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55歳、空中ブランコに初挑戦


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:久米 靖(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
きっかけは、友人の一言だった。
「家族とサーカスを観に行ったんだよ! いやあ~、曲芸師の体の動きやバランス感覚が凄かったよ~! 空中ブランコも迫力あってねえ~!」
 
そういえば久しくサーカス観ていないなあと思いつつ、ふと閃いた。
(空中ブランコやってみたい……)
なぜ急にそう思ったのかは全くわからないのだが、人に言わせるとボクは時々理解できない発想をするらしい。しかも、55歳にもなって……。
 
調べてみると、首都圏では1ヵ所だけ千葉に体験できるところがあったので、早速予約。
屋外なので雨天時や風の強い日はできないそうだが、予約をした日は晴天で、絶好の空中ブランコ日和? だった。
 
行ってみると、駐車場のようなところに巨大な空中ブランコ設備が建てられていた。
(うわっ! でかっ!)
青空を背景にして聳え立つブランコは、ネットの写真から感じるイメージよりはるかに大きく、威圧感が半端ではない。
 
スタッフの方が出迎えてくれ、説明を受けた。その間にも、常連さんとおぼしき方が数名次々とブランコを使って技に挑戦している。とても楽しそうにやっているが、その高度な技を見てますますビビってしまった。
「年齢制限ってあるんですか?」
「60歳ですね、一応」
(……けっこうぎりぎりだな)
 
まずは地上に置いてある練習用のブランコでレクチャー。踏み台からのテイクオフのやり方
を学ぶ。
 
ブランコのバーを持ってみると、「うわっ! 重っ!」
想像以上の重さで、両手で持つと体が前方に引っ張られる。
「上ではスタッフが後ろから引っ張って支えますから、安心して体を伸ばしてくださいね」
「READY! で足を少し曲げて準備して、HEP! のかけ声でスッと下に体を預けるような形でテイクオフです」
2回の練習後、「では、上に行きましょう!」
(え? もう!?)
 
スタート地点の踏み台はビルの4階ほどの高さにあり、そこへは細いはしごで上る。これがグラグラ揺れて、超こわい! 別に高所恐怖症ではないのだが、体が震える。
踏み台で命綱をつけてもらい、テイクオフの準備。後ろから掴んでくれるスタッフの方を信頼して体を伸ばし、両手でバーを握る。
 
「READY……HEP!!」
体を真っ直ぐに伸ばしてテイクオフ!
最初の恐怖はどこへやら、爽快感に満たされた。何度か揺られたあと、お尻からネットの上に着地。
 
「では次のステップの練習をしますね」ということで、再び地上の練習用ブランコへ。
今度はバーを掴んでいる両手の間に足をくぐらせて引っかけ、手を離して逆さにぶら下がる練習だ。
 
ここで難関に直面。
足は上がるのだが、なかなか両腕の間を足が通らず、四苦八苦。最終的にはできるのだが、とても時間がかかってしまった。
「足が長いか、腕が短いか、柔軟性が弱いかのどれかですね」
(う……)
 
「上でやる時ですが、遠心力がかかっている間に足をかけようとすると引っ張られてきついです。振り子を振り切った最後の瞬間、一瞬無重力になりますからそこでかけてください」
(なるほど!)
 
再び上へ。このはしごは何度上ってもこわい!
 
テイクオフし、最初に体が反対側に振れたタイミングで足をかける。やはり少々手こずり、踏み台側に体が戻るくらいまでかかってしまった。
足を引っかけた後ぶら下がるのは、比較的スムーズにクリア。
 
「久米さん、やり方を変えましょう! 今度は両手の間隔を狭めてバーを持ち、腕の外側から足を回して引っかけてください」
やってみると、こちらの方がすんなり出来た。
 
最後のステップは、いよいよ対面のブランコにいる人に腕を掴んでもらうキャッチ。足でブランコにぶら下がり、伸ばした両腕を掴まえてもらうのだ。
「ニー・ハング・キャッチ」というのだが、これに進むためにはこれまでの一連の動きを3振りの間に全てスムーズに行う必要があり、それをクリアしないと進めさせてくれない。
 
ドキドキしながらテストに挑んだ。
命綱を持っているスタッフの方が、それぞれのタイミングで声をかけてくれる。
「1、2、3! はい、足をかけて!」
「はい、手を離す!」
「はい、またバーを掴んで足をはずす!」
なんとかクリアし、キャッチに挑めることになった。
 
さあ、いよいよ挑戦! 対面で受けてくれるスタッフの方の説明を聞く。
「まずテイクオフのタイミングですが、ボクがHEP! と声をかけたらその瞬間にすぐテイクオフしてください。少しでもタイミングがずれたら掴めません」
 
「掴まれるタイミングでは、できるだけ体を反って真っ直ぐに腕を伸ばし、ボクを見てください」
「腕は自分からつかみに来ないでくださいね。ボクがつかむのを待って、はっきりつかまれたらボクの腕をつかんで足を外してください」
「はい……(頭ではわかるけど……)」
 
時間の関係もあって、チャンスは一度きり。
最後にはしごを上った時はあまりにも緊張しているのが自分でもわかったので、一度大きく深呼吸……。緑の丘陵が続く周りの景色をゆっくり見回してみると、少し気持ちが落ち着いた。
 
「準備はいいですか?」
「はい!」
「では、頑張ってください!」
 
今度は対面でぶら下がっているスタッフさんが合図を出してくれる。
「READY!!」
「HEP!!」
体が風を切り、反対側に大きく振れて、一瞬の無重力。ここだっ! 足を上げてバーに引っかける!
体は再び戻っていき、一瞬停止。逆さにぶら下がって、反対側へ。手を思いっきり真っ直ぐに伸ばして……
 
スタッフさんの顔が真正面に来た次の瞬間、ガシッと腕をつかまれた!
ボクもギュッとつかみ返し、そのままぶら下がってユラユラ~。
やったあ! 出来たっ!! 足をどうやって外したのか、全く覚えていなかった。
 
これはボクのこれまでの運動経験の中でもトップクラスの爽快感! はまりそうだ。
 
後日談だが、ボクもサーカスを観に行った。演目のクライマックスは、やはり空中ブランコだ。
今回は、自分である程度難易度が分かっていたので、「わーっ! スゴイ!」という感動はなかった。その代わり、これまでとは全く別の視点で観ることができた。
 
最後は、飛ぶ人と受ける人が二人とも目隠しをしてのキャッチ。先日の体験で、“タイミングが全て”というのがわかっていたので、目隠しをした状態でどうやってタイミングをつかむんだろうと、興味津々だった。
 
観ていると、飛ぶ人の隣にいる人が声をかけ、体をポンッと叩いていた。また、口の動きで「HEP!」と言っているのがわかった。
なるほど! 納得だ!
 
今度、目隠ししてやってみたい!
 
 
 
 
***
 
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2021-06-25 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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