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なぜ、「医療ドラマ」は毎クール制作され続けるのか?


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:今村真緒(ライティング・ゼミ超通信コース)
 
 
思わず、涙が零れた。泣こうなんて思っていないのに、自然に涙が溢れてきた。ティッシュペーパーを2枚箱から抜き取り、目頭に当てる。
だめだ。一度こみ上げてきたら止まらなくなってしまう。
助かって良かったという思いと、頑張りが報われて良かったという思いが一つになって、私の涙腺は崩壊してしまった。
 
TBSテレビの日曜劇場で今クール放映されている、「TOKYO MER~走る緊急救命室~」というドラマをご存じだろうか?
「TOKYO MER」とは、救急救命チームの名前である。彼らの使命は、最新の機器とオペ室を搭載した大型車両で現場に駆け付け、大事故や事件に巻き込まれた人々に救命措置を施し、「一人も死者を出さないこと」だ。
 
絶体絶命の危機においても、「TOKYO MER」のメンバーは決して諦めない。自分たちを待っている人達がいる限り、何とかして救おうとする医師や看護師たちの使命感は凄まじい。時には、明らかに自らの命の保証ができないような現場でも、患者を救おうと自己犠牲をいとわない姿勢は、観ているこちらを圧倒してくるのだ。
 
ストーリーが進むにつれ、いつの間にか私は、「TOKYO MER」のメンバーを応援したくなっていた。患者さんの命のタイムリミットまでに、何とか救おうと死力を尽くす姿や、様々なしがらみに葛藤する姿に、どうにか乗り越えてほしいと願わずにはいられなくなっていた。
 
事故の現場では、患者さんの命はもちろん、二次災害でメンバーたちの命も危うくなる場面も多い。緊迫した現場では、次から次へと予測不可能なことが起きる。びっくりするくらいハードな状況に、こんなこと実際あるのだろうかと思ってしまうこともある。ドラマだからと言ってしまえばそれまでだが、メンバーを演じる俳優陣の気迫に押され、そんなことは気にならなくなってくるから不思議だ。
 
「早く! 早く!」
心の中で、じれったい思いを叫ぶ。早く到着して処置を施さなければ患者さんの命は失われ、どうにかして救おうとするメンバーたちの心意気も浮かばれない。手に汗を握りながら顛末を追う私は、さながらメンバーの一員にでもなった気持ちだった。
 
物語のラストで、何とか滑り込みセーフでメンバーたちが患者の命を救い、張りつめた糸が解けたとき、冒頭のような感情で私はいっぱいになった。
 
全てが、患者の命を救うためなのだ。一つの目標に向かって団結し、あらゆる試練を乗り越えてその一点に向かうさまは、観ているものに感動を与える。なりふり構わずに、その使命を全うしようとする姿に心を打たれるのだ。
 
毎クール、医療ドラマはどこかのテレビ局で作成されている。設定や役どころは違っても、物語の核となるものは変わらない気がするのだ。全力で命に向き合うという姿勢は、ドラマだと分かっていても、ついついのめり込んで観てしまうのだ。
 
 
 
現在、東京オリンピックが開催され、連日、この猛暑の中熱戦が繰り広げられている。ご承知の通り1年延期されたこのオリンピックを、選手たちは待ちわびていたことだろう。できれば、満員の会場で選手たちを応援できれば最高だったけれど、このご時世ではテレビで見守るだけだ。
 
オリンピックのために、数年間努力を重ねてきた選手たちに大きな歓声を贈ることはできないけれど、逆に私たち視聴者は、選手たちから素晴らしい贈り物をもらっているような気がする。
その一瞬にかける気迫や真剣な表情、勝っても負けてもベストを尽くすことの尊さ、それまでの努力が垣間見える瞬間に、胸の奥がギュッと掴まれてしまうのだ。
 
「頑張れ。頑張れ」
様々な競技を見ると、つい応援したくなる。
その選手が、実際にどれほどの努力や試練を重ねてきたかを詳細に知ることは叶わない。けれど、画面に映る選手の姿に、無条件に力が入り声援を送りたくなってしまう。
 
