スカイダイビングのすすめ
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記事:めぐみ(ライティング・ゼミ平日コース)
高さはどんどん上がり、ついに同じ目線に雲が見える。
わたしは今上空3800mに向かう小型飛行機の中にいる。
朝5時起き、電車で約二時間揺られ、
バスもない小さな駅からタクシーに乗って空から落ちるためにここに来た。
今日わたしはスカイダイビングに挑戦する。
毎年同僚2人と、富士急ハイランドでジェットコースターに乗りまくる女子会をしていた。
違う部署で働きながら、さりげなく日を合わせて有給を取り、
みんなが仕事の中遊びに行ったこともある。
なかなか度胸のある女3人の集まりを「スリル女子会」と勝手に読んでいた。
記念すべき3回目に私たちが選んだのは「スカイダイビング」
スカイダイビングといえばTVの中で芸能人が叫びながら落ちているイメージがあるが、
実は身体コントロールのスキルやパラシュートの操縦技術を競うスカイスポーツらしい。
今回私たちがするのはプロのインストラクターと一緒にダイブする体験コース。
飛び立つ高さは上空約3800m、
パラシュートなしの状態で降下する時間が
日本で一番長いと言われているダイビングスポットを選んだ。
パラシュートが開くまでの時速は最速約200キロメートル、時間でいうと約50秒。
想像しただけですごいスピードで落ちるのがわかる。
高さ3800mとは富士急のジェットコースターの54倍の高さ、
日本一高い富士山の頂点から飛び降りるのと同じだ。
「どんなスリル体験ができるのだろう」
わたしはとてもワクワクしていた。
飛行機に乗った最初の方まで。
地上がどんどん小さくなっていく。
直前まで考えもしなかったことまで考えるようになる。
「パラシュートが開かなかったらどうしよう」
想像を絶する高さにビビっていた。
簡単に説明すると、
車が豆みたいに見える〜なんてレベルの高さではない。
下に見えるはグーグルアース、地形がはっきり見える高さ。
車なんて認識できない。
今から外に飛び出すなんてよくわからないに決まってる。
飛行機が上昇をやめた。
ついに飛び降りる時がやってきた。
インストラクターが合図する
「1、2、」
3〜!!!!
わたしは空へ飛び出した。
というか一緒のインストラクターの勢いで
上空へ押し出された。
ゴォォォォォ
風が体と顔に当たる。
ゴーグルをしているから目は開けれるけど
強烈な風圧だ。
わたしは今、落ちている。
落ちている?!
「落ちている感じがしない!」
「こわ……くない! 全然怖くない!
それより……すごい風で息の仕方がわからないよ〜」
ゴォォォォォ
これが正直な感想。
上空約3800mからすごいスピードで落下しているはずだ、
でも比較対象物がないので見ている景色は変わらない。
景色が変わらないから落ちている感覚がない。
ジェットコースターのように景色がみるみる変わる
あのスピード感がない。
例えるなら、台風再現マシーンの風を間近で当てられながら
大画面でグーグルアースを眺めているようだ。
息をしようとしてもすごい風が鼻から口からはいってくるので
空気を無理やり食べさせられている感じ。
パラシュートが開くまでの
約50秒という時間は思ったより長かった。
景色が変わらないからそう感じるのかもしれない。
変化があまりないと時間の感覚が鈍るみたいだ。
上空約1500mでやっとパラシュートが開く。
そのあとはふわふわとゆっくり降下する。
ゆっくりといっても約5分くらい。
少しづつ地上が近づいてくる、みるみる地面が
近づいてくるように感じるのは最後の1分くらいだった。
そして、着陸。
ジェットコースターを終えたときのスリルのドキドキとは違う、
イメージと現実の差にドキドキしている自分がいた。
「スカイダイビングって、これだったの?!」
約6分くらいの空の旅はわたしの考えを大きく変えた。
今まで何回もテレビで見て、予約サイトも見て、
スカイダイビングというものを知っている「つもり」だった。
でもイメージと現実は大きく違った。
スリル体験だと思っていたけど、
怖いのは飛び出す直前だけだった。
しかも脳が作り上げたイメージの恐怖。
イメージは自分の頭の中で考えたことでしかない。
調べてわかることはいっぱいある、
見ることも聞くこともできる、
でも経験は自分にしかできない。
飛び立つ前の恐怖、
遠すぎるとなくなる時間感覚、
イメージと現実の違い、
挑戦する時に起きることがすべて味わえる。
できることなら一度スカイダイビングを経験してほしいぐらい。
現実は想像を超えてくる!
この衝撃は、一歩踏み出す勇気をくれる。
やってみないとわからないことだらけだ。
やりたいと思ったことをやらずに終わらせてしまうなんてもったいない。
できなくてもいい、小さな一歩で見え方は大きく変わるかもしれない。
それも踏み出した人にしか見えない世界だ。
気になることがあったら是非飛び込んでみてほしい。
***
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