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おひとりさまは自分の世界でセンターに立つ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:晏藤滉子(ライティング・ゼミ超通信コース)
 
 
「おひとりさま」を好む人が居る。
 
食事だけではなく、趣味の世界や旅行で敢えて「おひとりさま」を決め込む人だっている。人に合わせることなく、その時の自分の欲求に素直になれるし、何より気ままだ。ひと昔前は、女性ひとりというと、色眼鏡で見られ、お店や宿などある程度限定される場合もあった。現代では市民権を得ているのだろう。おひとりさまを断る飲食店はなく、「おひとりさまプラン」を堂々と掲げている宿だって存在するからだ。
 
対して、おひとりさまは絶対無理! というタイプも存在する。私の友人の中にも無理派は存在する。ただ必ずしも内向的なタイプというわけではない。どちらかというと、活動的で社交的だったりする。当人に聴いてみると、「何だか寂しそうな人に見られるのが嫌だから」。 周囲の目が気になってしまうようだ。「おひとりさま無理派」はそこが一番のネックなのかもしれない。
 
確かに寂しそうなおひとりさまを見かけることがある。物憂げな雰囲気で、姿勢も猫背。食事を口に運ぶ表情が何故か「美味しそう」ではない。到底楽しんでいる様子には見えない。その姿はやはり寂しそうで、孤独を感じてしまう。
 
そうは言っても、これも周囲の勝手な思い込み、大きなお世話であるだろう。
「おひとりさま推進派」「無理派」どちらも、本人の好みなのだ。 何処に楽しみを見いだすのか・・・・・・人それぞれなのだろうと思う。
 
私自身は・・・・・・おひとりさまが大好きだ。
食事だって行きたいところへ行くし、旅行などは敢えてひとり旅を選択する事も多い。旅行という非日常において、「内面と向き合う」「考えごとをしたい」・・・・・・おひとりさまでなければいけない時もある。「人に合わせる」「気を遣う」ような場面が続けば、正直に言えば負担に感じてしまうからだ。実際、私は「一人旅」が大好きだ。自分の好み100%なので、計画の段階から楽しい時間。タイムスケジュールも自分好みに融通が利くから快適だ。とことん我儘を追求できるのが「一人旅」のメリットなのだ。
 
そうは言っても、私のおひとりさま歴はまだ浅い。
以前の私は「おひとりさま無理派」だったのだ。今でこそ旅行も食事も何処にでもひとりで出没するが、30代くらいまでは全く無理だった。やむを得ず食事をしていると、周囲の目がどうにも気になってしまう。「寂しい女」に見られているかも・・・・・・そんな妄想が勝手に暴走してしまうことも理解している。
 
「おひとりさま無理派」から「おひとりさま推進派」へ。
そのターニングポイントは意外と単純なことだった。おひとりさましてみたら・・・・・・想像したよりもずっと自由で楽しかったから。小さな成功体験を重ねることで、苦手な事が大好きにひっくり返ったのだ。
 
「おひとりさま」にまつわる、印象的な思い出がある。
 
10年以上前のこと、私はとあるキャンプ場で仲間達と合流し、キャンプを楽しんだ。冬で平日のキャンプ場。海に近いこともあるが、とにかく寒いし風が強い。キャンプとしてはシーズンオフでもあるし、当然人は誰もいない。
私達の貸し切りかと期待していたが、そこに地元ナンバーの軽自動車が登場した。30mくらい離れたサイトで・・・・・・20代後半と思しき女性が車からテントやコンロを出している。とても自然に、まるでスーパー帰りの荷下ろしをするかのように。
 
「ひとり」で準備?
きっと後から仲間が合流するのだろうな・・・・・・。
 
私は友人と一緒に夕食の準備や、タープの設置など慌ただしくしていたが、
その間も彼女はテントの設置などを、黙々とこなしている。手慣れているのか、動きに迷いがみられない。
 
でもまだ、「ひとり」なのだ。
火元の用意も終えたらしく、タープに自作らしい国旗のフラグを飾っている。
その様子を遠くから見ていても・・・・・・まるで自分の秘密基地を作って楽しんでいるような様子が伺える。
 
その頃には、私だけではなく、友人達も彼女の動向に注目している。
「誰もこないね」
「ほんと女の子ひとりでキャンプなんて凄いね」
 
冬のキャンプ場の「夜」は早い。
もう17時には「真夜中」のように一面真っ暗闇だ。
 
その中で彼女は焚き火をし、食事をしているようだ。音楽は掛けているのだろうか。彼女のテントの辺りは、静かだけれど愉し気な温かい雰囲気に充ちていた。
 
翌朝、彼女はテントの撤収をテキパキとこなし、帰途についたようだ。
地元ナンバーの「おひとりさまキャンパー」。それもシーズンオフのキャンプ場。
 
私達のグループが偶然来ていなかったら、完全なおひとりさまだ。
 
手慣れている設置や撤収をみていると、おひとりさまキャンプの上級者なのかもしれない。遠巻きに見ていても、とてもカッコイイと惚れ惚れしてしまう。
 
なぜなら、一本筋が通って、自分の世界を堪能している。周囲の好奇の目なんて気にしない。「お見事!」と内心呟き、ずっと印象に残っていた。
 
そして、私が「おひとりさま推進派」にシフトチェンジした切っ掛けは向田邦子さんのエッセイ「海苔巻きの端っこ」の中のエピソードが由来する。
 
まだ若かりし頃の向田邦子さんが関西に出向いた時、有名な老舗料亭に予約を入れた。勿論おひとりさま。余りの立派な老舗の貫禄に「しまった!」と感じたそうだが、覚悟を決めた。お酒を頼み、ゆっくりと最高の料理を楽しんだ。帰る間際に、貫禄のある中居さんが彼女に伝えたのは、「ひとりで堂々と料理を楽しむ若い女性は始めてです。貴方はきっと出世なさると思います」
 
