メディアグランプリ

執着をはずした時に見えてきたもの


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:ココヒロ(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「あ、現金がない。どうしよう」
 
些細な出来事ではあるのですが、先日、こんなことがありました。
 
その日は、朝から空が晴れ渡ったとても心地の良い日でした。前日まで、台風接近の影響などもあり、雨模様の日々が続いていたので、久しぶりにいい天気になったその日、家族と愛犬も一緒に近くの公園に行って、そこでピクニックシートを敷いて、気持ちよくお弁当を食べようということになったのです。
 
妻が急に言い出したので、公園の近くで弁当を買って行くことになりました。車で行って、公園の駐車場に止める予定です。娘がその公園で穴場的なスポットを知っているので、そこに行こうということになりました。
 
コロナ禍にもかかわらず、久しぶりのいい天気の日です。気温もちょうど心地よかったので、人出も多かったのですが、その穴場スポットにはほとんど他の人はおらず、そこでゆっくりと過ごすことができました。
 
「人もいなくて良かったね」
「こんないい場所をよく知っていたね」
 
などなど、会話をしながら買ってきたお弁当を食べ、しばらく楽しく過ごしました。
 
「さあ、そろそろ散歩をしてから帰ろうか」と、愛犬の散歩も兼ねて30分くらい公園内を散歩します。
 
「あそこに、柴犬がいるよ」と、娘が、遠くに芝生の上で居座って、じっとしている柴犬の飼い主さんたちを見つけました。聞くところによると、柴犬はとても気まぐれなところがあるので、散歩の途中でも歩きたくなくなったら、その場に居座ってしまって、なかなか動かなくなるのだとか。
 
「あの柴犬、きっと動きたくないんだ。飼い主は大変だね」そんな話をしながら、「そろそろ帰るか」と言って、帰路につくために公園の駐車場へと向かいました。
 
その途中です。妻が、「しまった、バックを持ってくるのを忘れた」と言い出したのです。普段、妻がバックを忘れてしまうことなど、滅多にないことです。どしたのかなと思いましたが、先日、この同じ公園に愛犬を連れて散歩に来た時に、公園の入り口で散歩用の首輪を忘れてしまったことい気がつき、わざわざ家まで取りに戻るということがありました。その公園から家までは車で往復30分はかかるので、妻いわく、今日は首輪を絶対に忘れるわけにはいかないと、そっちの方ばかりが気になってしまって、その代わりにバックを忘れてきてしまったというのです。
 
続けて妻は、「バックの中に財布も入れていたから、駐車料金を払うお金がない」と言うのです。
 
娘も、公園に行くだけだから、私も財布を持ってきていないと言います。
「でも、あなた財布もってきたでしょ?」と妻が私に聞きます。
 
ところが、その日、私は財布は持ってきていましたが、たまたまクレジットカードしか持っておらず、小銭も含めて現金をまったく持っていなかったのでした。
 
「もしかしたら、駐車料金をクレジットカードで払えるかもしれない」そう思った娘は、走って駐車場の出口の精算機を確かめに行きましたが、クレジットカートでは払えず、現金払いでなければだめでした。しかも小銭か千円札のみです。
 
とりあえず、車に戻ってから、車内に小銭がないか確認しました。おそらく駐車料金は100円か200円。でも、車内にも小銭はまったくありませんでした。
 
「どうする?」皆で考えた後、「仕方ない、近くのコンビニ行ってお金をおろしてこよう」ということになりました。そこで、近くのコンビニをスマホで探してみたのですが、一番近くても歩いて往復30分くらいのところにしかありません。
 
妻は妻で、駐車場の精算機に設置されていたインターホンで、家に戻って、後からお支払いをするので、いったん、バーを上げてもらえないかとお願いをしてみました。ところが、「他人に借りることはできないのですか?」という返事をされてしまい、結局どうにもなりません。
 
その時でした、自分の財布の中に二千円札が入っていたことを思い出したのです。でも、その二千円札は、私にとって、とてもとても大切なものでした。現在はもう発行はされておらず、沖縄の守礼の門が印刷されている貴重なお札です。
しかも、私にとってはお守りとしてこの10年くらいずっと財布の中に入れていた、とても思い入れのあるお札でした。ビニールの袋できちんと包んだ状態で持ち歩くぐらい大切にしていたのです。
 
もう発行もされていないし、しかも沖縄出身でもある私にとって、このお札はとても愛着があり、おそらくこのお札を使うことは一生ないだろうと、ずっと思っていました。だから本音はこのお札を、こんなことで今使いたくないなと思いました。
 
正直に言うと、その二千円札をずっと持っていたいという執着があったのです。
 
「この二千円札を使おうか」と言った時、私がとても大切にそのお札をずっと何年も持っていたことを知っていた娘が、私がコンビニまで行ってくるからいいと言ってくれました。
 
今までの自分であれば、おそらく、そのまま娘にコンビニまで行ってもらっていたと思うのですが、その日の私に限って、不思議ともういいかなと思ったのです。なぜかこの二千円札に対してそんな気持ちになったのは初めてのことでした。
 
でも、この二千円札は精算機では使えません。公園の事務所で千円札に両替してもらうことも考えましたが、公園の事務所までも、歩いて往復30分はかかるくらい、この公園はとても広いのです。それなら、コンビニまで行っても同じことでした。
 
どうしようかなと思った時、「はっ!」とあることを思いつきました。「そうだ、他の人に千円札と交換してもらえばいいんだ!」
 
あたりを見回すと、ちょうど駐車場から出ようかとしている一台の車がありました。それは、先ほど散歩の時に見かけた、あの芝犬の飼い主さんでした。そこで、早速その方に声をかけ、無事二千円札と千円札二枚を交換することができ、今回の騒動を無事に解決することができました。
 
もしあの時、私がいつものように、あの二千円札にこだわって執着していたなら、おそらく、娘にコンビニまで行ってもらうという選択肢しか思い浮かばなかったと思います。執着していると、その他の解決方法は気がつかなかったことでしょう。
 
ところが、今回、二千円札を手放すということを決め、執着することをやめたら、気持ちが落ち着き、頭の中もクリアーになったので、もっと広く考えることができ、他の解決策を思いつくことができました。
これは、とても些細なトラブルで、一見、どうでもいいようなことだったのですが、私にとっては、とてもいい経験になりました。
 
なぜなら、執着というものをはずす、執着にとらわれないようにするという気持ちを持つことで、それまで見えなかったものが急に見えるようになる。そうすれば、自然といろんなアイデアや解決策が見えてくるようになるということを実感できたからです。

これは、人生全般においても同じだと思います。何か行き詰まったりした時には、一度すべての考えやこれまでのとらわれから自分を解放してみる。そうすることによって、きっと今までとは違った、新しいものが必ず見えてくる。
 
執着をはずすということは、ほんとうに大切なことだと思います。
 
 
 
 
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2021-09-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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