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メディアグランプリ

すねてなんていないで外に出てみたら、いつの間にか人間になっていました。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:浦部光俊(ライティング・ゼミ超通信コース)
 
 
「あなたは最近、すねたことがありますか」
突然、そんな風に尋ねられたら、どうでしょうか。
「えっ、何言っているの? すねるなんて、子供のすることでしょ。
大人の私がするはずないでしょ」
ですよね。じゃあ、これを読んでみたらどうでしょう。
 
すねる(拗ねる)とは、
「現実が自分の思い通りにならず、不平がましい態度をとること」
辞書で「拗ねる」の意味を調べてみると、こんな感じです。
どうでしょう、「私は最近、拗ねてなんていない」
自信をもって答えらえる人、どれくらいいるんでしょうか。
 
指示した仕事がうまく進まず、
部下についついイライラした口調で話してしまうこと。
自信満々で取り組んだプロジェクト。
思うような成果が出せず落ち込んでしまうこと。
どうやら、こんなことも拗ねていることになりそうです。
心当たりがある人、たくさんいるのではないでしょうか。
偉そうに言っていますが、もちろんぼくもそのうちの一人、
胸が締め付けられる思いで書いています。
 
世の中は自分の思うようにならないことばかり。
人と人が関わりあって生きていく以上、
すべてが自分の思う通りになるはずがない、
頭では仕方ないとわかっている。
わかっているから言葉になんてしたくない。
でも、わかってほしい、割り切れないこの気持ち。
そんな気持ちがついつい態度に出てしまう、
といったところでしょうか。大人だって拗ねます、よね。
でも、拗ねていても何も変わりません。今のままでいるのが嫌だったら、
ちょっと勇気を出して、新しい一歩を踏み出すしかない、
ですよね。
 
いやいや、そんなことはわかっている。
それができないから苦しいんじゃないか。
いろんなことがうまくいかなくて、
だから、拗ねて自分の殻に閉じこもっちゃうんだよ。
そんな声が聞こえてきそうです。
その気持ち、わかります。
ぼくも昔、まったく同じ気持ちでした。
ただ、最近、改めて感じているんです。
以前と比べて、ずいぶんと拗ねることが減ったな、と。
 
いや、減ったというのは少し違うのかもしれませんね。
正確な言い方すれば、今でもぼくは拗ねます。それもかなり頻繁に。
でも、今はこんなふうに考え方を選ぶことができるのです。
 
「いつまでも自分の殻に閉じこもっていても、つまらない。
思い切って外の世界のドアを開けてみよう。
そうすれば、世界はきっとぼくを受け入れてくれる」と。
 
どうしてそんなことができるようになったのかって?
 
きっかけをくれたのは、今から20年以上も前、
初めて転職をした時のこと、ぼくは「2つの鍵」を手に入れたんです。
そして、その2つの鍵が「ぼくの中のぼく」を開いてくれたからなんです。
 
そのころのぼくは会計事務所で働いていました。
10年近くの経験で、必要な会計知識も身につけ、
顧客との接し方はもちろん、業務の改善提案などもこなしていました。
加えて、事務所内で英語力も認められていたぼくは自信をもっていました。
そして自信をもった人によくあるように、
もっと広い世界を目指したい、そんなことを考えていました。
 
転職エージェントに登録すると、とんとん拍子に話が進み、
あっと言う間に外資系の会社へ転職が決まりました。
会計事務所でも結果を残してきた。英語力だってある。
それに、転職だってこんなにすぐに決めた。
おれってけっこうすごいやつにちがいない、
自信満々で乗り込んだ転職先
そこでぼくの鼻はへし折られたのです。
 
すぐに感じたのは、圧倒的な英語力の差でした。
やり取りするのは、当然ですが外国人ばかりです。
飛び交うのは、それぞれのお国訛り交じりの英語。
それまで教科書的なきれいな英語だけを外国語として扱ってきたぼくには
全く理解できない世界でした。
それならせめて会計知識で、と思ったのですが、
残念ながらこちらも全く役に立てませんでした。
求められているのは会計事務所での教科書的な「正しい」知識ではありません。
正しいうえに「会社にとって最善」の選択をひねり出す必要がありました。
 
言葉が通じす、培ってきた知識ですら役に立たない、
自分にできることなんて、なにもないんじゃないか、
正直なところ、挫折しかけました。
そして、ひとり、拗ねました。
こんな自分を採用したのは会社の責任
仕事ができないのは、ぼくのせいじゃない、
本気でそう考えていました。
 
周りをみればバリバリと仕事をこなしている同僚たち。
自分もあんな風になれたらいいのに、
でも、どうせ無理なんだろうな、
もうこんな仕事辞めようかな、そんなことを思う日々が続きました。
 
ただ、どこか簡単にあきらめたくない自分がいたのも事実でした。
ぼくと彼ら、いったいなにが違うのだろうか、
そんな思いで同僚たちを観察したとき、気づいたことがあったのです。
よくよく見れば同僚たちだってたくさんの失敗をしていました。
うまくいっていることばかりではありませんでした。
でも、彼らは拗ねたりしていません。
夜遅くまで残り、失敗を取り返していました。
わからないときは、わからないといい、
仲間や上司のアドバイスを求めていました。
一人では終わらない仕事だとなれば、
仲間に協力をもとめ、みんなが一緒になって仕事を進めていました。
そうなんです、ぼくがあんなふうになれたらと憧れた彼らも、
何か「特別なこと」をしているわけではありませんでした。
誰もが「特別な誰か」ではなかったのです。
 
