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もし5年後に死ぬとしたら


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:大嶋実里(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「5年後に死ぬとしたら、自分は何をやりたいだろう」
 
そんなことを考えたことはありますか?
私はあります。
不治の病を宣告されたわけではありません。
キッカケは、ある女優さんの訃報でした。
 
享年54歳。特別好きでも嫌いでもない人でしたが、とても驚きました。
ほんの数週間前、激やせの体で、でも明るい笑顔でいつものように報道陣の前で話す、
テレビに映った彼女の姿を覚えていたからです。
 
「激やせなんて言ってる場合じゃないんです。舞台の稽古があるので」
 
黒地に華やかな模様が入ったドレスを着て、ご主人と並び微笑む姿は、忘れられません。
確かに素人目にも、病的に痩せているように見えました。
けれどそれを感じさせない笑顔と元気な声で、舞台のことを話されていました。
だからまさかその後に体調を崩して降板し、それから幾日も経たずに訃報が届くなど、
思いもよらなかったのです。
 
追悼番組やネットニュースでは、私が個人的に持っていた彼女のイメージを覆す、
多くのエピソードが報道されました。
(数年前なので多少うろ覚えのところもあります)
 
プライベートな外食でも、レストランの照明や壁、テーブルクロスの色などを前もって確認し、
その場所で自分が一番美しく見える色の服を着ていく、とか。
ワインは好きだけれど、飲む量は実はそれほどでもなかった、とか。
病床から、ご主人のサプライズバースデーパーティーの計画をご友人にメールした、とか。
お世話になった人には、美しい文字で書かれたお礼状を出していた、とか。
 
常日頃から女優としてのプロ意識を持って生活していたのはイメージ通りとしても、
レストランの照明まで考えるのか! とその徹底ぶりに驚きました。
飲むワインの量も「私の血はワインで出来ている」の名言が有名なので、意外でした。
さらに人間的で教養のある、とても気配りできる女性だったのだと、亡くなられてから初めて知りました。
 
そんな彼女の、生きざま、死にざまをテレビやネットで見聞きするうちに、気付いたのです。
今49歳の私がもし同じように54歳で死ぬとしたら、あと5年しかない! と。
 
私は考えました。
もし5年後、彼女と同じ年齢で死ぬとしたら、今のうちにやりたいことは何か?
答えはすぐに出ました。
それは「ボイストレーニング」でした。
 
カラオケに友達と行けば「歌がうまい」と言われ、
電話の仕事をしていると、時々だけれど「声がきれい」と褒められる。
その声を生かしたい。出来れば声の仕事がしたい。
コールセンターみたいなストレスがたまる仕事ではなく、もっと別の何か。
以前からずっと、そんなことを頭の片隅で考えていたのです。
 
優柔不断な私にしては珍しく、その時はすぐに行動できました。
「死」を意識した時、人は逆に「よく生きる」ことに目覚めるということは、
昔からあちこちで見聞きする話ですが、それを実感させられました。
当時の仕事の時給が人生最高額だったことも、背中を押してくれました。
 
都内にスクールは沢山あります。けれど「迷わず勢いで」動きたかったので、
随分昔にブラウザの「お気に入り」に入れていた所に、体験レッスンを申込みました。
そうです。私は「お気に入り」に入れておくくらい、以前からボイストレーニングに興味があったのです。
ただ「行動しなかった」だけで。
 
入会しておよそ半年後、喘息を発症したため私はスクールを辞めました。
けれど、「本物」の「プロ」の発声を間近で聞けたことは、とてもいい経験でした。
さらに自分の「本気度」もよくわかりました。
レッスン以外の時間、自宅で自分なりに練習を積むほど、私に熱心さはなかったのです。
 
費用は毎月およそ3万円×6カ月で18万円近く使いました。安い金額ではありません。
けれど、憧れているだけでは決して知ることができなかった世界を実体験できたので、
後悔はしていません。
あの時に行動して、本当によかったです。
 
そんな私がまた彼女を思い出したのは、恥ずかしながら最近です。
ライティング・ゼミに申し込むかを迷っていた時、ようやく気付いたのです。
「あ、私、彼女の享年を、もう超えちゃった」私は既に55歳でした。
 
だからまた、あの時のように考えてみました。
もし60歳で死ぬとしたら、私はどうしたい? と。
 
ちょっとでも興味があるなら、またやってみようよ。
やってみなきゃわからない世界があるよ。
今の時代、コロナに罹ったらそれこそ、いつどうなるかわからないよ。
だから1回位ライティング・ゼミ、参加してみるのもいいんじゃない?
 
新しいことに挑戦しようか迷った時、あるいは今の環境を変えたほうがいいか悩んだ時。
「もし5年後に死ぬとしたら、自分は今どうするべきか、否、どうしたいか」
を考えてみると、案外すぐに答えが出るかもしれません。
 
最後に、2015年9月に逝去された、川島なお美さんのご冥福をお祈り申し上げます。
 
 
 
 
***
 
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2021-08-17 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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