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子育ては育て直しのチャンス


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:とわにこ(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「3個がいい! 絶対に3個!」
 
保育園からの帰り、いつも寄るコンビニでの出来事だ。
 
一日1個、好きなお菓子を買っていいという約束になっていた。
当時2歳の息子は、コンビニに入るなり、お菓子コーナーにしゃがみこんで、かじりついてその日のお菓子を選んでいた。
 
「お菓子決まった?」と尋ねると、彼は「これ!」と言って差し出してきた。
 
アンパンマンとバイキンマンとドキンちゃんの顔を象ったチョコレート、あわせて3個だった。
 
こんなことも時々ある。どの子も可愛くて選べなかったのだろう。
 
「3個あるね。1個選ぼうか。どれが一番欲しい?」
 
いつも通り、1個に絞りこむよう誘導してみたが、
 
「3個がいい! 絶対に3個!」
 
頑として聞かない。
 
「1個だよ」「3個!」の押し問答に、ついに息子は大きな声で泣き出してしまった。
 
ここまで粘るのは珍しい。一旦商品を棚に戻し、お店の外に出て話を聞くことにした。
 
「いつもは1個なのに、今日は3個欲しいの?」
 
「うんっっ!!」
息子は力強く答える。
 
「どうして1個じゃなくて3個なの?」
 
そう尋ねると息子は、
 
「だって、並べたいと!!!」
さらに力強く答えた。
 
ナラベタイ。
 
一瞬どういうことだろうと考えた。
 
あー!
彼が欲しがっているのは、まーるいお顔の3人。その3人のお顔を、並べてみたいということか!
 
「食べたいんじゃなくて、並べたいの?」
 
「うんっっっ!!」
 
「なるほど、並べるためには1個じゃ足りないもんね」
 
「うんっっっ!!」
 
「今日並べるために3個買うなら、明日と明後日は0個になるけど、それでもいい?」
 
「うんっっっ!!」
 
息子の顔はみるみる明るくなった。
3個欲しい理由が伝わったことが嬉しかったようだ。
 
もう一度コンビニに入り、彼ら3人を、レジへ連れて行った。
 
息子は、意気揚々と自宅へ持って帰り、早々にパッケージを開けた。
まーるいお顔の3人は、お皿の上に無事並べられた。
 
これこれ、これがしたかったんだとばかりに、息子は大喜び。
並べられた3つのまーるいチョコレートは、息子によって食されることはなく、スタッフ、もとい、わたしが美味しく頂いた。
 
「こどもはわがままで、嘘をつくもの」
 
翌日、そんなことが頭をよぎりながら、保育園へ息子を迎えに向かった。
昨日の約束を忘れて、今日も何食わぬ顔でお菓子をねだってくるのではないだろうか。昨日よりも激しい勢いで泣き叫び、なんて酷い親なんだと言わんばかりに怒り狂うかもしれない。
 
息子を自転車の後ろに乗せ、これまで感じたことのない緊張感の中、いつものコンビニの前を通りがかった。
 
「今日は0だもんね」
 
そう後ろから聞こえてきた。その声の主は、紛れもなく、息子だった。
息子は昨日の約束を覚えていた。
 
わたしは色んな感情に襲われた。
約束を覚えていた息子に心底感心した。
こどもはわがままで嘘をつくものと、先入観だけでどこか決めつけてしまっていた自分を悔いた。
 
その翌日もお菓子を要求することはなかった。
 
「約束よく覚えてたね。えらいね」
 
親子の信頼関係が一層深まったような気がして感動した。息子を信じて本当に良かったと思った。
そしてもうひとつ、なにか癒やしのような、慰めのようなものを感じた。
わたしの心がじんわり温かくなる感覚は、彼の気持ちが伝わったからなのか。
 
この感覚の正体はなにか、考えてみた。
 
幼い頃、好奇心の強かったわたしは、やってみたいこと、食べてみたいもの、行ってみたいところがたくさんあった。
しかし、〇〇したいという要望に対して、母の返事はほとんどNOだった。
なぜしたいのか、何がきっかけでそう思ったのか、尋ねられることもなかった。
次第に、「どうせ断られるから」と、要望することもなくなっていった。
 
「どうして1個じゃなくて3個なの?」
これは幼い頃のわたしが、母に言って欲しかったことだ。
 
理由を聞いて欲しかった。
 
理由を聞いてもらって、「なるほど」と言って欲しかった。
 
理解してもらって、3個買って欲しかった。
 
約束守ったら、「えらいね」と言って欲しかった。
 
わたしは、わたしがして欲しかったことを、自然と息子に施していた。
言って欲しかった言葉を、無意識に息子にかけていた。
 
そして、わたしの言動に喜ぶ息子の姿、深まる信頼に、自分が癒やされていることに気づいた。
 
「子育てとは、自分の育て直しでもあるんだ」
 
そう気づけてからは、積極的に育て直しをするようにした。
 
時間の許す限り彼の話を聞き、理解を示すようにした。話し合いで決まったことは、親の都合で変更しないようにした。約束を守ってくれたら、感謝の意を表した。
 
一見息子のためにしていることが、自分を優しく育て直してくれる。
何に対しても自信が持てなかった、いわゆる自己肯定感低い系女子だったわたしは、自分を育て直すことで、少しずつ自分を認めることができるようになった。
 
自分より弱い存在、例えば子どもや部下などと接する時、それらの存在を、過去の自分と重ねてみる。そして過去の自分を育てるように接してみてはどうだろう。
自分がして欲しかったことをしてあげたり、言って欲しかった言葉を発することで、自分自信が穏やかに過ごせるチャンスになるかもしれない。
 
 
 
 
***
 
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2021-08-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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