メディアグランプリ

「何食べ」へ愛を込めて


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:大村沙織(ライティング・ゼミ超通信コース)
 
 
後10日、後10日だ。
手帳の月間カレンダーが私の前にその厳然たる事実を突きつける。
10日後、11月3日は世間でいうところの文化の日で、祝日になる。
週半ばにぽっかり浮かぶ祝日で、社会人的には休みも取りにくく、うまみは正直言うとない。
でも良いのだ。
私が待っているのは休みではなくて、彼らにまた会えることなのだから。
11月3日は「きのう何食べた?」の映画公開日だ。
忘れもしない2021年3月27日のこと。
映画化が決まったとGoogleのニュースフィードで目にした日から、1年7ヵ月。
ずっとずっと、この日が来るのを待っていた。
 
作品自体を知ったのは10年前近く前のことで、当時読んでいた雑誌で原作に当たる漫画が紹介されていたのがきっかけだった。
弁護士の筧史朗(シロさん)と美容師の矢吹賢二(ケンジ)、恋人同士の2人とその周囲の人々の日常に起こる出来事で物語は展開されている。
ただこの漫画には特徴がある。
1話の最初の言葉「ねえねえ、昨日の夕飯何食べた?」が示す通り、中心になるのは各登場人物達の食卓なのだ。
頻繁に登場するのは料理が得意なシロさんがケンジのために作る夕飯。
彼が作るメニューがストーリーにも多分に絡んでおり、その調理シーンも詳細に描写されていることから、「漫画だけどレシピ本」の立ち位置を確立していた。
しかし私自身が最初にこの作品を知ったときは、完全にストーリーを楽しむ読み方をしていた。
ゲイのカップルである主人公2人がお互いの考え方や価値観を知り、それを受け入れ、一緒に過ごすことの意味を模索していく過程がとても丁寧に描かれているのが印象的だったからだ。
10年前には今ほどLGBTQについて認識されていないであろう中、ゲイの主人公達の家族の態度や周囲の人達の理解にまで触れられている本作がとても新鮮に感じた。
そんな読み方をしていたからこそ、シロさんやケンジが作るご飯は魅力的ではあったが「おいしそうだな」と思う程度にとどまっていた。
それなりのページ数を割いている調理シーンも斜め読みしていたくらいだ。
 
そこから一転して、「きのう何食べた?」をレシピ本として活用するときがやって来た。
異動で賄い付きの寮から出なければならなくなったのだ。
異動先は物価の高い東京、毎日外食なんてしていたらあっという間にお金が飛んでいく。
自炊を始めて、生活費を押さえることを余儀なくされた。
30歳の料理初心者としては相当ハードルを下げる必要があり、そこで思いついたのが漫画をレシピとして活用することだった。
改めて読み返すと、簡単ですぐに真似できるメニューが多く掲載されていることに驚いた。一番最初に作ったにんじんと玉ねぎのツナサラダの味は今でも忘れられない。
漫画に載っていたレシピのアレンジを紹介しているサイトも見つけ、料理を始めたばかりの頃はとにかくお世話になりっぱなしだった。
今でもこの頃に覚えたレシピはよく作っている。
 
2019年にテレビドラマ化すると聞いたときには、それこそ飛んで喜んだ。
数々のおいしそうなレシピはもちろん、繊細なストーリーも漫画の中だけでなく映像で見られる!
「ストーリーも料理もより臨場感たっぷりになるに違いない!」という確信があった。
書店で漫画の1巻の表紙を再現したドラマのポスターを見たとき、その確信はより強固なものになった。
どこか誇らしげな様子で鍋を出す西島秀俊さんと、鍋の中身を期待の眼差しで見つめる内野聖陽さんを見て「シロさんとケンジがいる!」と思った。
そしてクオリティの高いポスターへの期待を裏切ることなく、ドラマ本編も素晴らしい仕上がりだった。
原作のエピソードを切り貼りして作られてはいるのだが、その流れがとにかく自然で違和感がないのだ。
この点に関しては、脚本家の安達奈緒子さんを崇め奉りたい。
特に個人的にお気に入りなのは11話の小日向さんとジルベールカップルとの食事シーンだ。
ゲイへの偏見や理解不足に満ちている現実を嘆くジルベールに対して、シロさんが自分の考えを滔々と語る場面はずっと泣きながら見ていた。
テーブルの下で繋がれるシロさんとケンジの手を見て、胸が締め付けられそうになったのは私だけではないと思う。
ドラマでも西島さん演じるシロさんの料理の腕前は健在で、ドラマ公式のレシピ本も発売されている。
あまりの人気ぶりに2020年の正月にはスペシャルドラマ化もされた。
これもリアルタイムで観て、2020年の3ヶ日を号泣して過ごしたことははっきりと記憶に残っている。
 
そんな彼らを、今年は劇場の大きなスクリーンで見られる!
しかもキャストやスタッフはドラマ版と変わらない!
ということは世界観も雰囲気も同じ!!
当然「観る」以外の選択肢は私には残されていない。
予習(漫画の読み返し、映画オフィシャルガイドブックの購入・読了)も完璧。
ムビチケカード(グッズ特典付き)も購入してあり、後はコンビニに取りに行って映画館を予約するだけである。
どの時間帯でも観られるように11月3日はフルで予定を空けてある。
ダメ押しで、11月3日の夕飯は映画に出てくるぶり大根で決まりだ。
ああシロさん、ケンジ、待ってて!!
11月3日にあなた達に絶対に会いに行くから!!
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00


■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168


■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325



2021-10-28 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事