先日行われた、卓球の混合ダブルスの決勝戦は圧巻だった。
リオオリンピックの個人銅メダリストの水谷隼選手と、同じくリオオリンピック団体で銅メダルを獲得した伊藤美誠選手のペアだ。しかも、相手は宿敵の中国だった。卓球王国の中国は、長い間日本にとって破りたくても破れない強固な壁だった。昔は私も卓球をやっていたので、中国と対戦と聞くと、無理だろうなと思っていたことを思い出した。
 
けれど、そんなことはなかった。
序盤こそ中国に押されていたものの、2人の闘志は衰えることはなかった。その後3ゲームを連取し、最終ゲームまでもつれ込んだ後、怒涛の勢いで点を稼いでいったのだ。圧倒的王者の中国選手に対し、怯むことなく応戦する2人の姿にまた目頭が熱くなった。
 
金メダルを胸にした時、2人の表情は晴れやかだった。長い間、この日のためにどれだけの練習を重ねてきたのだろう。私たちが、思いも及ばないほどの努力の日々に耐えた2人が掴んだ栄光だった。金メダルをひたすらに目指し、オリンピックという舞台向かってに全てを集中させてきたのだ。
 
ふと、何かが似ていると思った。なぜ、ここまで心を揺さぶられるのか分かった気がした。
オリンピックは、私が好きな「医療ドラマ」に似ているのだ。
一つのことに向かって、一心不乱に真っ向勝負で挑んでいく姿を応援したくなるのだ。命の現場という厳粛なものと戦う医療関係者の姿を再現してくれる医療ドラマと、金メダルという頂上を目指し、壮絶な努力をしながらライバルや己との闘いを繰り広げていくオリンピックは、その真摯な姿勢で、私たちの心を熱くしてくれるのだ。
 
コロナ禍の中、自らの危険よりも患者の命のために必死に働いている医療従事者の方々も大勢いらっしゃることだろう。医療ドラマで描かれる事件は、フィクションならではのものもあると思うが、命の尊さを訴え、そのために医療従事者の方々が、どれだけの想いで立ち向かっているかを想像することはできる。
 
きっと、その想いに圧倒されて、私たちは目が離せなくなってしまうのだろう。真剣に立ち向かう姿は、美しくも尊い。数々な困難や試練に打ち勝って、ひたすらにゴールに向かうオリンピック選手を見るように、ドラマで繰り広げられる医療の現場にくぎ付けになってしまうのだ。
ドラマのラストには、「ああ、良かった。報われた」そんなカタルシスを感じることができる。
 
現在、コロナ禍で、様々なことを我慢する機会が増えた。人との距離を置くことが当たり前となり、直接会えないことで、ぬくもりを感じる機会が減った。直に触れ合えるコミュニケーションが少ない今、きっと心の飢えを感じる人が多いと思うのだ。心を潤す何か、心を燃やす何かを見つけたい人が大勢いるのではないかと思うのだ。
 
感動は、心の栄養だ。感動が、人の原動力となる。
しばらくは、オリンピックを観戦して栄養補給をしたいと思っている。応援し熱くなって、一体感を楽しみたい。そして、自分もまた頑張ろうと勇気をもらう。
 
それと同様に、私はやはり医療ドラマを見続けてしまうだろう。心が感動を欲しているからだ。結末は何となく想像がつくけれど、そこに至るまでの人間ドラマにもまた勇気をもらうのだ。こんな展開ありえないと思っても、信じて救いを求めたいからだ。人間が必死に生きる様を見て、心を洗われたいと思うからだ。頑張れば、必ず報われると思いたいからだ。
 
現実は、そう上手くいかないこともあるだろう。厳しい現実に打ちのめされることもあるだろう。それでもなお、人間を信じて夢を見させてくれる「医療ドラマ」は、ひとときの癒しであり、励ましをくれるものだ。私のような人間がいる限り、きっと「医療ドラマ」は衰えることがないし、やはり、毎クール必須のドラマジャンルとして君臨し続けるのだと思う。
 
 
 
 
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2021-08-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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