胸を大きくしようとしたら、１０年悩み続けた生理痛が楽になった話
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか？賞を取れるのか？プロも通うのか？〜
記事：なしの花（ライティング・ライブ東京会場）
これから食事をされる方、もしくは食事中の方は読まないでほしい。
生理の話をしようとしているからだ。
生々しい表現があるかもしれないことを、最初にお詫びしておく。
最近は、生理のことを赤裸々に語る女性が増えてきたように感じる。私の体験が誰かの役に立つかもしれないなら、私も自分が悩んで来たことを書いてみようと思う。
私の職場にはまだ無いが、生理休暇なるものが存在する会社もあると聞く。正直、とてもうらやましい。
私は生理痛がひどいのだ。
痛み止めを飲めばいいのだが、生憎、胃が弱くてあまり頻繁に飲めない。
腰に重しを付けられ、鈍器でずっと殴られているような痛み。下腹部はギリギリとねじ上げられているようだし、座ろうが横になろうが楽にならない。拷問でも受けているのかと思うほどだ。しかも、痛すぎて吐き気すらしてくることもあるのだからたまらない。最低でも三日間はこの痛みに耐えなければならないのだ。
これがかれこれ10年は続いている。
いや、正確には、続いていた。布ナプキンに出会うまでは。
あれは２年前だった。
その日私は、胸を大きくする方法をせっせと検索していた。
何を検索してるんだと笑われるかもしれないが、当時の私は真剣に、ミランダ・カーのような胸に憧れていたのだ。
とはいえ、自分の身体にメスを入れるのはちょっと怖い。筋トレでどうにかならないものかとYouTubeを覗いてみると、バストアップの筋トレ動画がずらりと出てきた。
これはいい。
試しにどれを見てみようかとスクロールしていると、メガネをかけ、惜しげも無く谷間を出している女性の姿が目に飛び込んできた。
筋トレにしてはなんだかテイストが違うな……。
興味本位で動画を再生してみると、どうやらバストケアについて語っている動画らしい。ふむふむと聞いていたのだが、ふと下に出てきている動画に目がいった。
相変わらず動画の主はセクシーメガネに谷間というスタイルだが、それよりも何よりも、「生理痛」の文字に釘付けになった。
まだバストケアについて語られている途中ではあったが、これは再生せずにはいられない。何か有益な情報を得られるのでは……そんな小さな希望を抱いて動画をタップした。
詳しくは分からないが、その女性は過去に体調を崩したことがあるらしく、かなり自分の身体に気を使っているようだった。
生理の悩みも抱えていた彼女は、“布ナプキン”がオススメだと言う。
布ナプキン？
初めて聞く言葉だった。
ナプキンなんて何を使っても同じでしょ？ とも思っていた。
しかも、手洗いをして使い回せるタイプのものがベストらしい。
私は思わず想像してしまった。
薄暗い浴室で、手を真っ赤な血で染めながら、布ナプキンを洗っている自分を……。
いや、無理！ なんか絵的に怖いから、ムリ！
自分の想像に軽く震えながら、動画を消してしまおうとしたとき。
「自分で洗うのが無理っていう方は、ドラッグストアのコットン100のナプキンでもいいですよ。あれなら使い捨てだから」
私の頭の中を見透かしたような言葉だ。
動画を見終えた私は、さっそく近所のドラッグストアに行ってみた。
ナプキンコーナーの前でじっと棚を見つめることしばし。……あった。
“オーガニックコットン100％”と書いてある。普通のナプキンと比べるといいお値段だ。正直、ナプキンをコットン100％に変えたくらいで何が変わるというのだろう。
このときの私は、完全に疑ってかかっていた。
生理痛だけでなく生理不順もあった私は、いつくるか分からない次の生理に向けて、とりあえず一通り買ってみることにした。
ドラッグストアからの帰り道、少しくらい生理痛が和らいだらいいな、とぼんやり考えていた。
その翌月。休みの日の朝。生理が来た。
「ついにお前の出番が来たぞ、コットン100。ポテンシャルを見せてみろ」
そんなことを言いながら、お手洗いに向かう。すでに下腹部と腰は痛み始めている。
がさがさとナプキンを開いてみた。
普通のナプキンと大差ない見た目だ。触った感じも普通。付け心地も普通だった。
「こんなに普通で大丈夫なのか……」
何か劇的なものを期待していた私は、少しだけがっかりした。きっと今回も生理痛に苦しむに違いない。
だが、お手洗いの中で盛大にため息を吐いた私の予想は、大きく外れた。
あの恐ろしい痛みが、いつまで経っても来ないのだ。
腰や下腹部に重みはある。だがお腹がねじ切れるような痛みはない。
これがコットンの力……？
なんという感動。
嬉しさのあまり布ナプキンについて調べてみたのだが、「布ナプキンが生理痛にいいという医学的根拠はありません」と出てくる。
もしや、飴を薬だと言われて具合が良くなる、みたいなプラシーボ効果だったのだろうか……。分からない……。
分からないが、半年間生理の度にコットンのナプキンを使い続けた結果、生理が毎月来るようになった。もちろん生理痛もかなり軽い。
毎回の生理が楽になった余裕からだろうか。半年使った辺りで、好奇心が湧いた。
“元のナプキンに戻したらどうなるだろう？”
猛烈に後悔することになったのは言うまでもないが、この後何度も実験をしてみた。コットンのナプキンを使っては、時々普通のナプキンに戻すということを１年半繰り返した。
何度試しても、やはり普通のナプキンのときは動けなくなるほど痛い。そして不思議なことに、コットンのナプキンを使ったときの方が、格段に生理痛が軽く、生理不順も治るのだ。
医学的根拠は無いと言われているが、私の体にはかなりいい影響があるらしい。
あんなに辛かった生理痛を、ここまで劇的に楽にしてくれたコットン100％のナプキン。私はもう手放すことができないだろう。
ミランダ・カーのような魅力的な胸は手に入らなかったが、健やかな生理ライフを手に入れた。
ありがとう、布ナプキン。ありがとう、セクシーメガネのお姉さん。
私はこれからも、コットンのナプキンと共に生きていきます。
＊＊＊
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