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趣味のない彼女と 話をしたくない私の戦い


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:あやこ(ライティング・ライブ名古屋会場)
 
 
「私、趣味と言える趣味がないんですよね〜」
さっき丁寧に洗ってもらった髪をブラシでときながら美容師のお姉さんが呟いた。
 
最近5年くらい通っていた美容院を変えた。担当してくれた人が店長になり忙しくなったため、シャンプーをする、髪を乾かす、カラーをするたびに私の後ろに立つ人が変わるのが嫌で新しい美容院を探すことを決めた。
 
私が美容院に求めていることは
・静かであること
・1人の人が最後まで担当すること
・自転車で行ける範囲であること
 
この3点だった。
その希望を叶える店が見つかり、久々に新しい美容院の予約を入れた。
今までの美容院は私があまり喋りたくないことを知っているので話しかけられることはほとんどなかったが、新しい場所では通用しない。だから5年ぶりに美容院で話をすることになった。
私はあまり根掘り葉掘り自分のことを聞かれるのが好きではない。
だから初対面の人と話す時は戦いなのである。
 
平日の昼間に美容院に行ったので当然
「今日はおやすみですか?」から始まる。
前の美容院だと私がフリーランスで働いていることを知っているのでもう聞かれることはなかったが、そうだな。当然そこが気になるよなと思った。
きっとそのあとは「どんなお仕事されてるんですか?」と聞かれると思ったので
 
「私、フリーランスなんですよ。だから時間に融通がきくんです。最近はハンドメイドの作品を販売し始めたんですよ」と先手を打つ。
 
フリーランスの仕事の方を説明するとその仕事を始めた経緯も絶対聞かれる。それはかなり面倒なのでハンドメイドの情報だけ相手に渡す。
さぁ、ここからはいかに自分の情報を渡さず会話を成立させるか!
バトル開始だ!
 
「へぇ〜、どんなものを作るんですか?」
「マクラメ編みっていう、綿の紐を手で編んで観葉植物を吊るすロープを作ったり、タペストリーみたいなインテリア小物を作ったりするんですよ〜」
「マクラメですか?」
 
よしよし、予想通り。このまま、あまり知られていないマクラメの話に持って行けたらその説明で終わる。いい調子だ!
 
「へぇ〜! なんか趣味があるっていいですね!」
 
おや? 予想していた話の流れと違う……まぁ、いいか。そっちの趣味の話に持っていけば相手が勝手に話をしてくれるからそちらにバトンを渡そう。
 
「美容師さんは何か趣味はありますか?」
「私、今それが悩みで……趣味と言える趣味がないんですよ。だから羨ましいな〜と思って。他に何か趣味ありますか?」
 
おっと! バトンが見事に下へ落ちた! 自分で拾うことになってしまった
 
「ん〜……私は趣味が多すぎてよくわかんないんですよね」
「え? え? どういうことですか?」
 
しまった! 正直に言いすぎた
早くバトンを渡したい!
 
「私は興味があるものにすぐ手を出すから、全部広く、浅くなんですよ。刺繍をしてみたいと思って道具を買って、その時は刺繍が趣味だったけど今は全く興味がない。売り物は作れないけど刺繍はできるスキルは手に入れました。旅行も好きだけど、旅行が趣味っていうとマニアックな旅先に行ったことがあるとか月一で旅行してるとか海外とか言えなきゃ趣味じゃないとか思ってたけど、日帰りで車に乗っていつもと違う場所でその土地の美味しいものを食べるのが好きだと思えば旅行が趣味って言えばいいのかな〜って思ってます。美容師さんも休みの日にしてることとか自分が好きなこととか趣味って言えばいいんじゃないですか? そーゆーのないですか?」
 
よし! 今度こそバトンを渡す準備はできた!
さぁ! あなたの趣味を教えて! そして会話の主導権を受け取って!
 
「そっか……でも私、休みの日はNetflix見て寝てたら終わっちゃうんですよ。人に言えるような趣味じゃないです」
「いいじゃないですか、ネトフリでよく何を見てるんですか?」
「最近韓国ドラマ見てますね」
「じゃあ ”趣味は韓国ドラマを見ること” でいいじゃないですか」
「でも、3作くらいしか見てないから韓国ドラマ好きってお客さんの熱量に比べたら私なんて趣味と言えるようなものじゃないし……」
「別に趣味って人に言うためのものでもないし、人と比べるものでもないと思いますよ。年間100作品見ないと韓国ドラマ鑑賞が趣味と言ってはいけないとかルールがあるなら別だけど。それに一度趣味って言ったら永遠に変更できないわけじゃないし、私みたいにとりあえずやってみて楽しかったら”趣味”として続ければいいし、楽しくなかったら”経験”として終わればいいんですよ」
 
「楽しかったら”趣味” 楽しくなかったら”経験”……めっちゃ刺さりました」
「このお仕事をされていると色々な人と話す機会があるでしょうから、色々な人に趣味を聞いてみて、何か引っかかったものにとりあえずチャレンジしてみたら何か一個は趣味として残るかもしれないですよ」
「いや、実は今、色々な人に聞いているんですけど結構私みたいに趣味と言える趣味がないって人は多いです」
「そっか、みんな人に話すための”趣味”は見つからなくて悩んでるんですね」
 
 
「あの、失礼ですけど、どんなお仕事をされているんですか?」
 
こうして私の戦いは自爆し、1人の人がずっと担当する美容院を選んだばかりにずっとバトンを握ったまま、いい香りのするツヤツヤの髪でお会計するまで話し続けることになった。
喋らなくていい美容院探しはまだまだ続きそうだ。
 
 
 
 
***
 
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2021-12-15 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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