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人生100年時代に寿命60才と思いながら生きる30代半ば男の途中経過

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記事: 槇島 隆 (ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
これは途中経過の話だ、
綺麗な終わり方にしたいところだが人生は死ぬ直前まで分からないし、
死んでも分からないかも知れない。
そして、いつ終わりが来るのかは本当に分からない。
 
専門学校を出て生まれ育った北海道から就職の為、
愛知へ引っ越してから1年もたたない3月、
母から突然電話があった。
本当に急な話だった。
父が亡くなったのだ、56才、ガンだった。
気持ちの整理がつかないまま、
その電話の翌日には飛行機で北海道へ向かっていた。
近親者の死に向き合うのは小学生以来だった、
親が亡くなるという事を想像もしていなかった。
葬儀の時も自分が何を感じていたのかよく覚えていない。
わたしの途中経過な人生とは違い、父はここが最終地点だった。
 
昔ながらの父親だった。
わたしから見ても真面目な生き方、
むしろそれしかできないと言う不器用な人だった、
自分もそんな不器用さを受け継いでいると思う時もある。
不器用でも一生懸命生きた父は幸せだったのだろうか?
父の一生に想いを馳せた、何故か涙は出なかった。
残された母や姉妹たちへの責任を父に代わり感じていたからかも知れない。
そして、悲しさよりも人間の生き物としての儚さを感じた。
それでも世界は回っていくのだと。
 
あれから15年が経った、
21才だったわたしもアラサーからアラフォーへ向かっている。
当たり前の事だが時間は前にしか進まない。
人生は有限なのだ。
21才で父の死に直面して思った事は、
これも当たり前の事だが人間はいつ死ぬか分からないという事だった。
当たり前な真理がリアルに自分の中にしっかり刻まれたのだ。
 
そしてこう思った、自分は何才まで生きられるのだろう?
父の年齢より長く生きられるだろうか?
少なくとも母より先には死ねないな。
世の中では人生100年時代なんて言われているが父のことを思うと
自分が100才まで生きるとはどうしても思えなかった。
日本の長寿化による100才よりも
1人の肉親の56才の方が遥かに重い意味があった。
100才まで生きる気満々で明日が最終回だったらどうするのだろう?
かと言って日々刹那的に生きるほどわたしは図太くは無い、将来は不安である。
 
わたしは始めた。
この15年間の中である思考実験を。
それは寿命60才だと思って生きてみるという思考実験だ。
この思考実験からすると30代半ばのわたしはすでに人生の折り返し地点を過ぎていることになる。そろそろ実験データを振り返るべきだろう。
 
実験を始めた20代前半、わたしは生き急いでいたように思う、
やりたい事をとにかくやり始めた。ボイストレーニングからバンド活動、
苦手だった英語を習いに英会話、海外旅行、とにかく予定を埋め続けた。
人より短い人生を濃く生きようと必死だった。
 
しかし、30代に入ると少し考え方が変わってきた。
本当に自分が必要な時間、心が感じる事は何か?
寿命60才想定での折り返し地点である30代、
自分が突き詰めたい生き方を考え始めたのだ。
ものでも、事でも自分の心に問い、
優先順位がわかる様になってきたという感覚はある。
どちらかと言うとぼんやりした性格のわたしは
30代なら人生100年とか、平均寿命80代だしまだまだのんびりやれると
きっとズルズル過ごしていたであろう30代にこの思考実験は少しづつ生きる道を示してくれている。
 
いや違う、思考実験だけでは無い。
きっとこれはリベンジなのだ。
父が早くに亡くなり、その思いは分からないが、
わたしはやはり早すぎるし、悔いはあったのではと思ってしまう。
もっと何かを成し遂げたいと思っていたのではと。
その思いを覆したいのだ。
命の長さに限らず60才になる頃に悔いが無いほど幸せになって、
もしそこで寿命が来てもいい人生だったと言えるくらいの生き方でリベンジしたいのだ。
父はわたしに生きる道を自ら探求する為のギフトを残してくれたのだ
そしてわたしはこの思いを胸に人生をかけてリベンジを果たそうと思う。
 
今はまだ途中経過だ、
人生に成功や失敗があるとしてもどちらなのかジャッジなんて最後までできない。
1つ言えるのは、寿命60才のシュミレーションで考えることは生きることを、
自分を生きることを掘り下げるキッカケになった事だった。
それまでよりも少し自分の気持ちを大切に出来てると感じている。
しかし、60才を超えたらどうしたらいいのだろうか?
いっその事、流行りの転生ものアニメばりに来世分の人生を前借りしたと考えてみるのも面白いだろう。
 
 
 
 
***
 
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2021-08-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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