メディアグランプリ

「吉本ばなな」の魅力に気が付いてしまった話


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:北瀬 彩野(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
誰もが知っていると言っても過言ではない作家「吉本ばなな」。あまりにも有名すぎて半年前まで彼女の本を手に取ったことがなかった。図書館や書店に行くと必ずと言っていいほど彼女の名前を目にする。地元の観光地、例えば大きな鍾乳洞や滝や郷土資料館に地元の人が行ったことがないということがよくあるのと同じで、彼女の名前を目にしすぎてその本を手に取る機会がなかなか訪れなかったのだ。
 
半年前、そんな私に機会をくれたのはオンラインの読書サークルだった。読書好きの私は「月額制で本が送られてきてそれを読んだ後、その本についてオンラインで語り合える」そんなサービスを見つけ何となく面白そうだなあ~と思い登録してみた。さっそく交流会へ参加してみると、自己紹介の時間で私の吉本ばななへの興味がそそられることになる。本好きが集まるサークルなので自己紹介の際には当然好きな本やおススメの本の紹介が行われたのだ。その中に吉本ばななの「キッチン」という本を勧める女性がいた。
「私の人生観が変わったというか、ホッとするというか、手に取って何度でも読みたい本です」
そう言った彼女の表情から本当にその本が好きなのだということが伝わってきて、なんだか今すぐにでもその本を読みたい! 読まなければ! という気持ちになった。気が付けば、交流会が終わる頃には「キッチン」の注文も終わっていた。
 
三日後に手元に届いた「キッチン」を私はその夜に夢中で読んでしまった。ページをめくる手は止まらず、眠くもならず、途中涙が出そうになりながら最後まで読んだ。読み終わるとサークルの交流会で女性が言っていたようになんだか心がホッとしていて、この本は売ったりせずに大事に手元に置いておこうと決めた。そんなことがあったので、吉本ばななの他の本も読まずにはいられなくなり、古本屋に行っては彼女の本をまとめ買いし読むようになっていった。あんなに目にしていて手に取らなかったのに、私の心は彼女の世界に魅了されてしまったのだ。
 
ユニクロに似ている
ユニクロと聞けば誰もが聞いたことがあり一着は持っていそうなものだが、たまにユニクロに行ったことがないという人に会って驚いたりする。Tシャツを買うにもジーンズを買うにもその質を疑ったりはしない。むしろ期待感や安心感の方が大きいはずだ。しかしながら、時に失敗もある。ちょっと丈が長かったなとか色が派手すぎたなとか。私は身長が低いので、外国人モデルさんではサイズ感が掴めないことが多い。あと、これはちょっとどうなんだろうという攻めたデザインのものもたまに販売させていたりして、着てみると意外と似合ったりとかということもある。
 
吉本ばななの名は誰もが知っているくらい有名であり、本が売れているので安心感もある。しかしながら私のように手に取ったことがない人も中にはいる。一度彼女の魅力に気が付けば、読む前から今度はどんな世界を見せてくれるのだろうと期待感がある。中にはかなりパンチが効いた内容のものもあって、「おぉ~」と驚かされたり、表紙のイラストがとっつきにくくて後回しにしていた本が一番今の自分に合っていたりする。
 
彼女の本には不思議な出来事や変わっている登場人物が出てくることが多いのだが、現実離れしている訳ではない。こんな人いるかな? と疑問に思いながらも読み進めていくとだんだんといるような気がしてくる。30年以上前に書かれた本なのに文章が色あせたりもしていない。どんでん返しのミステリーのようにドキドキして眠れないことなんてない。落ち着いて次の日に続きを読むことができる。文章から情景が想像でき、時に自分と重ねて読んだりしている。例えば「ハゴロモ」という本の冒頭に主人公の女性のふるさとの描写があるのだが、それが私の住む町と結構似ていたので、なんとなく川の見えるおしゃれなカフェでコーヒーを飲みながらおしゃれな気分で読んだ。彼女の本はゆったりとした時間が好きな私の過ごし方にもあっているのかもしれない。彼女はしばしば、生や死、愛など難しいことを取り上げているが、重い内容でも重くなりすぎないような文章なのでスッと私の心に届いてちゃんと何かを残していくような気がする。
 
さて、「吉本ばなな」という名前。この記事を書いている時に思ったのだが、特徴的で覚えやすいが、なぜバナナとつけたのだろうと気になってしまい、ネットで検索してみたところ彼女の答えを発見した。《適当かつ真実であるところの「バナナの花が好きなんでござるよ。」という答えを述べ》ていたという(吉本ばなな『パイナツプリン』角川文庫)。バナナが好きすぎるのかと思っていたが、バナナの花が好きなのだった。「バナナの花ってどんな花なんだ?」と更なる疑問を生む回答だなと思った。バナナの花は私の想像とは全く違ったのでぜひ検索してみてほしい。
 
目の前に積み上げられている先日追加購入した彼女の本。どんな話なのか、それを読んで自分が何を感じるのかとても楽しみだ。
 
 
 
 
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2021-09-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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