将棋を始めた理由は酒屋が移転したから
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記事:くろたん(ライティング・ゼミ日曜コース)
私の趣味であり、特技でもある将棋。
運動音痴で、勉強も出来る方では無かった私にとって、将棋が強いのは私の誇りであった。
そんな将棋ではあるが、その出会いは意外な形だった。
私が小学校4年生の時の夏休み。
家族で4泊5日の東北地方を旅行していた。
・福島県猪苗代の磐梯山
・宮城県の蔵王
・岩手県のニュージーランド村
磐梯山に登ったわけではないが、近くの有料道路を走行したり、その博物館に行った記憶がある。
蔵王で泊まったペンションは古風な感じで、夏休みなのに何故か他に家族2組しかいなかった。
料理もイマイチだったのを覚えている。
蔵王のペンションはイマイチだったが、
東北旅行は全体的には楽しく、今思うと良い思い出である。
そんな東北旅行の4日目の夜。
山形県のとあるホテルに泊まった。
3日目の蔵王のホテルが汚かったからか、部屋がきれいに感じた。
テレビを見るのに、有料のテレビカードが必要であり、そこは独特だなと思った。
高校野球の中継を見た記憶がある。
料理はバイキング形式だったので、テンション上がったのを覚えている。
これまでに泊まったペンションや国民宿舎は、料理が決まっていて、料理によって好き嫌いがあった。
中には一口だけで食べて、残り全て残した料理もあった。
5日目の朝。旅行の最終日である。
朝食はどうだったか記憶に無いが、テレビカードで見られる時間ギリギリまで、テレビを見た記憶がある。
ホテルを出ると、車に乗ってとある酒屋に向かった。
親父が是非とも行きたいという酒屋だった。
どれくらい時間掛かったかは覚えていないが、酒屋に着いた。
親父が車を出る。すると、少したって何も買わずに戻って来た。
どうも酒屋が移転して、違う市町村に移ってしまったようである。
旅行誌るるぶを見て、移転先の場所を確認する。
現在地からは、だいぶ遠い場所であった。
なので、酒屋に行く事を諦めた。
その時、せっかく山形県に来たのに何も買わないのは勿体無いと親父は思ったようだ。
なので、車で近くにあった、天童市の将棋むら天童タワーに向かった。
天童市は、将棋駒の生産量日本一であり、将棋のまちの1つである。
プロ同士の大一番を天童市の滝の湯ホテルで行われる事もある。
そこで、比較的高価な将棋の駒と盤を買った。
プロが使うほどの高級さは無いが、盤は脚付きでなかなか立派なものであった。
駒は木製であり、数万円したと思われる。
その時は、親父が将棋のルールを知っていて少しコツが分かる程度で、他に将棋のルールを知る者は家族にはいなかった。
今思うと、本格的に将棋やる人がいないのに、よく立派な将棋駒と盤を買ったなと思う。
東北旅行を終えて帰宅した翌日、私は早速将棋の駒と盤を開けた。
とはいえルールは全く分からず、駒を盤の上に立てて遊んだ記憶がある。
少し遊んだら、駒を箱に片付けた。
翌日だったか、親父が私に将棋を教えようと駒箱を開けた。
駒の枚数を確認すると、何と1枚足りないようだ。
私が遊んでいた時に1枚紛失してしまったようだ。
数万円した高価な駒である。親父が慌てて駒を探す。幸いにも数分で見つかった。
駒の動かし方を親父に教わると、私と親父で対戦した。
とはいえ、ルールだけ教えてもらったばかりでは勝てるはずがなく、すぐに負けてしまった。
その時は楽しいとは全く思わなかった。
それでも、休日に何度か親父と将棋を指した。
ハンデとして、親父の駒を何枚か少なくして戦っても負けたのを覚えている。
一体何連敗したのだろうか。
ある時、子供向けの将棋入門の本を買ってくれた。
本を読むと、駒を動かすコツや王将の囲い方が書いてあった。
すると、少しずつだが将棋の面白さに気づいた。
ずっと完敗していた親父にも、少しずついい勝負が出来るようになっていった。
そして、将棋を覚えて1年以上経つと、親父に勝てるようになった。
それから、親父に負ける事が無くなった。
私の方が明らかに強く、親父はもう私に勝てない事に気づくと、それから一緒に将棋を指す事は無くなった。
身近に対戦相手がいなくなると、コンピュータの将棋ソフトと対戦したり、将棋の本を読んだりして強くなっていった。
毎月買っていた、将棋雑誌はボロボロになるまで読んだ。
中学3年の頃になると、将棋大会や道場に行くようになった。
高校時代は、本格的に将棋に打ち込んだ。
高校の最後の県大会では、優勝できて全国大会に進む事が出来た。
あの時、酒屋が移転していなかったら、私はここまで将棋にハマる事は無かったかもしれない。
私の将棋との出会いは、このように意外な形であった。
将棋界のレジェンドである、故大山康晴十五世名人が、
強くなるには良い将棋盤と駒を持つと良いという言葉があった。
将棋のまち天童市で将棋を買ったからこそ、高校県代表になるまで強くなれたのかもしれない。
あの時、高価な将棋盤を買ってくれた親父にはものすごく感謝している。
***
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