メディアグランプリ

大好きだったハイボールやコーヒーではなく、ハーブティーを飲みながら


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:いしだ(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「しみわたる……。おいしい」
数年前まで、毎晩のハイボールがルーティーンになっていた。朝はちょっとした二日酔いで迎えることが少しずつ増えてきていることは正直、気づいていた。
仕事に家事に育児に追われている。仕事も若い頃以上に失敗が怖くなった。おかげで責任感をもって取り組んではいる。勢いはなくなったが、昔ほど大きな失敗は減ったと思う。でも、すべてがうまくいくわけでもない。なかなか、結果が出ないこともある。失敗してしまうこともある。おかげで緊張感が常日頃、抜けなくなってしまった。緊張から解放されたいのだ。
お酒を飲みながら、料理をするのはとても楽しい。楽しいお酒はいいものだ。作った料理もおいしいし、家族との会話もはずむ。適量のお酒は百薬の長。なんだかお酒に強くなってきている気がする。でも、本当に強くなっているのだったら、朝起きて二日酔いにはなっていない。頭痛もあるし、胃も痛い、なんだかぐるぐるめまいもするのは、ちょっと飲みすぎかもしれない。ある日、ひどく仕事で緊張をしてしまった。緊張から後味の悪い結果になってしまった。もともと、嫌な予感はあったのだ。それが的中してしまったのだ。もっと準備すればよかった。ひどく自分を責めた帰り道、飲んでさっさと寝ようと奮発してワインを買う。
「乾杯!」
自分のご褒美。ワインとおつまみのチーズで幸せを満喫する。
夜中の3時に目が覚める。気持ちが悪い。ワインは悪酔いするのはわかっていたはず。ワインは大好きだが、飲んだ後毎回後悔する。何度も水を飲む。何度やれば気がすむのだろうと、落ち込むが、それどころではない。ベッドに倒れこむ。
翌日は友人の家に行ってからランチ予定だった。二日酔いで迎えた当日。できれば一日寝ていたかったが、この友人はとにかくドタキャンを嫌う。いつも元気な友人だが、「精神的な落ち込みがすごいので、ドタキャンだけはやめてほしい」
と、以前から言われている。ギリギリの時間まで回復を見込み、寝る。あぁ、もう時間切れ。胃もムカムカするし、頭も痛いが、シャワーを浴びて着替え、メイクする。友人宅に向かう。
「昨日飲みすぎちゃって」
友人と会って開口一番に打ち明ける。
「なにかあったの?」
優しい友人。前日にあったことや、最近ちょっとずつお酒が増えている気がすることなど、打ち明ける。
「まぁ、とりあえず、お茶でも飲んで」
と、ハーブティーを出してくれた。
「しみわたる……。おいしい」
温かいハーブティーが、弱った胃腸と肝臓にしみわたる。とにかく、おいしかったのだ。生き返るとは、このことかもしれない。食べられないかもしれないと思っていたお昼ごはんも、おいしく食べられた。
「これを機にお酒やめようかな」
友人に宣言する。
「そうしなよ。そうだ、このハーブティー持っていきなよ」
5袋ほどティーバックを包んでくれた。
翌日には体調が戻った。仕事から帰って、夕ご飯を作る時間。普段ならハイボールの時間。習慣になってしまっているので、飲みたくはなる。でも、あの体調の悪さを思い出し、飲まずに一日を終えられた。そして、一週間。とにかく体調がいい。お酒を飲まずに迎える朝はすっきり眠れていることに気づく。仕事も対人関係もスムーズだ。三週間も経つと……はっきりと飲みたいと思っている自分に気がつく。でも、もう友人にもやめると宣言した。体調もいいし、少し痩せた気がする。メイクののりもいい。これを機に生活リズムももう一度立て直していこうと思った。疲労回復には、睡眠こそ一番だ。お酒をやめると、夜しっかり眠ることができると心底腑に落ちたので、同時に、コーヒーも午後飲むことをやめることにした。
食後のコーヒーが、食事終わりの合図になっていた私はこれがまた辛かった。なにか、温かいものを飲みたい衝動に襲われる。ふと、友人からハーブティーをもらっていることを思い出す。
お湯をわかし、ハーブティーを作る。温かいハーブティーを飲みながら、友人との暖かい時間を思い出す。お酒と午後のコーヒーをやめてから、日常で、些細なことに幸せを感じている自分を感じるようになった。風が気持ちいい。緑が鮮やかだし、花も咲いている。そして、そのことに幸せを感じる。
三代幸せホルモンは、セロトニン、オキシトシン、ドーパミンだ。日常の些細なことに幸せを感じる感覚は、セロトニンや、オキシトシン。対して、アルコールもコーヒーも、ドーパミンを出す。快楽物質だが、依存性も高い。交感神経を刺激する。興奮させる。盛り上げてくれる。でも、睡眠が阻害される。疲労感が抜けないのも、これが理由だったのだ。さらに、ドーパミンが暴走すると、依存症に陥りやすくなる。
でも、ドーパミンが暴走しやすいタイプは、物事のなかに熱狂を見るタイプだ。魂こめてのめりこめる才能もあったりする。でももし、依存によってなんらかの被害があるようなら、減らす、もしくは辞めたほうが当然いい。若い頃は体力もあるので、なんとかなる場合も多いのかもしれない。でも、年齢を重ねていくと、無理がきかなくなる。私はコーヒーを減らしたし、お酒もやめた。もう数年経って、本当によかったなと思う。
もし、依存しているものを減らしたい、もしくは辞めたいと思っているのなら、私は依存の対象を増やしたり、代替を用意しておくことをお勧めしたい。成功率が上がるからだ。責任感が強く真面目なタイプがやりがちなのだが、依存をしてはいけないと依存そのものを禁止することは本当に危険だ。依存をすべて禁止すると、当然リバウンドしやすい。リバウンドをすると、自分を責めてしまいがちになり、より結果として依存度が上がる傾向にある。
 
代替品はなんでもいい。趣味でもいいし、やりがいのある仕事でも、あたたかい家庭でもいい。ペットなどもおすすめだ。あとは、お散歩といった有酸素運動もおすすめしたい。今回の私には、ハーブティーがぴったりきた。半年に一回、大量にハーブティーをネットで購入するのだが、ハーブティーにもたくさんの香、種類や味、鮮やかな色がある。検索しているときも、届いても、箱をあけるといい香りがするのも、温かいハーブティーができあがって飲んでも、
「幸せ」
と、つぶやいている私はわりといいとじゃないかと、自己満足だが思える。穏やかな午後、大好きだったハイボールと午後のコーヒーではなく、ハーブティーを飲みながらしみじみ思う。
 
 
 
 
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2021-06-03 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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