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入院時の便利グッズの話を書こうと思ったら、ただの思い出話になった


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:ワダユキ(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
皆さんは入院の経験ってありますか?
 
私、ありがたいことにずーっと健康で、しかも結構な運動音痴なので激しい運動をして怪我をすることもなく、病院に行くのは歯石を取りに行く歯科か、コンタクトレンズを作るための眼科、マッサージを受けるための鍼灸院か整骨院、その程度で生きてきました。
 
40歳で妊娠がわかった時に、ドキドキしながら初めて産婦人科の扉を開けたのです。
自宅の隣の駅に評判の良いクリニックを見つけ、受診。
普段、仕事で多くの初めて行く場所(会社、病院、建設現場、作家の先生のお宅など……)を訪ねている私も、まるで「はじめてのおつかい」に出かける子供のように緊張していました。
 
妊娠しているのは検査薬でほぼ確実とは思うものの、インターネットで調べた情報によると、「異常妊娠」というものでも検査薬は陽性になると書いてあったのです。
 
異常妊娠とは、「子宮外妊娠(異所性妊娠)」という子宮内膜以外に受精卵が着床してしまい、妊娠を継続できない状態。放っておくと出血やショック症状で母体に命の危険もある。
他にも胎嚢という赤ちゃんを包むための部屋がきちんとできないと自然と流産してしまうなど、不安になることがたくさん書いてありました。
 
「新型コロナウイルスのワクチンを接種すると5Gにつながる」みたいなガゼネタではないけれど、ネットの情報は海外旅行中に知らない街で迷子になって、何の連絡手段もないくらいのを恐怖心を私に与えた。
 
クリニックを受診すると、無事に妊娠していることがわかり、一安心。案ずるより産むが易し。
 
ところが、高齢出産と子宮の形状の問題があり、「うちのクリニックでは産めないねぇ、帝王切開になると思うから、NICU(新生児のための集中治療室)がある大きめの病院じゃないと出産できないよ」
 
えええー! せっかく一安心したと思ったら、また別の心配事が!
 
そして大きな病院への紹介状を書いてもらい、地元で人気のおしゃれクリニックに別れを告げました。
 
紹介先は、外観がなんとも古めかしく、築50年は経っているのではないかと思える病院。肝試しに使ったら、半狂乱で泣き喚く自信がある。「怖いよ〜、怖いよ〜、ココは出るよ〜」稲川淳二さんが耳元で囁いていた(ような気がした)。
 
しかし、高齢出産の私に選択の余地はない。
 
私は少し太りすぎと怒られることもあったが、特に問題もなく日常生活を送り、お腹の子供はすくすくと育った。
 
赤ちゃんの身体や脳はもうできている時期であること、長くお腹の中にいても大きくなれるスペースが無いことなどから妊娠37週での帝王切開が決まった。
通常は40週が出産予定日なので、3週間早く出てくるということだ。
いわゆる未熟児、低体重で生まれてくると思われるので、NICUがある病院でなければいけなかった。
 
世の中には「帝王切開は出産じゃ無い、陣痛とお産の苦しみ、痛みを味わって初めて出産というのよ!」みたいな変わったご意見の方もいらっしゃるようですが、帝王切開も立派な出産です。
 
帝王切開のいいところ
・手術日が決まっているので事前にしっかりと入院準備ができる。
・旦那さんや、付き添いの人が仕事を休んで確実に来れる。
・いつ陣痛が来るのか、いざとなったらどうやって病院に向かうのか、とドキドキしながら生活しなくて良い。
・手術なので保険に加入していれば、入院保険が出る。
 
手術予定日の前日に入院。4人部屋。
5月14日、私の向かい側のベッドの方が午前中の手術。私は午後。
前日の夜から水分補給だけになるから、手術が午後だととってもお腹が空く。
基本的には選べないと思うけど、手術日が決まったらドクターに「午前中がいいです」と一言お願いしてみると良いかもしれない。
 
手術台に横になる。全身麻酔にしてしまうと赤ちゃんも麻酔で眠ってしまうので、部分麻酔。脊髄麻酔という、なんだか太い針(見えなかったけど、きっと太い針)を腰のあたりから差し背骨の中の脳脊髄液に麻酔薬を入れるというものだった。
 
これは術後に痛み止めを飲んでも痛みが治まらない時には、針に繋がった管の先に麻酔薬が入っていて、なななんと! 自分で、麻酔薬を注入できるというすごいものだった。
 
部分麻酔なので、手術の様子はすべて聞こえてくる。
研修中の看護師2名に見学されながらの手術。
「これが子宮ね、ここをこう切って……」なんて解説を聞きながら、いったいどんなことをされるのか気になって、天井のライトに写る様子を小さくしか見えないのだけど、じっと見ながらお腹を切られた。
 
お腹を横に切ったのだけど、逆子が直ったはずがまた回転していて、「あー、手が先に出てきちゃった、お腹押して赤ちゃん回して!」ドクター二人がかりでギューギュー押してやっと頭から取り出してもらえた。
 
無事出産、おしまい。じゃなくて、切ってるから縫う。麻酔が効いてるから痛くないはずなんだけど、糸を引き締める時にキューッと引っ張られるのが、痛くないけど「イテテテテ……」だったの覚えてる。
 
辛いのは麻酔が切れてから。お腹痛い。
痛いなんてものじゃない、超絶痛い。歩けない。動けない。
 
それなのに、翌日から3時間毎に息子を保育器のあるお部屋まで迎えに行って、まだ母乳の出ぬ乳をくわえさせ、飲む、飲ませる練習。母乳があまり出ない人は看護師さんが作ってくれた哺乳瓶のミルクを飲ませる。
息子、飲むの下手くそで、10人くらいいたママたちはみんな授乳を済ませて帰っていくのに、双子のママさんと私だけいつも最後で、泣きそうだった。
学校でみんなが給食食べ終わって外に遊びに行くのに、ポツンと一人教室で食べ続けてる、そんな悲しさと焦り。
 
それでも入院中の食事で、同じ日に出産したママたちとお話ができて、「切腹友の会」というライングループができた。結局、出産後遊びに行ったり、お茶したりは一度もないのだけど、年に一度「みんなお誕生日おめでとう!」って言い合えるのは楽しい。
 
この後2度、別の手術で入院しているので、それぞれで役立った「入院の時の便利グッズ」の話を書こうと思ってたけど、その話はまた今度にしましょう。
 
でも、たぶん一番役に立ったのは、「初めましての人とお話ができて仲良くなれるコミュニケーション能力」かな。
 
 
 
 
***
 
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2021-09-15 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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