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メディアグランプリ

アンガーマネジメントファシリテーター認定資格


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:とわにこ(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
AMFT。
そりゃあ略したくもなる。
そんなロングネームな認定資格を取ってみた。
 
アンガーマネジメントとは、怒りによって後悔することをなくすための手段とされ、アメリカ発祥のものだそうだ。幼少期から家族のアンガーの波に揉まれ、乗りこなすことを強制されてきたわたしは、アンガー、つまり怒りの感情がすっぽり抜け落ちている。
「わたしって、怒らないのよねぇ」
と言えば、優しくて、人間ができていて、生きやすいように思われるかもしれない。
ところがどっこいなのである。
自分の生きづらさと怒りとの関係を解き明かしたい。
これがアンガーマネジメントファシリテーターを志した動機の大きな一つである。
 
 
わたしには7歳の息子がいる。魔の、と評される2歳児を穏やかに過ごし、俗に言う育てやすい子だったように思う。3歳、4歳、5歳をピークに、彼は癇癪持ちへとキャラ変を遂げた。特に、自分に課した成功の基準を超えられなかった時、悔しさが爆発して手のつけようがなくなってしまう。励ましや大人基準の成功を褒めることはご法度。気持ちがおさまるのに数時間を要することもあった。
そんな彼を前にすると、私まで怒ってしまう……ことはなく、やはりわたしは冷静なのである。「うわぁ怒ってんなぁ」「めんどくさいなぁ」くらいは思いながら、つぶさに彼を観察する。そのうち彼の取扱説明書が編成されたことは言うまでもない。日々取説が改編される中、わたしはひとつの疑問が沸いた。
 
「わたし、誰かの前でこんなに怒ったことあるかなあ」
 
いや、ない。
 
思い出すまでもない。
 
誰かの前で取り乱す、どうしても譲れなくて強情を張る、ひっくり返ったダンゴムシのようにジタバタする、耳障りなイントネーションでごめんなさいと言う。
 
どれも、ない。
 
わたしと息子には30年の人生経験の差がある。しかしながらである。怒りに関する経験値は、圧倒的に彼の方が上だ。彼は自分で自分の成功や満足を設定し、現実と照らし合わせ、符合しない場合、怒る。至極真っ当である。一方わたしは、他人の地雷を踏まぬよう、バレリーナのようにその人生を歩んできた。道理でハイヒールが好きなわけだ。その因果関係の有無は専門家に委ねるとして……。
 
わたしは怒れる先輩、我が息子を尊敬するようになった。
 
「おい、親として教えることがあるのでは!?」
 
ご安心いただきたい。わたしには彼に対するモーレツな好奇心がある、改編を続けた取説がある。様々な言葉・態度・絵本を駆使して、彼が彼のアンガーとうまく付き合えるよう手を尽くした。その手法の一つとして、叱るということも排除しなかった。
 
そうして彼のキャラは、次なるフェーズを迎えることになった。人の怒りの分かる、優しさ溢れる共感男子になったのである。それは彼のアンガーが消えたわけではない。彼のアンガーは普段は行儀よくそこにいて、適宜、表に出てくる。彼によって彼のアンガーは言語化され、私に説明される。互いに彼のアンガーを理解し、「それはいやだったね」と言葉を掛け合うことで、わたしたちの心は繋がったと、ハグによって終結する。
 
感動的である!!!
 
わたしの工夫が功を奏した、いや、想像以上の効果がもたらされたのだ。
わたしの工夫と息子のトランスフォームの因果関係は、専門家に委ねるまでもない。はず。
 
アンガーがアンガーを呼ぶのではなく、アンガーが心を繋ぐ素晴らしきエッセンスとなる。
これだ。これがいい。わたしの中のアンガーちゃん、隠れてないで出ておいで。
 
 
 
「勤務先の会社で会議があります。新入社員が定刻の何分前までに到着していればあなたは怒りませんか」
冒頭の、アンガーマネジメントファシリテーター養成講座で投げかけられた質問である。
 
参加者からは、オンタイム、5分前、10分前……それぞれの基準が発表される。この質問の意図は、「ほら、みんな〇〇すべきの基準が違うでしょ」を分かってもらうというものだった。
 
ん? 定刻が決まっているのに、10分前? なぞなぞなのか? 新入社員というところがポイントなのか? 分からん! いきなり分からーん!
 
わたしは、(おそらく)一人混乱していた。
 
問いかけは「怒る」基準だ。
 
決められた時間に遅れること、それは確かによろしくない。反論の余地はない。
逆の立場であれば、それはそれは反省の意を示すだろう。
ただ、よろしくないと分かっていても、果たしてすなわち怒るのか。
例示のシーンで、わたしが怒るまで時間を早回しにしてみたが、結局わたしは怒らなかった。むしろ、事件や事故に巻き込まれたわけではなく、無事でいることが分かってホッとすらしている。
 
怒ることを肯定し、怒れる息子を尊敬しているにもかかわらず、怒るは一向に実装されていない。わたしだって怒りたいのに。
 
講座では、「まぁいっか」と「怒る」の線引きを明確にした上で、「まぁいっか」の領域を広げて無駄に怒らないようにしよう、と教わった。
 
講座中の短い休み時間に、講師をつかまえて質問攻めにした。
「先生!わたし、まぁいっかしかありません!」
 
 
 
講師は困った顔をして、
 
「……あなた……病みますよ」
 
 
ズバンッ
 
薄々は、分かっていた。実際に病んできた。
それにしても、用を足すための10分休憩中に、なんと効率のいいカウンセリングだろう。
 
他人を許容し、優しさの冠をつけ、癒やしの笑顔を向けるわたしの心は、そう、ボロボロだったのだ。
わたしのアンガーちゃんは、箱の中のスーパーボールのように、わたしの中で暴れまわっていたのだろう。
 
日々の中で起こる、ちょっとしたイライラをメモすることで、「まあいっか」と「怒る」の線引きができるようになる。線引きができるようになれば、自己防衛のための怒りという感情を持つことができる。
18時間にわたる講座で自分の怒りとの付き合い方が分かった。
 
わたしにとってのアンガーマネジメントは、血管の見えづらい血液検査のようなものだ。
その正体を見つけるのには苦労をするが、成功すれば予防に役立てることができる。
 
 
これからを生きやすくなる、効果的かつ実践的な気づきを得られ、かくして20数人の福沢諭吉たちは報われた。
 
 
 
 
***
 
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2021-06-19 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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