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サプライズの取扱説明書


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:林明澄(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「こんな経験初めて。自分のことよく知ってくれているんだなって思って、とても嬉しいよ」
彼の、それまでに見たことのないくらいの嬉しそうな表情には喜びが溢れていた。彼の前には、可愛いラックにティラミス、ケーキ、プリン、マカロン、サンドイッチなどが色とりどりな料理に並んでいた。部屋のおしゃれな雰囲気も相まって、醸し出される上品な空間はお城を彷彿とさせた。
彼の前には、誕生日プレゼントが置かれていた。
 
このサプライズから遡ること一ヶ月前、相手がもうすぐ誕生日だから何か出来ないだろうかと考えていた。職場の同期が仕事の休憩中にアフターヌーンティー専門店の存在を教えてくれたとき、ピンときた。お店のInstagramの写真を見て「このカフェでお祝いしたい!」そう強く思った。マカロンやティラミスなど可愛い洋風なスイーツが好きだと聞いたことがあったから、きっと喜んでくれる。
 
こうして私のサプライズ計画がスタートした。
 
「誕生日のお祝いをしたくて、プレートか何かを用意していただくことは出来ますか」予約の電話で、店員さんは快く相談にのってくれた。キャラクターなどイラストを入れたプレートを用意できるとのことだった。
 
何のイラストがいいだろうか…。直接聞いたことはなかったけれど、持ち物やSNS、共通の友人から聞いてコナンが好きなんだろうと気づいていたから、コナンでお願いをした。
 
誕生日プレゼントも用意しようと思った。なかなか良いものが思いつかず、友人にも相談した。最終的には、「洋服買いたいな」そう言っていたことを思い出し、パーカーと手紙を用意した。
 
たくさん考えたサプライズだったからこそ、喜んでもらえて嬉しかった。その後も何度も「嬉しかった」と彼は言ってくれた。
 
サプライズは賛否両論あると思う。そこで、わたしなりに考えたサプライズの取扱注意事項を3点紹介したい。
 
1つ目の注意事項は、“とことん内緒に”だ。
私の“サプライズ”は、できるだけ相手に勘づかれないように綿密な計画を立てる。相手と話す中で、「楽しみだね」「もうすぐ誕生日なんだ」という発言があると、つい計画を漏らしそうになるが、冷静な顔でさらっと受け流す。相手の驚きがでかいほど、喜びも大きくなると思うからだ。
 
2つ目の注意事項は、“相手の温度感を大切に”だ。
私はサプライズをする際に、相手にどう伝えるのが良いか、相手の性格を考える。
“あなたのことをたくさん考えて準備したよ”と伝わる方がいい相手もいれば、そうでない人もいる。サプライズをされることで、相手の時間や手を煩わせることを申し訳なく思ってしまう人もいる。
 
私の母や祖母はまさにそういう人で、母の日や誕生日について「何が欲しい?」と聞いても、「プレゼントなんて用意してもらうの大変だしなくて大丈夫よ。あなたがいてくれればそれだけで嬉しいわ」という。プレゼント自体は嬉しいのだと思うが、気を遣い過ぎてしまって楽しめないのだと思う。そういう相手には、ちょっとだけ伝え方を工夫する。
 
去年、私は母親にサプライズでバラの花束を贈った。
2020年4月、コロナで緊急事態宣言が発令され、私は突然自宅にいる時間が増えた。それまで毎月のようにしていた帰省が叶わなくなり、おうち時間を充実させたいと思うようになった。商品が売れず困っているお店を助ける事を目的に作られたFacebookグループで、バラを見つけた。せっかく買うのであれば自分の家だけじゃなくて、離れている実家でも楽しんで欲しいと、半分ずつの花束に分けて送ってもらうことにした。「ちょうど自分も買おうと思っていたし、せっかくなら半分もらってよ」と伝えて。お花には、“いつもありがとう”のメッセージカードをつけてもらった。
 
赤ピンクと色とりどりの花束を、母はとても喜んでくれた。綺麗に飾って長い間楽しんでくれた。母は、私の配慮と感謝の気持ちを感じ取っていた。
「優しさと思いやりも伝わってきてとても嬉しい気持ちになったわ」母は後日、振り返ってそう言った。
 
3つ目の注意事項は、何よりもこれが大事なことだが、“相手を思う気持ち”ではないかと思う。
笑顔や幸せな気持ちになって欲しい、感謝を伝えたい、きっとそれがサプライズの本質なんだと思う。
 
私はサプライズに気づいたときの相手の表情が好きだ。「えっ」という驚きと笑顔。相手の嬉しい気持ちがこちらにも伝わって、それだけでとっても幸せな気持ちになる。このように適切な方法で使用すると、双方向にとっていい効果をもたらす。
 
私は25年間の人生で、大きい物から小さい物まで数え切れないほどのサプライズを行ってきた。
 
大学生6名と共に震災後の被災地の医療について学ぶ番組に出演したときには、講師の先生とディレクターに寄せ書きのプレゼントをした。プレゼントをもらったとき、二人はとても驚いた様子で満面の笑みを浮かべ、「このメンバーで良かった」と涙ぐんだ。
 
学生時代に所属していたサークルの飲み会では、その日が誕生日だった先輩にケーキを用意したこともある。普段少し気の強い先輩が、眼鏡をはずして目頭を押さえた時にはびっくりした。
 
実習で出会った長期入院中の高校生には、卒業式の一時外泊の日に小さいハーバリウムのお花を渡したこともある。卒業式を終えた本人とお母さんがその日見せてくれた、普段とは違う穏やかな嬉しそうな表情を今でも鮮明に覚えている。
 
不器用でなくてもいい。派手でなくてもいい。相手を思う気持ちが伝われば、お互い幸せだ。だからこそ、私はこれからもこのトリセツを参照し、慎重かつ丁寧に心を込めて大切な人たちへサプライズを続けていきたい。
 
 
 
 
***
 
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2021-11-10 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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