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副都心の3階から富士山が見える不思議


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記事:citron(ライティング・ゼミ10月コース)
 
 
富士山、それは日本人の心のふるさとである。私は12歳の頃に長崎から東京に引っ越してきたが、富士山を見るととても幸せな気持ちになった。とにかく稜線が美しい。朝富士山が見えると、「ああ、きれいだなぁ。今日もいい日だな。日本に生まれて、ここに住んでいてよかったな」と思う。私は東京の副都心の5階建てマンションの3階に住んでいる。住んで半年経った時、初めて自分の家の窓から富士山が見えることを知った。「え? ここマンションの3階だよね? 富士山が見えるってどういうこと?」私はびっくりした。富士山が見えることに気付いたのは、なんと遊びに来た義父だった。
 
結婚してすぐに住み始めたマンション。当時は日々の生活に慣れるのに精一杯で、窓からの景色を眺める余裕もなかった。それでも、料理が得意な私は、自宅に親を呼んで料理を振る舞うことをしていた。そんな折に、義父が発見したのだ。「おい? あそこに見えるのは富士山じゃないか?」一瞬、そこにいた全員が目を疑った。だって、ここはマンションの3階なのである。タワーマンションではない。5階建てのマンションの3階部分。電線と同じ高さなのだ。なのに富士山が見えるなんて、信じられない。最初は誰しもがそう思った。しかし、やっぱりじっくり見ると富士山なのだ。「富士山って、あの方角だよね?」皆が地図を見て確認した。やっぱり富士山である。そしてようやく、我が家の窓から富士山が見られる、ということが認識された。
 
それから朝と夕方、冬晴れていて空気が澄んでいればたいてい富士山が見られるということがわかった。ダイヤモンド富士も我が家から見られるし、高い建物に上らなくても富士山は見られる。ただし、視界には電線が入ってしまうから、写真に撮ると映えないのが惜しい。
でも副都心に居ながら、それも自宅から富士山が見られるのは、とても嬉しいことだった。
 
ところで、なぜ富士山が見られるのか、考えてみた。富士山が見られる条件としては、最初に考えられるのは、距離。さすがに、関東近辺、富士山のお膝元の山梨、静岡ぐらいまでしか見られないだろう。
 
次に遮るものがないか? 名古屋は、アルプス山脈に遮られて見えない。京都・大阪も同じ理由で見られない。それより西は、距離的に遠すぎるし、関東以北はアルプス山脈に遮られるか、距離が遠すぎるだろう。
 
つまり程よい距離で遮るものがなくて、平野部であれば見られるということ。静岡や山梨は別として、関東の平野部は、遮るものがない、距離も適当であるので、見られる条件が当てはまる。
 
では高さはどうなのか? もちろんタワーマンションや高層ビルなどの高い建物であれば、基本的に見ることができると思う。高ければ高いほど見やすいはずだ。ただ、タワーマンションや高層ビルに遮られて見えない、ということはあるかもしれない。そう思うと、東京の副都心で5階建てマンションの3階から富士山が見られるのは、奇跡というべきなのだろうか?
 
結局遮るものがなくて、富士山とその地点の角度がよければ見られるようだ。埼玉の高架橋を走る電車の中からは、角度がよければ富士山が見られる路線がいくつもある。我が家もたまたま富士山の方向に遮るものがなくて富士山との角度が良いから、富士山が見えるのだろう。
 
後で知ったのだが、我が家の隣の道は「富士見通り」と名前がついていた。恐らくその昔、高い建物がなかった時代は、東京でも富士山はよく見られていたのだろう。江戸時代末期の富士山が噴火した時、江戸から富士山は見えたという記録はあるし、火山灰も江戸まで届いていたようだ。江戸城から富士山は見えていたのだろうし、江戸時代でなくとも、明治、大正、昭和の戦後高度成長期くらいまでは、普通に見えていたのかもしれない。
 
いつからか、高層ビルが建ちだし、タワーマンションまで建つようになり、私たちは限りある土地を有効利用しようとして、上に上に伸びるようになってしまった。その結果、富士山は日本で一番高い山なのに、見られない、ということが起きてしまっているのだろう。
 
都心で暮らすのは、利便性が高いが、自然が手に入らない環境になってしまう。もちろん私は利便性を求めてここに住んでいるのだが、人間ないものねだりになりがちで、自然がほしいと思ってしまう。そんな時に私を慰めてくれるのが富士山。朝起きて、富士山が見えるとホッとして「今日も一日頑張ろう」と思い、夕方富士山と沈む太陽が見えると「今日もいい一日だったな。また明日もがんばろう」と思えるのだ。日本人の心のふるさとである富士山は、今日もまた相変わらず佇んでいる。
 
 
 
 
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2021-12-15 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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