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「料理」コンプレックスはインドカレーで解決せよ


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:村山葵(ライティングゼミ8コース)
 
 
「料理、あんまり得意じゃなくて……」。
つい、そう言ってしまっている、名付けるならば「料理コンプレックス」な方へ。
 
決して料理をしてないわけじゃない。むしろ毎日、自炊しているのに、毎回味が決まらない。よくわからない失敗をして、よくわからない料理ができる。恐る恐る、人に出してみても、相手は終始無言……
そんな時、心は落胆と絶望感と自己否定でいっぱいになってしまいますよね。
わかります。私もそうだったので。
「私は料理のセンスがない。料理の神様に見放されている」……そう思っていました。
ホームパーティーで、「スーパーで何か買ってきてみんなで作ろう」という流れになった時、しかも自分以外は全員男性だった時なんかは最悪です。最近では男性の料理スキルも上がってきて、みそ汁や炒め物ぐらいはチャチャっと作れてしまう(しかも大概うまい)逸材が5人に1人ぐらいの割合でいるので「時代は変わったな……生きやすくなったもんだ」と遠い目をしつつ、食べる係&洗い物係に徹する筆者ですが、私が学生だった頃(20年ぐらい前)は、決してそういうわけにはいかなかったのです。
「当然、女性だから作れるよね」。そういう空気がキッチンに充満して、「いや、自分はパスタ派であって和食は作ったことないので……」などと言い訳して、その場から逃げ出したくなったものです。いやー、今思い出しただけでも冷や汗かく。
37年間、悔しさをかみしめていました。
 
ところが、です。
どういう風の吹き回しでしょうか、そんな私が、この1年ほどで、「料理って面白い」と思い始めたのです。
料理教室に行ったとか、誰かからコツを教えてもらったわけではありません。
これまでの生活の延長線上にいつつも、ほぼ自力で、「うまいものを自分の手で作り出すことの幸せ」に目覚めたのです。
 
そのきっかけは、「インドカレー」でした。
銀色の小さなお椀に入ったカレー2、3品と、でっかい「ナン」(またはライス)で構成される、人気のあの食べ物です。
スパイスに中毒性があるのか、時々どうにもインドカレーが食べたくて仕方がなくなる時があり、そんな時はとりあえず近くのインドカレー屋をググってそこに飛び込み、一心不乱にナンとカレーをほおばる。そんなことをしているうちに、市内の有名インドカレー屋は一通り制覇してしまった。そんな、コアなインドカレーファンなのでした。
 
「カレー好きと、コーヒー好きにはマニアが多い」とどこかで聞いたことがあります。私の場合もその例外ではなく、ある時から「家にいても毎日この体験をできないだろうか」と考え始め、海外食材専門店でスパイスを買い求め、インドカレーの自作に取り組み始めたのです。これが、私の「食」とのかかわり方の転機でした。
 
インドカレーは、一見、料理初心者には敷居が高いように思えますが、実はそうでもない。使うスパイスの種類や量や配分がある程度決まっており、作り方も意外にシンプルです。使う食材によって味付けや調味料を臨機応変に変える必要がある和食よりも簡単です。もちろん、誰もが「美味い!」と唸るカレーを作ろうと思えば、それなりにコツ習得が必要ですが。
感覚としては、あらかじめ付属している調味料で味付けをするインスタント食品とわりと近い感じ。
正確に各スパイスのグラム数を計って、炒めた玉ねぎ・生姜・にんにくとトマトペーストと鍋の中で混ぜ合わせて、メインの具材を入れて煮込むだけ。炒める時間や煮込み時間はお好みで。料理のセンスがなくても、小学校の理科の実験ができた人なら大概できます。
 
そんなアバウトで気楽な感じで、素人が聖なる国の国民食を作る真似なんかして、邪道じゃないの? バチ当たらない? と心配になったりしますが、大丈夫。蓋を開けて味見をしてみれば、うん、美味い。こくまろカレーやバーモントカレーとは一味違う、本格カレーがしっかり出来上がっているのです。
 
この体験に勇気づけられて、私は、毎日のようにキッチンに立ち、スパイスの調合や火加減を工夫しながら、「インドで食べたあの味」を再現してみたいと、自宅カレー修行に一人、取り組み始めたのです。
 
そんな、「ほぼ毎食カレー」の生活が、半年ほど続いたと思います。
予想していたことですが、ある時、「カレーは今日はいいや」と思える、「カレー離れ」の日がやってきてしまいました。さすがに半年も同じものを食べていれば無理もありません。(同じといっても具材は日によってそれぞれでしたが)生まれて間もない頃からスパイスを摂取して育ったインド人ならともかく、味噌汁やお漬物を食べて育った私が、30代にして突然スパイスを大量摂取する生活をすれば、内臓も疲れてボイコットを起こすというものです。
 
「そろそろ、ごはんやみそ汁や野菜炒めが食べたいな……」
冷蔵庫にあった野菜をカットし、油をひいて、スパイスは入れずにフライパンに放り込みました。
以前はそれすらもドキドキもので、「どのぐらい炒めたらいいんだろう、味付けはどうしよう、いつ調味料を入れたらいいのか、ああどんどん時間がなくなっていく、焦げてしまう!」とアタフタしてしまっていたのですが、インドカレーで半年間鍛えたので、ここではもはや動じません。
そして最大の難関・味付けの段階がやってきます。
インドカレーは、スパイスで塩のみで味をつけます。スパイスは香りを出すもので、味の濃淡を調節するのは塩のみ。なので、和食や中華に比べて、塩の重要度が高くなってきます。
以前は、塩をあまり使い慣れていなかったのですが、インドカレーを作るようになってから、塩に親しむようになり、分量の加減がつかめるようになってきました。塩を使いこなせるというのは大きな武器です。
「スパイス(クミン、コリアンダー、ターメリックその他)+塩を、和食の調味料(だし、醤油、酒、みりん)+塩に置き換えればいいのだ」
頭がそのように自動変換したようです。
 
最後にして最大の難関である味付けの段階に来ても、またもや、動じない自分がいました。
「味は基本的に塩でつければいい」という、カレー作りで培った味付けの軸があるので、気持ちはだいぶ楽です。以前は、各調味料の特徴や使い方がわかっていなかったために、どれをどう使えばいいのかわからず、混乱してしまっていたのでした。
味とスパイスだけで味わいを作らなくてはならないインドカレーと比べて、コクが深まる「だし」を使える点で、和食は有利です。これを活用しない手はない。だしはたっぷりと。その上で、適宜、他の調味料を加えていけばいい。
半年間、カレーしか作っていなかったにも関わらず、なぜか、これらのことが自然にわかるようになっていたのです。
インドカレー修行をしているつもりが、図らずとも、和食の修行まで兼ねてしまっていたようです。まさに一石二鳥。
 
それからの私は、以前ほど料理コンプレックスに苦しめられることがなくなりました。おそらく、確立された、決まったレシピを繰り返して練習したこと、その中で工夫しながら上達を目指したのがよかったようです。
そんなわけで、以上の私の実体験を踏まえて、料理コンプレックスに悩んでいる人は、「インドカレー」を作ってみることをおすすめします!
 
 
 
 
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2021-11-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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