メディアグランプリ

ありのままの自分を表現することは美しい


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:林明澄(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
職場の同期が2年前に天狼院書店という本屋さんの“ライティング・ゼミ”で書いた文章を読み、私は「ああ、美しい」と思った。取り繕うでもなく、自分を誇張するのでもなく、丁寧にありのままの気持ちが表現されたその文章が。
 
大学受験の時に進路に悩み葛藤したこと。考えれば考えるほど自分自身が何者なのか分からなくなり“模範的な動機”を求められている気がして苦しくなったこと。大学に入学してからいろいろな経験をする中でやりたい分野を見つけることができたこと。そして今はこの進路に進んで良かったと思っていること。その文章には、それらの感情が記されていた。
 
書かれてから既に2年が経過していた文章だったけれど、その感情は今もなお確かにそこにあって私の心を揺さぶった。
 
文章は、その人が“何を感じ”そして“どう表現するか”の両方を教えてくれる。同じ事を文章で表現する際にも、何を例えに出すか、どういう言葉を選ぶのかにその人らしさが出る。
 
私自身は動機がはっきりしていて悩むことなく進路を選んだタイプだったけれど、その感情や痛み、心の揺れ動きはありありと手に取るように理解出来た。それは私にとって、人の文章を読んで初めて“美しい”という感想を抱いた経験だった。
 
小学生の時、私は好奇心旺盛で何でもチャレンジしたい子だった。「面白そう」と思ったコンテストや習い事にはすべて挑戦した。初めて書いた文章は、子ども会(同じ地区の小学生の集まり)の作文コンテストに応募するためのものだった。その直前の花博への旅行について書くことになった。「やりたい」思いだけは強いものの、小学校低学年のまだまだ幼くて、自分の力で文章を書き上げることの出来なかった私にとって、“作文”は母との楽しい会話だった。
 
話を膨らませられず200字の原稿用紙を埋められない私に、母は「旅行でどんなことをした?」「その時どんなことを思った?」「何でそう思ったのかな?」と話を引き出してくれた。それらの会話は、私に旅行で見た物や楽しかった経験を思い出させてくれた。一つ一つ振り返り考える時間は、まるで旅行の追体験だった。「楽しい」など頭の中の曖昧でぼんやりした感情にも、状況や経験の説明を付加することで、少しずつ色がついた。
 
それから、私は文章を書くことが好きになった。体験談や小学生新聞のレポーターなど、いろいろなことに挑戦し、文章を書いてきた。自分が感じたことをうまく言葉にできずもどかしかったことや苦しかったこともあるが、繰り返して文章を書くうちに感性と思考が広がっていく感覚が楽しかった。
 
私は2ヶ月前から“ライティング・ゼミ”を始めて、毎週2000字の文章を書いている。
この講座では、テーマは自由で毎週何かしらの文章を提出する。初回の文章を書いた時、私は職場の人間関係で鬱気味となっていた。苦しい中でも仕事に行かなければならない状況で、悲しいや悔しいという感情をどうにか消化しようと、思いっきり感情をぶちまけた文章を書いた。なかなか前向きにはなれない状況だったけれど、読んでくれた人が少しでも前向きな気持ちで読み終えて欲しいと、なんとか最後をポジティブにまとめた。
そんな自分のネガティブな感情を書いた文章だったから、こんな自分の感情を人に見せていいのだろうか、幻滅されないだろうかとさえ思った。
 
初回の提出を終え、天狼院書店のサイトで公開されると、ありがたいことに友人から次々温かいメッセージが届いた。驚くべき事に、それはどれも温かい物だった。
「あなたの優しさを忘れないで。大切にしてね」「あなたの力になりたいよ」
すべてを1人で抱え込み身動きとれなくなっていた私の心を、それらの言葉が溶かしてくれた。周りの人の温かさに涙が溢れた。
 
その後も、私はその時々で感じたことを毎週書き続けた。自分自身を飾らずありのままに表現することを心がけた。
研修医としての葛藤や経験を書いた文章に対しては、患者さんをご家族に持つ友人、別の病院で働く研修医などが「心を打たれた」と連絡をくれた。驚くべきことに、私自身のFacebookアカウントを探して「共感しました。今後が楽しみですね」と連絡をくれたお医者さんもいた。
 
私は毎週、きっと読者はこんな人でこういう理解をするだろう、このクライマックスではこの時の感動はどう表現すると伝わるのだろうか、こういう話はあまり知らないだろうから丁寧に説明しておこうか、と読者を想像しながら文章を書いている。
 
他の人の文章に心打たれたように、私自身も誰かの琴線にそっと触れるような美しい文章を書ける人間になれたらいいなと思っている。
 
 
 
 
***
 
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2021-10-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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