メディアグランプリ

現代社会のニュータイプ?


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:nonchan(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
仕事で他の部署にメールを送った。
すぐさま先輩からメールが飛んできた。
 
「先ほどのメールを訂正してください。打ち合わせの内容と違います」
 
あれ?
打ち合わせの内容の通りに送ったはずなのに?
冷や汗が止まらない。
何を間違えたのかわからない。
困惑しながらもすぐ訂正のメールを送った。
 
「〇〇(私の名前)さんとはコミュニケーションのミスが多いです。今後は、お金やスケジュールで他部署とやりとりする場合は、事前に確認を受けてください」
 
別の先輩からメールがきた。
私の仕事は一時が万事こんな感じだった。
 
昔からコミュニケーションは苦手だった。
社会人になってから一層コミュニケーションについて悩み、苦しみ、もうどうしようもなくなって、ついに精神科を受診した。
 
「○○(私の名前)さんはASD、自閉スペクトラム症の可能性があります」
 
ASD?
確か発達障害の一種だったかな?
 
どうやらASDの特徴は、
・コミュニケーションが苦手
・特に会話の内容を理解することが苦手
・ニュアンスや場の空気を読むのが苦手
・特定の分野に興味関心を持つ
・言い回しや表現が独特
・変化を嫌い同じ行動を好む
らしい。
 
「簡単なテストの結果ですのでASDとは断定できませんが傾向は強いですね。グレーゾーンと言われているものです」
 
グレーゾーン。
完全に発達障害とはいかないが、とても近い状態らしい。どうやら私は大人の発達障害だったようだ。
 
そうか、そうだったのか。
子供の頃から不思議に思っていたことがある。人の会話の内容が理解できない。相手が「○」と話したのに私は「▲」と理解してしまう。そんなバカなと思ったあなた。本当である。
 
普通の人なら「○」と言われたら「○」と理解するだろう。仮に間違えて「▲」と理解しても相手に確認を取るはずだ。しかし私は「▲」と信じ込んでしまうのだ。みなさんが普通にできるコミュニケーションは、私にとって喉から手が出るほど欲しかった能力だ。
 
子供の頃は「変わっているね」で済まされていた。しかし大人になり、社会人になると状況が変わる。会社ではさまざまな人とコミュニケーションを取らないといけない。自分が苦手なことでも取り組まないといけない。人の話を理解できない、興味関心のある分野が狭い ASDの特徴が致命的な弱点になる。
 
さらにグレーゾーン。正式に診断されないが、限りなくASDに近い状態。これでは大人になるまで自分が発達障害であることに気がつかない。正式な診断結果がないため、周りの理解も得られにくい。大変厳しい状況だった。
 
そんな状態でもコミュニケーションを取らないと仕事にならない。先生からアドバイスを受けて改善してみた。
 
例えばメモの取り方。ASDは会話の内容を理解するのが苦手だ。
しかし内容を文字や図にすると理解できる。そこで会話の内容を片っ端からメモするようにした。会話を見える化したのである。
 
するとどうだろう。
あんなに理解するのに苦しんでいたのにスッと頭に入る。私と同じASDのグレーゾーンでお悩みの方。もしメモをとっていないなら是非参考にしてはいかがだろうか。
 
ただしこれは対処療法。相手の話を理解できないことには変わりない。根本的な解決策ではない。ではどうするか?
 
特定の分野に興味関心を持つ
 
このASDの特徴を何かに生かせないだろうか?
 
そういえば昔、オンラインサロンで調べ物をしたことがあった。私が入会しているサロンでは歴史が好きな人が集まっている。自分が知りたい人物について調べて発表するのだ。
そんな中、私はなぜか政治家の麻生太郎さんについて調べてみた。元々政治や歴史に興味はあったけど、麻生さんを選んだ理由はなんとなく。
 
手始めに本を集めてみた。
麻生さんには、ご自身が書かれた本や実績や経歴を紹介した本が多くある。とりあえず10冊ほど集めて熟読した。インターネット上の情報、公式ホームページやWikipediaの「麻生太郎」の項目はもちろん網羅。さらに図書館に行って、麻生さんについて書かれた新聞記事を片っ端から読む。流石に生まれてから現在までの全ての新聞記事は読めなかったけど、60年分の記事を読むことができた。
 
調べた内容を年表にまとめる。
するとどうだろう。
今につながる麻生さんの行動が手に取るようにわかる。当時の政治状況を踏まえながら、あれこれ考察するのはとても楽しかった。
 
オンラインサロンのメンバーに麻生さんについて発表してみる。作った年表と自分なりの考察を述べる。
 
「いや、これヤバいでしょ(汗)」
「ここまで緻密に調べるなんて!本当にすごい!」
「へ〜。オリンピック選手で社長だったんだ。なんで国会議員になったんだろう?」
 
ドン引きした人。目をまん丸にしている人。じっくりと年表を眺める人。サロンメンバーの反応は色々だった。みんなずっと発表資料に食いついていた。
 
そう。ASDには強みがあるのだ。特定の分野に関心を持つ強みが。さらに同じ行動を繰り返す特徴もある。他の人にとって飽きることでも、ASDは自分の得意なことであればやり続ける。得意なことであれば日常生活の一部にするなんて朝飯前だ。たとえコミュニケーションが苦手であっても、自分の興味関心のある分野を極めていけば、ASDもきっと活躍できる。
 
ASDであることを公表し活躍されている方といえば、米津玄師さんだろう。日本を代表する歌手でありアーティストだ。米津さんの歌や絵は米津さんにしかできない独創的なものばかりだ。ASDは独特の言い回しや表現を好む。自分にしかできないオリジナリティある作品を生み出せるのもASDの強みなのだ。
 
今は個人が自由に自分から情報を発信できる世の中になった。ブログやYouTubeをはじめとして個人がコンテンツを作る。オンラインサロンで好きなことを共有できる仲間もいる。そんな時代にASDの強みは持ってこいなのではないか。
 
アニメ機動戦士ガンダムには、ニュータイプと呼ばれる人たちがいる。未来の世界で宇宙の暮らしに適合した人たちだ。ASDは現代社会のニュータイプと言ってしまうのは言い過ぎだろうか。この個人が自由に情報を発信し、自己を表現できる時代。ASDの強みは今の時代に合った特徴なのかもしれない。
 
ASDの人たちは仕事のコミュニケーションで悩み、苦しみ、生きづらさを感じているかもしれない。正式な診断結果がないグレーゾーンの人なら尚更だ。
私もその一人だ。
しかし自分の得意なことを表現できる、そんな環境があればきっとASDの人も活躍できると思う。そう思って生きていくだけでも心の支えになると思う。少なくとも私はそう信じている。
 
そんなことを考えながら、今日も私は大好きな歴史の世界にのめり込むのであった。
≪終わり≫
 
 
 
 
***
 
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2021-09-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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