そのようなエピソードだった。
中居さんは接客のプロでもあるし、やはり人を見る目に長けているのだろう。
女性が社会で活躍することは珍しい時代。当然おひとりさまなんて認められ難い・・・・・・このエピソードから、向田邦子さんがとても器が大きく、カッコイイ女性と感じた。同時に、「カッコイイおひとりさま」を極めてみたいという欲が湧き上がってきた。
 
その場の雰囲気にのまれず、堂々とふるまう優雅さ。
きっと、ひとりであっても悠然と美味しそうに・・・・・・その時を満喫していたのだろう。正に理想の女性と思ったものだ。
 
「自分軸がブレない、カッコイイ女性になりたい!」
それが「おひとりさま推進派」に路線変更したミーハーな切っ掛けだった。
 
それからの「私のおひとりさま道」は修行だった。
疲れている時、気持ちが萎えている時には修行に臨まない。
 
「おひとりさま」こそ、店選びはちょっと背伸びしたランクのお店。
背筋を伸ばして、ゆったりと堂々と振舞う。視線も虚どってはいけない。
 
あくまでも「余裕でその場を楽しむ姿勢」が肝心なり。
ある意味「演じる」ような修行だったのかもしれない。
 
そのような修行も数年・・・・・・もはや「おひとりさま」の食事や旅行は私にとってスタンダードとなっていた。
 
以前のような、「人の目」は恐れることなく、平常心をキープ。
お店の人とも軽く会話を交わす事さえ可能になった。
「おひとりさま旅行」だって、ゆっくり自分のペースで滞在する。
友人との旅行も楽しいものだけれど、好きなだけ景色を楽しんだり、そこから物思いに耽ったりするのは、やはり「ひとり旅」の醍醐味だろう。何より気が済むまで自分の感覚に素直でいられるのだ。
 
私なりの「おひとりさま修行」は順調な道のりだった。
5年ほど前のこと・・・・・・静岡県の沼津に一泊の所用が入った。
 
いつものように、「どこに泊まろうかな」「美味しいお店はあるかな」
食いしん坊の私は、沼津行きが確定した瞬間から「myお楽しみプラン」をねり始めていた。
 
ある紹介サイトに目が留まった。
それは、沼津には素晴らしい老舗のバーが多い事。「格式のある本格的なバーテンダーのいる老舗バー」・・・・・・なんと魅力的な響きだろう。「格式ある老舗バー」は初体験だ。おひとりさま修行中の私にとって、絶好なチャンスに違いない。
 
私はその初挑戦に標準をあわせた。
「どのお店が良いのだろう?」素敵な渋いお店に目移りする。
 
その中で、とても紳士で高齢のバーテンダーのいる、素敵なお店を選んだ。宿も其処から歩いて行けるホテルに決定。本格的なバーは初めての体験。とても楽しみだった。
 
当日、暗くなる頃にはいそいそと、バーに向かう。
一軒家のようなバーの造りだろうか。扉を開けると其処は老舗の雰囲気で、先ず螺旋階段を上った2階にお客様を迎えるカウンターがしつらえてある。そしてカウンターの向こうにはタキシード姿の紳士が・・・・・・・。夢に見たような素晴らしいシチュエーションだった。
 
普段のみ慣れているハイボールも、美しい流れる様な所作でまるで芸術作品のよう。甘いカクテルが苦手だと伝えたら、好み通りの素敵なカクテルを提供してくれる。
 
そして何より、会話のやり取りが素晴らしい。
周囲のお客様との会話を何気に耳にすると・・・・・・話しかけるタイミング、内容など絶妙な会話術。お客様の層も、静かにお酒を楽しみたい雰囲気の方が殆どだ。映画のワンシーンのように洗練されたバーはまるで日本じゃないみたい。バーテンダーは70代後半だろうか・・・・・・それがより一層老舗の風格を感じさせるのだ。
 
私にとって非日常。別世界のような「場」だった。
このような場を「おひとりさま」で楽しめるようになったんだ。
大人の階段をまた一つ昇ったような気がする・・・・・・もう充分大人の年齢だが人生勉強には終わりはないと思っているので、これも良い人生経験だったのだ。
 
おひとりさまとは、ある意味自分だけの世界の中心に立つことだと思う。
キャンプ場で出会った「おひとりさまキャンパー」。そして、老舗で料理を愉しむ向田邦子さん。共通するのは、「自分の世界」を純粋に堪能すること、尊ぶことだ。自己満足や自己中心的とも違う・・・・・・人に感動を与えるようなセンターに立つ事。その世界の総責任者になることだ。周囲の好奇な目も気にせず、自分の感性を満足させ満たしていく姿は、お見事なのだ。
 
きっちり自分の世界のセンターに立ち、その場を堪能する姿は誰も「寂しそう」なんて思わないだろう。見事なのだから。今の時代は自由ともいえるだろう。
おひとりさまの楽しみも追及できるし、人との時間を共有する楽しみも選ぶことができる。現在の自粛生活が不自由であるとしても、基本選ぶことは出来るものだ。
 
個人的な希望なのだが・・・・・・おひとりさまも堪能できて、時には友人達との交流を愉しめる。センターだけではなく、バックダンサーにもなれるマルチプレイヤーが理想なのだろうと思っている。その年齢や環境に合った愉しみ方を柔軟に選ぶこと。それも人生を楽しむコツ・・・・・・処世術だろうと思うのだ。
 
 
 
 
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2021-08-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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