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毎年届く「魅力」の便り


*この記事は、「ライティング・ゼミ」を受講したスタッフが書いたものです。

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記事:旅河 侑生(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「今年もだね」秋の風が吹き、少しずつ寒さも感じられるようになる毎年10月。
茨城県はこの話題でもちきりになる。
 
それは民間調査会社のブランド総合研究所が行う「都道府県魅力度ランキング」の調査結果の発表だ。
47都道府県を対象に、認知度や魅力度などの項目からなるランキングだ。2020年現在で実施16回を数えるが、私の出身地、我が茨城県は2019年まで7年連続47位、最下位に輝いていた。
 
「今年もだね」当たり前のようになっている。
この結果を受けて知事が会見をするほど真剣なランキング。
 
そもそも茨城県とは……
首都圏以南の友人、知人からすると「福島、宮城とにかくあの辺でしょ」という認識。それは東北。一応、関東です。そして都内に出張すると「茨城から、大変でしたね」と言われる始末。一番近郊なら40分程度で都内に入れるのに。県外ではそんな認識なのだ。
 
茨城県のお土産、有名な食べ物といえば納豆とほしいも。
きっと皆さんもそんなイメージだろう。どちらも茶色くて地味な食べ物だ。ちなみに私は、京都の友人の夫に「ほしいも」と呼ばれている。
 
食べ物一つで、イメージまでもが暗い雰囲気になってしまうのは面白い。「ねばーるくん」というゆるキャラまで誕生し、茨城県は納豆県なのだ。
 
しかしながら茨城県は意外にも首都圏の食を支える大きな台所のような場なのだ。
農業に関しては北海道に次ぐ第2位の農産地で白菜、レンコン、小松菜、ピーマンなど8種の野菜が全国1位を誇っている。
日常スーパーの品揃えに欠かせない野菜はほぼ茨城県で作られていると言っても過言ではない。ちなみに、ほしいもの原料となる「さつまいも」は全国2位、納豆の原料大豆に関しては16位とかなり低い。
 
魚に関していえば、茨城の沖は親潮と黒潮がぶつかる地点で魚の餌となるプランクトンが大量にいるため栄養価が高い漁場で魚も豊富。その漁場で獲れた魚は「常陸もの」と呼ばれ築地では高値で取引される。
私は、日本中色々なところに行ったがとにかく魚は茨城がうまいと感じる。高級魚でなくてもその旨味は断然だと思っている。
 
野菜、魚以外にも肉や果物も米、色々な食べ物が美味しいし、温泉もある。山と海が混在し、首都圏からも近いのに。
今では相当に有名になったROCK IN JAPAN FESTIVALだって茨城県に全国から相当の人が集まる。それでも長い間イメージ、ランキングは最下位だった。
 
「だった……」
いや待て、だった。最下位は過去形、今となっては「過去の話」なのだ。
 
そう、茨城県は、2020年にランキングの最下位を脱却し42位となった。
県政の努力の賜物だという事で喜んでいた。「今年もだね」をついに脱却したのだ。確かに、首都圏に向かって発信をしたり、脱却に向けての様々な取り組みをしていた。やっと勝ち取った最下位脱却。
 
しかし、人間というのは勝手なものだ。
「最下位じゃないと逆に目立たないね」「42位とか半端だね」と言いだす。2020年に最下位になったのは栃木県だったが「栃木の方が色々あるよね」と茨城が最下位じゃないなんて信じられない……という面持ちの人まで出てきた。
 
茨城県は「粘りに粘って」最下位を脱却したわけだが、この感じも納豆のようだ。
納豆は地味で色合いも茶色で、このイメージのせいで茨城県に華やかさを感じないだろう。しかし、実は納豆は滋味深く、実は芸品のような食べ物なのだ。
 
江戸時代、現在の県庁所在地水戸では水害を避けて収穫できる早生品種の小粒大豆を生産していた。その土地に生まれた笹沼清左衛門が江戸で人気だった納豆に注目し、小粒大豆を藁で包み発酵させた「藁つと納豆」が苦労を重ねて商品化させたのだ。
そして、明治22年水戸駅開業の賑わいの中、家計を支えるために納豆売りの少年によって駅前で売られたことにより「土産物」として藁納豆は認知されるようになり名物となっていく。
 
藁を束ねて器を作り、手で豆を詰めて両はしを手で縛っていく。その季節、温度、湿度をうまく垣間見ながら発酵させて作る手間は工芸品のようだと感じる。
派手さもなく地味だが、栄養価が高く、発酵食品として体に優しく万能だ。そして、その生産は産業として地域経済を江戸の昔から支えているのだ。まさに茨城県のようではないか。
 
ランキングも、知名度も魅力度も低く、納豆のように地味で派手さはない。
しかし首都圏からのアクセスもよく、全国の食を支えている。海や山は美しさだけでなく、私たちに豊富な食の文化を与えてくれる。
美しい場所もたくさんある。都会にはない、美しい大自然はきっと心や身体を癒してくれる。
 
しかし、納豆で言うところの「発酵」が我々県民には少し足りていない気がする。「しっかり時間をかけて深みを出す、見つけだす」といところだろう。実は魅力的な茨城県。私も少し見つめてみたいと感じている。
 
県外の方、是非この茨城の地に来て「納豆県」なのか「魅力的」なのか……確かめてみてはどうだろうか。
 
 
 
 
***

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2021-07-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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