれば、ネットで検索してほしい。
なぜ、私がこんなにもこの本を読み返しているのかというと、「哲人に論破されるのが心地よい」からだ。
この本は、まっすぐで真面目であるが、劣等感が強く、幸福を感じられない青年が「人は変われる、世界はシンプルである、誰でも幸せになれる」と言う哲人が対話形式で議論を深めていくという内容だ。
この本で書かれている内容は著者である岸見一郎氏が研究をしているアルフレッド・アドラーの思想（アドラー心理学）をもとに書かれている。
ではアドラー心理学とは、どのようなものなのか。世界的に有名な心理学者であるフロイトとユングと並ぶ、心理学の三大巨頭のひとりとして数えられている。日本ではこの書籍で出るまでは、知る人ぞ知る人物であったと言われている。
個人心理学を提唱し、目的論・トラウマは存在しない・すべての悩みは人間関係・他者の課題を切り捨てろ・勇気づけ・共同体感覚・人は今この瞬間から幸福になれるなどを説いている。
世界的ベストセラー作家にも影響を与えており、『人を動かす』や『道は開ける』で知られるデール・カーネギー。『７つの習慣』で知られるスティーブン・コビィーなどが影響を受けたそうだ。
私がこの本をお勧めしたい人は、すばり今の人生に幸福を感じられていない人だ。
幸福でないと感じている理由は、どんなものでもいい。
給料が低いから！ やりたくない仕事についているから！ 会社がブラック企業だから！ 出世できないから！ 彼女がいないから！ 友達がいないから！ 家族がうるさい！ 犬が懐かない！ イケメンじゃないから！ 美女じょでないから！ スタイルが悪いから！ 自分の性格が嫌いだから！ 学校の成績が低いから！ やりたいことが見つからないから！ ただ漠然と幸福を感じられないから！ などなど、本当に何でもいい。
自分が幸福を感じていない人は、ぜひこの本を手に取って読んでほしい。
そのような人であれば、青年の主張に賛同し声を合わせて哲人の思想を論破しようとするだろう。
そして、完膚なきまでに哲人に論破されることは間違いないだろう。少なくとも私はそうであった。
私は何度読んでも「そうだ！そうだ！青年のいう通りだ！哲人は、そんな理想論ばかり言っていないで、現実を見ろ！」と心の中で叫びながら読み進めている。
そして哲人に簡単に諭されて青年と一緒に「そうか。そういうことか！」って納得してしまう……。
青年は何度も何度も哲人の考えを否定する。時には強い口調で！ 罵るような汚い言葉づかいで！ それでも哲人は落ちついた口調で子供に言い聞かせるように、長年の友に語り掛けるようにやさしく青年の心を徐々に解きほぐしていく。
エピソードが進むにつれて青年が、もしかしたら哲人の話は本当のことなのではないか？ 間違っているのは自分ではないのか？ を思い始める。だが哲人の思想を正しいと認めるということは過去の自分を否定することになる。過去の自分を否定することは、とても辛く大変なこと。それでも、今を！ 未来を！ 幸せに生きたいと思う青年の心の葛藤がリアルに描かれていて余計に青年に感情移入してしまう。
哲人は言う。
トラウマは存在しない。
ここに存在しているだけで、価値がある。
非を認めることは「負け」じゃない。
承認欲求は不自由を強いる。
あなたの不幸はあなた自身が「選んだ」もの。
劣等感は、主観的な思い込み。
他者の課題を切り捨てろ。
人はいま、この瞬間から幸せになることができる。
１つでも、納得がいかないと思う人は、ぜひ「嫌われる勇気」を読んでほしい。
そして、哲人に幸せになる方法を教えてもらってほしい。
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