そのことに気づいた時のことでした。
ぼくの心の中で、カチャッと何かが開いたような音がしました。
そして、その音を聞いた瞬間、不思議なことにこう思ったのです。
「やってみよう」
 
何ができるかなんて、やってみなくちゃわからない。
今の自分のできることを精一杯やればいい。
できなくたって、わからなくたってかまわない。
そのときは、勇気をだして声を上げて、誰かの力を借りたらいい。
全力で泳ぎ、全力で助けを求める、
それだけでいい、結果なんて気にするな。
 
そんな気持ちで動き始めたぼくの周りの世界は、
想像を超えるスピードで変わり始めました。
協力を求めれば、仲間はすぐそこにいました。
わからないと正直になれば、アドバイスをくれ、
一緒に頭をひねってくれました。
そんな仲間たちの中にいると、
自分の中に自然とこんな気持ちが湧いてきました。
 
「自分のできることで全力で貢献する」
 
それは、ぼくの知識やスキルに限った話ではありません。
困っている仲間には自分から声をかけよう。
役に立てないときだってあるけれど、気持ちに寄り添うことだけならできる。
自分にできることは全部やって、チームのために貢献しよう、
そんな風に考えるようになっていたのです。
 
そして気づいたのです。
「貢献する」
これこそがぼくを表すキーワード。ぼくの「自分らしさ」なんだと。
 
そのときのぼくは、もうひとりで拗ねていたぼくではありませんでした。
ぼくは人の中にいました。
人との関わり合いの中で、ぶつかり合い、
傷つけ、傷つけられることもありました。
でも、同じくらい励ましあい、分かり合えました。
そんな中、自分しか持っていない輝きの素(もと)
それまで自分ですら気づいていなかった「貢献」という自分らしさが、
さらに磨かれていくのを感じていました。
 
その後のぼくは、それはもう上昇気流に乗っているかのようでした。
自分が自分らしくいる、ただそれだけのことで、
周囲の役に立て、受け入れられ、認められるのです。
気持ちがよくなったぼくは、さらに自分らしい貢献をし、
それにつれて、周囲との関係はますます発展していきました。
そして、こんな風に考えるようになっていました。
 
「勇気を出して一歩を踏み出せば、世界は必ず答えてくれる。
そこでは「ほかの誰か」になる必要なんてない。
ありのままの自分で人と関われば必ず何かが動き出す」
そう、ぼくは、自分のことも、
そして世界のことも信じられるようになっていたのです。
 
カチャッ、またぼくの心の中で音が鳴りました。
今度は、その音の正体はすぐにわかりました。
それは、ぼくの中の「ぼく」が開いた音でした。
やってみようと、人の中に入ったとき、
本当の自分らしさという、ぼくの中の「ぼく」が開いたのです。
ぼくの場合の自分らしさとは「貢献」でした。
貢献を通じて、ぼくは本当に自分らしく生きることができ、
自分らしい幸せを見つけることができたのです。
 
そして気づかされました。
人生で大切なのは「今とは違う自分」になることではないのだと。
大切なのは、自分の中に眠っている輝きの素「自分らしさ」を見つけること。
その自分らしさを開くのに必要なのが「人の中に入る」
そして「勇気を出して選ぶ」という2つの鍵だということに。
 
自分らしさは一人じゃ見つけられません。
人の中に入り、たくさんの人と関わりあうことで、
初めてそこにたどり着けるのです。
うまくいくこと、いかないことも、すべての経験が、
自分を見つめなおすきっかけになり、
自分らしさに磨きをかけてくれるんです。
これが、一つ目の鍵「人の中に入る」です。
 
もう一つの鍵、それは、「勇気を出して選ぶ」こと。
ひとりですねた世界で生きることだって、
思い切って世界に足を踏み出してみることだって、
どっちが正しいか、そんな答えはありません。
どっちを選ぶか、ただそれだけの問題なんです。
大切なのは、どっちが正しいかはわからないけれど、
自分は自分が信じる道をいく、世界に踏み出して人の中で生きるんだ、
そう心を決めて選ぶこと。それには少し勇気が必要なんです。
 
「人の中に入る」ことを「選ぶ勇気」
2つの鍵を手に入れ、本当の自分らしさを見つけたとき、
ぼくの人生は驚くようなスピードで変わり始めました。
そして感じたのです。
ああ、人の中で生きたとき、ぼくたちは、初めて本当の自分という人になれる、
そう、人と人の間で生きる人間になれるんだな。と。

 

 

 

あれから20年、相変わらずぼくは失敗を繰り返しています。
そして、拗ねて落ち込んで一人でとじこもっています。
でも、そのたびにあの頃を思い出して、自分に言い聞かせるのです。
ぼくには2つの鍵があるじゃないか、と。
そして、思い切って外に出て、人の中に入ることを選ぶのです。
すると、どうでしょう。
そこには必ず新しい出会いがあるのです。
ぼくのことを気に入ってくれる人がいて、
自分では知らなかった新しい自分らしさに気づかせてくれたり。
そうかと思えば、ぼくに足りないものを突き付けて、
ほら、こうしたら、あなたはもっとよくなれるわよ、
と考えるきっかけを与えてくれたり。
世界はまるでぼくを待っていたかのように、
まるで準備していたかのように、
いろんなことを教えてくれるのです。
ぼくの中の「ぼく」に磨きをかけてくれるのです。
 
だから、今日もぼくは、思い切って外に出ようと思います。
人の中で生きてみようと思います。
だって、世界は思っているほど悪い場所じゃない
一人で拗ねているなんてもったいない、ですよね。
 
 
 
 
***
 
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2021-09-30 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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