「嫁ブロック」はなぜ起きるのか?
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記事:nasuica(ライティング・ゼミ平日コース)
「フリーランスになろうか迷っている」
小学校からの友人に相談された。プログラミングの技術力が高いのに、給料が安いのが不満だという。
正直、絶対にフリーランスになった方がいいと思った。彼の能力であれば、間違いなくうまくやっていける。地道な努力でつちかった、お客さんへの細やかなコミュニケーション能力と、その要求に応じられるだけの経験を持っていた。
彼のことをよく知っていることもあり、なぜ迷っているかが分からなかった。ただ単に、私に背中をおしてほしいだけなのか、迷う理由が他にあるのか……。
詳しく聞いていくと、いわゆる「嫁ブロック」がおこっている、ということらしい。
「嫁ブロック」という言葉を聞いたことがあるだろうか?
夫が新たな挑戦をする時に、妻に反対されることをいうらしい。例えば、転職、起業などを考えているときに、ゴールキーパーのようにブロックされる現象のことをいうようだ。「嫁」という言葉が入って入るが、男女に限った話ではないだろう。逆バージョンのことを「夫ブロック」とでも名づけられるだろうか。
嫁ブロックの大きな理由は、要約するとリスクが高いから、ということだった。
フリーランスになるということは、会社からの福利厚生もなく、病気になってしまったらどうするか。お客さんがいなくなってしまったら、収入はゼロになってしまう。
奥さんは働いているが、これから子供を作りたい、ということもリスクを気にする要因だった。
例えば産休の間、奥さんの収入は減るだろう。育休の期間も考えると、将来どのくらいお金が必要かわからないのに、夫の収入が不安定になるなんて、あり得ない。
そう考えると、友人の奥さんが反対している気持ちは、痛いほど分かった。
「どうしたら解決できるだろう?」
友人からの相談に、ウンウンうなって考えた。彼にはチャレンジしてほしい。優秀な彼がチャレンジしないのは、とても勿体ない。社会の損失だ、とさえ思った。さりとて、奥さんの気持ちもとても分かる。
かくいう私も、共働きだ。妻と二人三脚で生きていくにあたって、原点を思い出してみた。
結婚する理由は、二つあると思った。
一つ目は、感情的な理由だ。お互いに一緒にいたいから。
二つ目は、合理的な理由だ。一緒にいる方が、危機を乗り越えやすいから。
特に二つ目について、私の考えを友人に説明するために、丁寧に言葉にしようと思った。
夫婦で生きていくことは、株式投資をするにあたっての、株の選び方似ていると思っている。
例えば、あなたが株を買うことにしたとしよう。安定を好むなら、株価の動きが安定している企業を選ぶだろう。そうすれば、リスクが低い。
もっと儲けたい! と思うのであれば、株価の動きが不安定な企業を選べば、大きく儲けられる可能性がある。しかし、その代わり損をする可能性ももちろんある。つまり、リスクが高い。
株式投資をするにあたって、よく知られた格言がある。
「一つのカゴに卵を盛るな」
というものである。
たとえ、安定している企業だと思ったとしても、不祥事がおこれば、たちまち株価は下がってしまう。そのため、全ての投資資金を一つの株につぎこむのではなく、複数の株に分散してもつべきだという考えだ。分散投資、とも呼ばれる。そういう考え方を卵に例えると、「一つのカゴに卵を盛るな」という表現になるのだろう。
そういったリスクについての考え方は、個々人で違っていて当たり前だと思う。リスクが低い方が性に合っているならば、そういった株を買えばよい。そして、ここが勝負だと思ったのならば、分散投資さえ気にせずに、リスクが高い株に全財産をつぎ込めばいいと思う。
私は夫婦で一緒に生きる上でも、同じことが言えると思う。どこまでリスクをとった生き方をするか、という問題におきかえられると思うのだ。
今回のように、フリーランスなりたいという場合、リスクの高い株を選ぶのと似ている。夫はリスクがあるが、大きなリターンが得られると思っている。奥さんも働いているため、友人の家庭は、「分散投資」してリスクが分散されているといえるだろう。
しかし、奥さんは子供がほしいので、フリーランスになった場合、あまりにもリスクが高いと考えていると言える。
つまり、家庭でどのくらいのリスクをとるか、について齟齬が生じていることが根本的な問題だと思った。このリスクに対するコミュニケーションのズレが、「嫁ブロック」ではないかと思った。家庭内の投資方針がズレている状態だ。
「今は、このくらいのリスクで生きていこうよ」
そう言葉にして、二人で納得ができれば、問題は生まれない。そして、投資方針は、時間がたつにつれて変わるものでもあると思う。奥さんが産休、育休から復職すれば、リスクが低い株を買ったのと同じことだ。友人の方は、よりリスクが高いチャレンジをすることができる。
友人がもし、今すぐフリーランスになりたい、というのであれば、
「フリーランスになることは、思っているよりもリスクは低く、大きな見返りが期待できる」
ということを証明せねばならない。そうでなければ、二人が納得できる人生の投資方針、リスクの取り方にズレがあるままだからだ。
具体的には、既にお客さんがたくさんいる、とか。リピートしてくれるお客さんがいて、月に○○万円は保障できる、とか。奥さんに向き合った交渉が必要なはずだ。そして、彼ならば十分、奥さんを説得できる材料をたくさん持っていた。
「やってみるよ」
と彼は言った。
紆余曲折があったようだが、結果的に奥さんを説得できたようだ。後で聞いた話だが、プレゼンテーションを12枚も作成した気合のいれようだったようだ。その覚悟とやる気も、ブロックを突破できた要因だったのだろう。
この時代、「嫁ブロック」だけではない。「夫ブロック」もたくさんあるだろう。うちの妻がチャレンジをしたい、と言ったら私はどう反応するだろう。気持ちよく背中を押してあげられるだろうか。
私がチャレンジするにせよ、妻がチャレンジするにせよ、その時には人生の「投資方針会議」を開催しようと思う。
***
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