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「あなたはアイドルか?」


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:長尾将徳(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「アイドルの握手会に行ったことはありますか?」こう問われると、ノーと答える人が大多数だろう。だが、私は言いたい。あなたは毎日握手会に参加しているし、あなた自身もアイドルなのだ、と。どういうことだろうか?
 
私たちの毎日はアイドル的なやり取りで溢れており、触れない日はないのだ。そのアイドル的やり取りとは、“あらゆる接客業”の中に見て取れる。よりはっきり言うと、「すべての接客業はアイドルの握手会と同じ」なのだ。
 
2010年台に秋葉原を拠点とする“会いに行けるアイドル”AKB48が国民的人気を博したことを覚えているだろうか。ファン参加型イベントとしての選抜総選挙や、長蛇の列をなす握手会の様子を記憶する方も多いだろう。何を隠そう、私もその列の中にいた一人だった。ディズニーランドのアトラクション待ち時間を悠に超える、実に数時間。高校生だった私は、憧れのアイドルとの会話に想像を巡らし「最初は何て声をかけようか……」などと考えたものだった。今から考えると、参加自体が若気の至りそのものだったのだが。ファン目線からすると、TVの向こう側できらきら輝く存在が、自分に向けて数秒でも生の会話を届けてくれる、それだけで嬉しいものなのだ。
 
私は居並ぶアイドルの握手に、接客業の真髄を見た気がした。目の前に立つファンは数秒単位で移り変わり、文字通り目が回るほどの変化がある。それを物ともせず、一瞬で相手を隈なく観察し、ファンが声を発する前に自ら声をかける。それも、相手が一番欲している一言を。「久しぶりだね、会いたかったよ!」「髪型変わった?すごい良いじゃん!」など。コミュニケーションのキャッチボールを超えた、テレパシーだ。観察眼を持って相手の心の底を見通し、一言でしとめる。会いに行けるアイドルにファンが毎時間思いを馳せる一方で、アイドルはファンに一瞬で「好き」のエネルギーを振り切り、熱を伝える。会話の濃淡や、話がうまく噛み合ったかどうかはファンの記憶に残らない。「あの子が自分に会えて心底楽しそうにしてくれた」その熱感だけが、ファンの胸に刻まれるのだ。数秒の時間のうちに、相手を好きになるほどのエネルギーを傾け、観察眼から汲み取られた魔法の一言を届ける。このスキルがファンをより熱烈なファンにしていく。
 
国民的アイドルに育てられた私は、同じことを、今度は自分がしてみたくなった。学生時代にアルバイトをしていたカフェで、アイドルのマインドセットで接客した。行列時のレジでのやり取り、飲み物を手渡す数秒、フロアで目を合わせる一瞬、来店される方への歓迎のひと言。果たして私自身のファンが無数にいたかと言われると疑問だが、「あなたがいるからつい来てしまう」と言われたり、和装の貴婦人に「素敵な笑顔ね」など褒められたりするまでにはなった。“アイドル的”であれば、接客業では敵なしになれると分かった。
 
果たして私たちの日常的なコミュニケーションはどうだろうか? 身の回りにアイドル的なコミュニケーションがあるか、考えてみたい。「そこまで熱のこもったやり取りはないな」と思うだろうか。では、角度を変えて質問してみよう。日常生活の中で、ふと寄りたくなってしまうお店や、場所はないだろうか。馴染みのパートのおばちゃんがいるスーパー、近所の魚屋、渋さと温かさを同居させた不思議なマスターがいるバー、何でも良い。恐らく誰でも、一つや二つ、そうした場所を持つだろうと思う。彼らが無意識下でしていること、あなたが無意識に享受している心理的な価値は、実はアイドルの握手会と同じなのだ。「この人は私を見てくれている」「私という個人を認識して、言葉をかけてくれている」家族にすら本音を話せなくなるような孤独な現代で、私たちは意図せず、“自分だけのアイドル”を求めているのだ。あなたを見ているよ、あなたを好きです。そんなエネルギーを受け取りたくて、私たちはさまよっている。スッと手を差し伸べるような一言がサービスに込められたとき、私たちはファンになり、ついリピートしてしまうのだろう。そうした意味で、あらゆる接客業、あらゆるコミュニケーションはアイドルの握手会と同じなのだ。
 
ここで敢えて畳み掛けて問いたい。あなた自身はアイドルであれているだろうか? もちろん、見た目が美しいかとか、誰からも好かれるかとか、そういう話ではない。向かい合う相手と、数秒で恋に落ちるほどのエネルギーを向けてコミュニケーションをできているだろうか、ということだ。日常で言葉を交わす相手を一人一人思い浮かべて欲しい。自分はどんな態度で、どんな言葉を発しているのだろうか。慣れや飽き、惰性からつい素っ気ないやり取りに終始していないだろうか。もちろん、常にアイドルたれ、という訳ではない。あなたも相手も人間なのだから、弛む時や弱い時があって良い。ただ、やり取りが続いているということは、相手も、そしてあなた自身も、「この人とつながっていたい」という意思が根底にあるからだということは再認識しておけると良い。そんな風に捉えた時、相手とあなたを温かい風が包み込むのを感じないだろうか。自然と、「もっと相手に真剣に向き合ってみたい」と思えるはずだ。そう思えたとき、あなたは既に、アイドルなのである。
 
 
 
 
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2021-08-31 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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