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スカートを履いてみたら、習慣の恐ろしさを身をもって感じた話


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:ロケットえんぴつ(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「スカート履かないよね?」
 
入社して数年ほどたったある時、会社の先輩に言われた。
そういえば、履いてない。言われるまで気づかなかった。
別にスカートが嫌というわけではない。ただ、パンツが当たり前になりすぎて、スカートを履くという発想がなくなっていた。
 
私の人生の9割はパンツスタイルだった。
ボーイッシュな女の子にあこがれ、小学生の頃はショートパンツが多かった。
中学校に上がると、セーラ服よりも学校のジャージが大好きで、体育の授業がある日は、必ずジャージ姿で帰宅していた。
体育祭の時にひとりだけジャージで登校して、先生に怒られ、「ジャージ王」という称号までもらった。
それくらいスカートを履くことがなかった。
 
20年近く染みついたパンツスタイルは、歩き方にまで影響を与える。
私は普段、大股、早歩きで歩く。
階段も一段飛ばしで上がっていく。
 
スカートでは無理な歩き方が、すっかり体にしみ込んでしまっていた。
 
「スカート履かないよね?」ということばは、私に「いい社会人になったんだし、スカートを履いてみようかな」という気持ちを目覚めさせてくれた。
でも、急にスカートで出社するのは恥ずかしいから、まずはプライベートから試してみよう!
 
私は街中や雑誌などで、スカートを履いている女の子をチェックしてみた。
確かにかわいい。いかにも女の子という感じだ。所作も、しおらしく見えてしまう。
 
そんなことを考えていると、あるスタイルに目を奪われた。
白のシンプルなTシャツに、少しタイトなデニムの半端丈(ふくらはぎぐらいまでの長さ)スカート、ハイカットのスニーカー……私の好きなテイストだった。
 
これだ! これにチャレンジしてみよう!
 
早速、お気に入りのブランドで、私も購入してみた。
今までにないスタイルで、見慣れず気持ち悪かったが、せっかく買ったんだから! そう思い、予約していた美容院へ出かけてみた。
 
それにしても久しぶりのスカートは、中がスースーして、なんともぎこちない。
デニムのため布地が硬く、いつもの歩幅で歩けない。
歩き慣れないのを我慢して、美容室へ行った。
 
「今日、なんかいつもと違いますね!」
担当の美容師にそう言われ、悪い気はしなかった。
スカートもいいじゃん! これからもチャレンジしてみよう! と思えた。
ヘアスタイルも変え、気分は高揚していた。
 
美容院が終わり歩き出すも、やっぱり慣れないスカートは歩きにくい。
 
よし、帰りはバスで帰ろう!
 
この判断は、後の私のスカート人生を大きく変えることになる。
 
乗っていたバスが目的地に到着し、私は一番最初に降りようとした。
バスの降車のためのステップと、歩道は同じ高さで、その間には自転車が1台通れるようなスペースがあいていた。
 
 
察しのいい人は、なんとなく気づいているだろう。
 
一般的な女性陣は、きっとこのように降りるはず。
『バスのステップから車道へ降りる⇒車道から歩道へ上がる』
 
20年近くパンツスタイルを続けてきた私の場合は、
『ステップから歩道まで、一歩で移動する』
 
いつもの調子でついやってしまったのだ。
デニムの硬さで想像していた半分も足が開かない!
 
目に映る光景が突如スローモーションになった。
自分の体が少しずつ傾いていく……
運転手さんが「あっ」と言っている声が遠くなっていく。
バス停で待っている人たちが私を見ている。
バス停を通り過ぎていく人たちも私を見ている。
バスから降りようと私の後ろに並んでいた人たちも、きっと私を見ている。
 
 
気づいた時には、アスファルトが目の前にあった。
 
 
私は、バスから歩道へ、きれいにダイブした。
 
 
最悪だ。
私の周りに人が集まりそうな気配がする。
みんな声をかけていいものか迷っている、そんな空気が漂っている。
誰かが「大丈夫ですか?」と言っていたかもしれない。
 
以前、ロックバンドのアーティストが、観客の中にダイブする映像をみたときに、もしあれで受け止めてくれる観客がいなかったら、どうなるんだろう? と疑問に思ったことがある。
 
あぁこうなるのか。
 
アスファルトに伏せながら、そんなどういでもいいことが頭によぎった。
 
 
私は、うつぶせにダイブしたせいで、膝を打ち、手をすりむいて、息ができないくらい痛かった。でもそんなことよりも、恥ずかしさの方が勝ってしまい、この場をどうにかして乗り切りたかった。
心配してくれる人には申し訳なかったが、私はその人たちに何も言わず、誰とも目を会わさず、スッとたちあがり、何事もなかったように、走ってその場を離れた。
自分がどこへ向かってるのかわからないくらい、頭の中はパニクっていて、とにかくその場を離れるのに必死だった。
膝は痛いし、手は痛いし、恥ずかしいし、手に持っていたスマホも傷らだけ……
なんかもう、いろんなダメージがすごかった。
 
家に帰り、デニムのスカートをそっとタンスの奥にしまった。
残念ながら、その後スカートで出社することは叶わなかった。
 
 
私はこの話を、ただのスカートを履けなかった悲しい話で終わらせたくない。
 
発想の転換が必要だ。
 
スカートを履けないまでに身についた大股歩きの習慣、この習慣というものは恐ろしい。
服装が変わったくらいじゃ、抜けることはない。
 
でも裏を返せば、いい習慣を身につけさえすれば、体が勝手にやってくれるのだ。
例えば、ダイエットをしたいなら、腹七分目くらいでやめる、間食をやめるなど、これを習慣化すれば、“ダイエットをする”という意識なく、体がその生活を維持してくれるようになるのだ。
 
習慣が持つチカラは、人生までを変える。
習慣をうまく利用して、自分の人生をより良く変えていこう。
スカート事件をきっかけに、私は身をもって感じたのであった。
 
 
 
 
***
 
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2021-09-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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