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「人見知り」は、コミュニケーションツール


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:福田 乃子(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「私、人見知りなんですよ」
「えっ? 嘘でしょ?」
 
私は社交的に見られるらしく、その欠片も感じられないそうだ。
でも私はいつも「人見知り」を頭に置いて、人と接している。
 
幼い頃から、人と接するのが苦手と感じていた。
最初に思ったのが、小学校1年生で東京に引っ越してきた時のことだ。
新しいクラス、友達、環境に全く馴染めなかった。
誰と話していいのかもわからない。誰も見知った顔がいない。
毎日毎日とても不安だった。
 
そして不安が爆発したきっかけは、隣の席の男の子に容姿の事を馬鹿にされたことだ。
「デブ!」
それを聞いて、自分がすごく恥ずかしい物に感じたし、周りの人が怖かった。
そこから少し不登校となり、心配した担任の先生が電話をしてきてこの事が発覚した。
彼からしたらそこまでの悪意はなかったようだが、私はそう受け取れなかった。
結局彼は謝罪をしてくれて、登校を再開したのだが、その傷はずっと疼くこととなった。
 
「自分に自信が持てない」
 
人見知りの根底には、そんな自己否定感があるのではないかと考えるようになった。
 
それを克服するには何が必要なのか?
それを考えた時に、まずやってみたことがある。
 
「人間観察」
 
まず試したのは、高校生になった時だ。
これまでとは違う環境にいた同世代の人達が、大勢集まってくる。
全く見知らぬ人同士のなか、どうやって友達作りをしていくのかを考えてみた。
 
・席の前後の人に話しかける。
・席の横の人に話しかける。
 
いくつかのパターンがあった。
ただ、同じ中学校から来ていると、そこで既にコミュニティーが出来上がってしまっている事があるので、そこに入るのは容易ではない。
慎重に見極めて、誰に話しかけようかを考えていた。
 
結局、斜め前の席の子に話しかける、という策に出てみた。
性格のさばさばとした明るい子だった。話の笑いのポイントが同じで、馬鹿な話をしては大笑いしていたことを今でも覚えている。
そしてその友人とは今でも交友関係が続いている。
結果として、観察の末に声をかけた人が正解だったと言えるのだろう。
 
その経験から、人を「観察」するようになった。
 
どこかに出かけて、電車に乗る時や街中で通り過ぎる人にもやってしまう。
 
電車で新聞を読んでいる人、スマホの画面を眺めている人。
どんな顔をしているのかを観察した。
 
着ている服装や、着けている腕時計やアクセサリー、カバンや靴などの小物類。
それが有名ブランドなのか、人気ブランドなのかも観ていた。
 
会話をしている人がいれば、どんな話をしているのかも聞いてしまう。
家族のこと、友達のこと、恋人のこともあれば、仕事のこと、趣味のこと、さまざまだった。
 
そういうのを繰り返し、人間を観察する癖ができてしまった。
 
きっと観察されている人からしたら、あまり気持ちの良いものではないだろう。
おそらく、動物園にいる動物にでもなったような気持ちになるかもしれない。
知らない人から、自分の頭の先から足のつま先まで、じっくりと観察されているのだから。
 
だが、それを繰り返して行くと、これまでは見えていなかったものがわかってきた。
 
それは、話をしている時の相手のリアクションだ。
 
自分のしている話に興味があるのか、そうでないのか。
よくよく観察していると、その違いが見えてくる。
 
興味のある話をしている時は、相手の目の輝きも違う。貪欲に質問をしてきたり、相手自身も話を盛り上げようとしているのがわかる。
 
逆に、興味のない話題の時は、その表情だけでなく、醸し出している雰囲気もまどろんでくる。話をしている最中に、うとうとと居眠りをされた事もある。
 
「どこに興味を持ったのか?」
 
それをうまく見極めて、話をどこで盛り上げるのか、または切り上げるのかのポイントが掴めるようになった。
 
とにかく、相手の表情、目の動き、言葉のトーン、全てにおいて、「観察」する事を意識してみた。
 
そうなると、コミュニケーション能力が抜群に上がったような感覚を得る。
 
きっと、動物園において、ベテランの飼育員さんの境地もそうなのだろう。
動物達の細かな体調の変化や、僅かな身体の異常などに気付くのだろう。
 
そう、共通しているのは「観察」する事なのだ。
 
そうなると、「人見知り」という苦手意識がどんどんと小さくなってくる。
一番大きく変化したのは、自分の根底にあった「自己否定感」が薄れてきたことだ。
人と話をするのが怖くなくなるし、「私、人見知りなんです」という事実さえ、相手とのコミュニケーションを取るための、一つのネタとして使う事もできる。
 
慣れるとさらに、自分の観察能力が正しいのかを試してみたくて、どんどんと人と話をしてみたくなる。
 
相手の出方を見て、自分で予想を立てて、どれが正解かを試してみたくなる。
 
自分で「人見知りだ」と自覚のある人は、まず他人をたくさん「観察する」ことを始めてみてほしい。
トラブルにならない程度に、ひっそりと、しかしじっくりと、だ。
 
相手の心の動きが見えるようになってくると、自分の出方も変わるし、その人とどんどんと仲良くなれるように思える。そして、楽しくなってくる。
 
だから今日も私は、こう切り出す。
 
「私、人見知りなんですよ」
 
 
 
 
***
 
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2021-09-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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