メディアグランプリ

野球観戦から、広がる宇宙


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記事:福田 乃子(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「東京オリンピックで侍ジャパンが金メダル!」
 
そんなニュースが日本中を駆け巡って、早1ヶ月が過ぎた。
13年ぶりにオリンピック正式種目として復活。念願の優勝を果たし、金メダルを手に入れた、あの感動の記憶は新しい。
 
だが、そんな感動を体感した人達の中で、実際に野球を球場で観た経験のある人は、どれほどいるのだろうか?
 
 
「野球って観たことが無いんだよね。何が面白いの?」
 
 
これは周囲の人間に尋ねてみて、実際に返ってきた言葉である。
「好き・嫌い」を考える前に、「観たことが無い」という事実を知った。
だから「球場で観る」ことは、そうそう考えられないことなのだ。
 
 
私は、年間で数十回は球場で野球観戦をしている。
さすがに今はコロナ禍のため自粛しているが、年々その観戦回数は右肩上がりだ。
 
 
つまりは、野球が「大好き」な私。
だが、子供の頃は「大嫌い」だった。
 
 
 
東京に住んでいた子供の頃、毎日のようにテレビのゴールデンタイムでは野球中継が流れていた。
そのほとんどが巨人戦。
関東圏では、それ以外の野球中継はやっていなかったように記憶している。
父親が野球好きのため、茶の間のテレビはいつも野球だった。
 
いつも同じようなアングルの映像が、ずっと2時間近く流れていた。
 
ピッチャーの背番号が見える。バッターが構えている。
球が投げられて、フルスイングでバットを振る。
打球の行方を追って、カメラアングルが変わる。
得点できたらベンチや仲間達、ファン達の喜びの映像に切り替わる。
 
ひたすら、それの繰り返し。
 
「球を投げて打つだけのものを見て、何が楽しいのだろう?」
 
子供の頃は、これを観る楽しさがよくわからなかった。
「つまらないなぁ」といつも思っていた。
 
 
では、こんなに野球に興味のなかった私が、なぜ「野球大好き」と言うようになったのか?
 
 
それは、千葉にある某球団のホームスタジアムの球場に、強引に連れて行かれた時のことだった。
 
「一回だけでいいから、実際に観てみるといいよ!」
 
その時の気分はあまりいいものではない。あの「つまらない」野球を何時間も観させられるのだから、当たり前である。
 
 
だが球場に着いたら、そんな気持ちは吹き飛んだ。
 
 
まず、球場の大きさに驚いた。
球場の周囲にフードワゴンが出ていたり、ショップが出ていたりして、お祭りのような雰囲気に驚いた。
入場時に球団マスコット、チアガール、そして選手達がお出迎えをしている事にも驚いた。
席についてみると、客席の多さにも驚いた。
そして、フィールドの広さに驚いた。
 
そう、そこにあったのは、テレビで観ていたような景色ではなかったのだ。
「ピッチャーがいて、バッターがいる」だけではない。
あの小さなテレビの箱に映っていたものは、全体の中のほんの一部でしかなかった。そのことに一番の衝撃を受けた。
 
 
自分の中で「野球ってすごいぞ!」というビッグバンが起こったようだった。
 
 
そこから「野球」という衝撃を、ひたすら体験する事になる。
 
バッターによって、守備位置が変わったりする。前に移動してきたり、右寄りに移動したり。テレビでは映らなかった部分が見えてくる。
 
「球を投げて、打つ」
 
そんな単純なものではなく、ピッチャーとバッターは心理戦の駆け引きがある。そしてデータを駆使した頭脳戦であることも初めて知った。
 
 
さらに、それを観戦しているファン達の熱さにも、衝撃を受けた。
 
 
特に千葉の某球団は、ファンの応援が熱いことで有名だ。
 
選手達と同じ色のユニフォームをまとい、スタンドが白一色になる。
そして攻撃のたびに、外野席の特に熱いファン達は立ち上がる。応援団の指示の元、一糸乱れぬ動きで応援を始めるのだ。
選手の応援歌を歌ったり、名前を呼んだり、手拍子とジャンプを繰り返す。
攻撃の間、これをずっと選手ごとに繰り返すのだ。
ファンは「応援」という武器で援護射撃を行い、選手を鼓舞し続ける。
 
これは対戦チームのファンも同じだった。
客席数においては、絶対的少数派となる敵チームのファン達も、声を張り上げて選手を鼓舞する。
その応援合戦だけでも、十分に衝撃を受けた。
 
ファン達の迫力と熱意に圧倒された。
 
今はコロナ禍のためにこの光景が見られないのは残念だが、ファン達の統制の取れた動きは一見の価値がある。そう言っても過言ではない。
 
 
たった一回球場に行っただけで、それまで持っていた「野球」の考え方が変わった。
自分の知らなかった「野球」がそこにはあった。
自分が思っていた「野球」は、そのほんの一部を切り取ったものでしかなかったことを、思い知らされた。
まるで宇宙のようだ。ほんの一部分しか、人間の目には見えていないのである。
 
 
だからこそ、体験することの大切さを知った。
 
 
「思い込み」のフィルターがかかっていたのだ。
そのフィルターが、自分の世界を狭めてしまうということを思い知った。
そんな貴重な体験を味わうことができた。
 
 
 
だからこそ「面白いかな?」と考える前に、球場に足を運んで欲しい。
一度足を踏み入れてみたら、あの小さなテレビで観る野球よりも、見どころがたくさんあって楽しめる場所だというのを感じることができるだろう。
 
 
まだ今シーズンが終わるまで、球場に行くチャンスはある。
どうか、体験して欲しい。
自分の中にビッグバンが起こって、野球を通じて自分の中の宇宙が大きく広がっていく衝撃を。
 
 
 
 
***
 
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2021-09-21 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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