口に潜む厄介者
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:島田惇史(ライティング・ゼミ日曜コース)
あなたの口には厄介者が潜んでいる可能性がある。多い人で4体もいるかもしれない。
ときに、腫れて痛みを生じさせ、その痛みのせいで口が開かない、仕事に集中出来ない、周囲の歯にダメージを与えるといった悪事を働く。
ただ、その厄介者は気まぐれなことがあり、人によって、横になっていたり、縦になっていたり、あるいは存在しない場合がある。
その名は、「親知らず」である。
その名の由来は様々で、親元をはなれた頃に生えてくる、親が生え始めを知らず気がついたら生えているといったことからこの様な名前が付いている。
近年、人の顎が昔と比較して小さくなっていることがあり、そもそも親知らず自体生えないパターンもある。あるいは小さい顎に無理やり居座り、歯が横向きになって生えてしまっていることもある。たちが悪いのは、親知らずが横向きになってはえてしまい、1つ前の歯や周りの歯茎に影響を与えることがある。
親知らずのために悩まされている患者さんは少なくない。
そして私自身も左下の親知らずのせいで、ずっと悩まされていた。
私の左下の親知らずは例のごとく、横向きに生えており、一部歯茎を突き破って歯の頭の部分が見えていた。いつもそのにものがつまり、歯ブラシをするたびに大変な想いをしていた。無理に歯ブラシを当てて磨こうとすれば、じんわり出血する始末。
気になる。時として口臭も生じているのではないかと悩まされていた。
不幸中の幸いというべきか、腫れて痛い、口が開かないといった悪さをしていなかった。
私自身が歯医者であるので、早く抜けばいいと診断し、自分自身では抜けないので、だれかにお願いすればいい。
もし私が同様な悩みを抱く人に出逢えば
「早めに抜いたほうがいいよ」
と声をかけるであろう。
しかし、それが出来ない。
それは、怖いことに加え、抜いた後に腫れるからだ。
歯茎を切って開き、歯を分割する、そして場合によっては骨を削ることがある。
レントゲンやCTで歯の生え方や、方向を予め確認できるものの、いざ抜くとなると、歯の根が骨に食い込んで抜けないとか、口の中という小さな空間での処置のため時間がかかる。
時間の経過と共に、腫れや痛みのリスクが増加してくるのは自分で理解しており、また自分のレントゲンをみて親知らずが厄介者であることも理解しており、中々抜歯しようと一歩を踏み出せずにいた。
そのようなことで悩み続けて5年近く時間が経過していた。
心の中でどこか、むず痒くひっかかる感じがずっと続いていた。患者さんには抜いた方がいいと言って、自分自身で抜歯しないのは筋が通らない。
ようやく抜歯を終了した後のことであるが、いままで抱えていたストレスを取り去ることができ、心が軽くなったように感じた。いままでの歯ブラシ時のストレス、横に生えていることで手前の歯への影響がなくなったこと。
抜歯して改めて想うが、早めに抜けばよかったと後悔した。
親知らずの抜歯をだいぶこじらせてしまったとはいえ、抜歯することのデメリットより、メリットの方が、自分にとって上であった。
親知らずの抜歯は全ての人にとってメリットにはなりえない。人によっては縦に生えていして上の歯としっかり噛んでいるので、抜く必要がないときもある。虫歯にならずきれいに生えている人も勿論いる。場合によっては、親知らずを他の部位に移植して使うこともできる。必ずしも口の中の極悪人というわけではない。
親知らずに苦しむ人を多く見ている。痛くて一睡も出来ずに職場に向かう人もいれば、親知らずのせいで歯茎だけでなく顎の下のリンパまで腫れて痛い人、口が全然開かなくて困っている人など症状は様々である。
親知らずを抜かない後悔は、ダイエットをしない後悔に似ていると感じる。
今痛くないからやなくて大丈夫、やりたくないと言った感情が生じているのは今さえ良ければそれで良いという考えである。やらなくていいやでは遅い。ダイエットも面倒だからいいや、或いは、明日から始めようと先延ばしにしていると、次第に取り返しがつかなくなり、気がついたら重篤な病に蝕まれているというのも多々ある。
私自身、親知らずの抜歯を先延ばしにしてその間、ずっと嫌な思いをし続けていた。そして抜歯をした後の心の中の悩みがなくなった時の開放感はとても大きいし、ずっと抜かずにいたからこそ早くやっておけば良かったという後悔も強い。
自分の知らぬ間に、親知らずのせいで手前の歯がだめになるリスクがある。早く抜けばいいのに、抜くのが痛そう、怖いでそのまま放置。それは良くない。それは事実だと思うが、それより先の大きなメリットのために頑張ってみませんか?
ただ歯医者に行って、すぐ抜けるものではないので、お早目の診察を。
***
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
お問い合わせ
■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム
■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。
■天狼院書店「東京天狼院」
〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)
■天狼院書店「福岡天狼院」
〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
■天狼院書店「京都天狼院」
〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00
■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」
〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168
■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」
〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325