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日本シリーズが教えてくれたこと


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記事:吉田智彦(ライティング・ライブ福岡会場)
 
 
今年の日本シリーズ、ヤクルトvsオリックスは、神シリーズといわれるほど、全試合が好勝負で、改めてプロ野球の面白さと素晴らしさを感じさせてくれた。
 
どちらのチームのファンでもないのに、両チームの戦いに魅了され、感動した人も多いようだ。私もそのうちの一人だ。巨人ファンなのだが、こんなに面白いと感じた日本シリーズは、あまり記憶にない。
 
唯一あるのは、1989年の巨人vs近鉄。巨人が3連敗からの4連勝で日本一になったシリーズぐらいだ。土壇場に追い込まれてからの大逆転劇だった。
 
このシリーズ途中まで、18打席無安打だった4番原辰徳(現巨人監督)。クロマティ―敬遠後の打席で、意地の満塁ホームランを打った場面は、今思い出しても興奮するぐらい鮮明に記憶に残っている。
 
3連敗からの4連勝という、奇跡的な展開だったから、今でも語り草になっているのであろう。
 
今年の日本シリーズは、1989年のような奇跡的なことが起きたわけでない。なのに、ここまで面白いと感じたのはなぜか。
 
理由を考えてみた。
ひとつ間違いなく言えるのは、すべての試合が接戦で、どちらのチームが勝つか、最後まで分からなかったからだ。今回のシリーズは6試合すべて2点差以内。これはシリーズ史上初らしい。
 
両チームの実力が高いレベルで均衡し、どちらに勝利が転がるかが分からず、各試合多くの場面で、ハラハラドキドキさせられた。
 
それを作ったのは、先発投手の力投だ。序盤で打ち込まれてしまうと、ワンサイドゲームになるか、打ち合いの乱打戦になる。それでもファンなら推しのチームが勝てばハッピーなのだが、内容でみると大味で面白さに欠けてしまう。
 
このシリーズは全戦を通して、先発投手が素晴らしく、序盤から崩れることはなかった。その中、1点を争う試合展開になったことで、手に汗握るシーンが多くあった。そして、味方チームの力投に応えようと打つべき選手が、ここぞ、という場面で期待に応えて打った。
 
また、相手チームのミスを逃さずに、チャンスを広げ得点した場面もいくつかあった。少しのミスも許されない、そんな緊張感があった。
 
そして私の中で、このシリーズを神シリーズにした立役者は、オリックスの山本由伸投手だと思っている。
 
山本投手は、第1戦と6戦の2試合に投げ、好投した。だが、チームは2試合とも負けた。それでも彼のピッチングが、今シリーズのレベルを間違いなく上げたのではないだろうか。
 
彼は今季、最多勝(18勝)を獲得。そして最も活躍した先発投手に贈られる、沢村賞を受賞するなど、球界を代表するエースだ。
 
その実力を遺憾なく発揮した。特にヤクルトが優勝を決めた第6戦は凄かった。
8回という疲れが出る終盤で、ヤクルトの主軸を3者連続三振。1対1の同点だったので、ここで自分が流れを引き寄せてやる、という気迫みなぎる圧巻のピッチングだった。
 
だがその裏の回で、オリックスは得点できなかった。すると、8回で降板予定だったと思われたのだが、なんと、自ら志願して9回もマウンドに立ち、そしてしっかりと抑えた。
 
あと、私がしびれたのが、中盤の6回に味方の2連続エラーでノーアウト1、2塁のピンチになった場面だ。山本投手は、2つめのエラーがあった後、嫌な顔を一つすることもなく、味方に対してゆっくりうなずきながら、両腕を少し広げて上下させた。
 
私には、「大丈夫、大丈夫、落ち着いていこう」という心の声をはっきりと感じた。その時の山本投手の表情やしぐさで、選手全員がこのピンチに落ち着いてプレーできたのではないだろうか。この後、しっかりと0点に抑えた。まさにヒーローだ。
 
山本投手が、ピンチをしのぐ場面、連続三振を取る場面、得点を許してしまう場面、どれも見応えがあった。得点を許しても、絵になるから不思議だ。この大エースにオリックスだけでなく、ヤクルトの選手も刺激され、より燃えたのではないだろうか。
 
ちなみに山本投手は試合中、厳しい場面でも笑っていたのが印象的だった。
 
結果はご存じの通り、ヤクルトが20年ぶりの日本一に輝いた。ヤクルトの高津監督がインタビューで、「真剣勝負が、こういう大きな舞台で面白いゲームにした」といった趣旨の話をしていた。
 
両チームとも全選手が真剣勝負で本気になって死力を尽くしたら、神シリーズになったのだ。
 
私はテレビで観たのだが、テレビ越しからでも選手たちの本気さが、ビンビン伝わってきた。
本気ってこういうことを言うんだな、と感動した。
 
ふと昔、会社の研修で、「本気の定義」について学んだことを思いだした。
 
本気の定義とは、①自分で決める、②やり続ける、③楽しんでいる、④周りが援助してくれる、である。この4つが揃った時に、本気だといえるのだ、と講師は言った。
 
なんでも目の前のことに本気で取り組む姿勢が人生を面白くしてくれる。人生、上手く行くこともあれば、失敗することもある。でも、そのプロセスで力を出し切ったかどうかが大事。
 
たとえ、失敗して悔しい思いをしても、必ず次の成功の糧になる。本気でやると、やり切ることができる。そして、どんな結果でも自然と受け入れることができ、スッキリした気分になるのではないだろうか?
 
すべての試合が終わった後の両チームの姿を見て、そう感じた。
 
 
 
 
***
 
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2021-12-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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