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AI搭載の高額マッサージチェアにも匹敵するナデナデの話


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:西元英恵(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「よーしよしよしよしよし……、よくできたねぇ」
息子の頭をワシャワシャと撫でまくる。ムツゴロウさんにでもなった気分である。
いま息子は、机に向かって「すうじ」のプリント問題を解いている最中だ。
私はふざけているわけではなく、大真面目にワシャワシャしているのである。
 
これは、彼が通っている学習教室の先生のアドバイスだ。
「脳と皮膚は密接な関係にあるんですね。だから頑張った時は頭をナデナデしながら思いっきり誉めてあげてください!」
 
先生いわく、撫でられて「気持ち良い」と感じると、その時学習した内容の定着率がUPするという。先生は有志で集まって、心理学など子供の成長に必要なものなど常日頃から研究している。だから、学習方法以外にも子供への接し方なども教えてくれる。私にとっては心強いアドバイザーなのだ。
 
プリントを解く息子の後ろから頭を撫でているので顔は見えない。撫でられた息子がそれに関して何か感想を言うこともないのだが、その後ろ姿はどこか誇らしげである。その証拠に「そろそろ終わろうか」と促しても「ぼく、もうちょっとやるわ」と自らページをめくっている。やる気UPにも自然とつながっているようだ。
 
「絵本を読むときは背中に触れたり、さすったりしてあげてください」
先生はこうも言った。とにかく子供の情緒安定にはナデナデすることが必要不可欠のようである。
 
では、大人はどうだろう。
大人だって優しくなでられたらきっと気持ちが落ち着くはず。それは私が少し前に身をもって体験したことでもあるのだ。
 
私には体調不良に陥った時、訪れる鍼灸院がある。
この時は確か風邪のような症状で訪れていた。先生にも小学生になる息子さんがいるので自然と話題は子育ての話へ。そのころ長男がやたらギャーギャーと騒いだり泣いたり感情のアップダウンが激しく私は少し疲れ気味であった。そのことを話すと、先生はこう言った。
 
「はー、なるほど。荒れていますねぇ。背中を優しく撫でてあげるといいですよ」
具体的なアドバイスをもらえると思っていなかった私は「ラッキー!」と喰いついた。
「ほう、撫でればいいんですね! ?」
「はい、ただコツがあって。必ず上から下に向かってです」
「上から下」私が確認するように復唱すると先生はこう続けた。
「『逆なで』って言葉があるじゃないですか。撫でる時も一緒で下から上に向かって撫でると気持ちがざわつきます。だから撫でる時は必ず上から下に向かって優しく……です」
 
勇者の剣を手に入れた気持ちになった私は、帰宅後早速それを試した。息子は気持ちよさそうに体を委ねてきた。息子の背中と私の手のひらがポカポカと温かく、気持ちがほどかれていくようだった。
 
しかし、これ以上の成果を見せてきたのが実は夫だった。勇者の剣を見せびらかすような気持ちで「今日、鍼の先生に面白い事教わってきたんだー。ちょっと撫でさせて」夫の返事も聞かず、私は勝手に背中を撫で始めた。単純に撫でられるという行為が気持ちよいのか夫は黙って撫でられ続けている。なんとなく習慣になり、3日目の夜に撫でていた時のことだった。夫がポツリポツリと喋り始めた。
 
「今日、実はちょっとやらかしてしまって……」
夫が自分のことを話すのは珍しい。育児や身の回りの出来事など、どちらかというと私がまくしたてるように喋ってしまう事が多く、夫は聞き役に徹することがほとんどだ。そんな夫が自ら今日やらかした出来事を話そうとしている。
 
「ほう、どした?」
背中を撫でる手を止めずに、夫の話に耳を傾ける。夫は業務の立場上、企業の社長さん相手にお話を伺うことが多い。意見の相違があり、しかもこちらの言い回しに引っ掛かった社長さんを怒らせてしまったという。
 
起こしてしまった内容については素人の私が何か言えるわけもなく、「そっかぁ」と何とも頼りない相槌を打つしかなかった。しかし、驚いたことにひとしきりしゃべった夫は勝手に清々しい表情になっていき、最後には「全部しゃべってスッキリしたわ。ありがとう!」と礼を言って寝室に消えていった。
 
「撫でる」行為の威力……ハンパない! !
残された私は予期せぬ結果に驚きを隠せなかった。実は背中を撫でることについては「ストレスホルモン」が軽減するという研究結果も出ているくらいなのである。
 
更にはスキンシップで「愛情ホルモン」と言われるオキシトシンが発生するのはご存知の方も多いかもしれないが、撫でる側と撫でられる側両方がそれを感じられるということがわかっている。
これは使わない手はないではないか!
 
最近ではAI(人工知能)搭載のとても高額なマッサージチェアも販売されているらしく、節々が痛むアラフォーには魅力的な商品である。
説明書きによれば「センサーが動作して、指圧点を自動的に検索。その後、筋肉のコリ具合などを感知して、最適な強さで施術する」などと、とんでもなく高性能なのは間違いない。
しかし、温かみのある手でナデナデし合って「今日、どうだった?」「疲れてない?」と声を掛けてあげることも、それに匹敵するくらいの気持ちよさや心身の健康を生んでくれるだろうと信じている。
しかも、ナデナデし合うのは無料! なのだ。
 
一日たった5分程度のスキンシップで家族の心身の健康が守られるのであれば、これからも意欲的にナデナデしていこう。コロナ禍において「非接触」が基本になってしまった世の中だからこそ、家族や友達などごく身近な人とナデナデし合うことを是非おすすめしたい。
 
 
 
 
***
 
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2021-10-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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