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【クリスマス前に改めて知ってほしい】プレゼント選びの秘訣は「アレ」と同じって、ご存知でした? 


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:大村沙織(ライティング・ゼミ超通信コース)
 
 
「こんな感じでいかがでしょうか?」
そう言われて差し出された花束の出来栄えに、私は内心でガッツポーズをとった。
紫のダリアを中心にあしらい、そこから淡い紫色のトルコキキョウ、ピンクのガーベラへのグラデーションが美しい。
所々に添えられているカスミソウの白もアクセントにちょうど良い。
ミステリアスな紫やビビッドなピンクが、今度の新曲に漂うセクシーさにぴったりだ。
店員さんにラッピングとリボンをお願いして、完成した花束を受け取る頃にはもう電車に乗らなければいけない時間になっていた。
慌てて花屋のすぐそばにある改札口をくぐり、既にホームに停車していた急行電車に飛び乗った。
電車の中で、走った勢いで花束が崩れていないか確認する。
ブーケは幸いにも無事だった。
ブーケと同じ紙袋に手紙をそっと添え、そこに更にめぐりズムを追加で投入する。
ツアーで各地を転々と移動する際に彼に使ってもらえたらと選んだものだ。
ありきたりだが市販品だし、気軽に使ってくれることを狙っていた。
大物アーティストへのプレゼントはセキュリティの観点から後で廃棄されるという話も、ネットには多く見られている。
それが事実なのかは分からないが、彼のファンは地方支部のメンバー達が資金を出し合って大きな花輪を送っている人達も見かける。
恐らくは自分達の気持ちを簡単には捨てられないようにそうしているのだと思う。
しかしそんなネットワークもない、しがない一ファンとしてできることは限られる。
個人の小さな贈り物なんて、真っ先に廃棄対象になってしまうかもしれない。
最悪の場合、受け取ってもらえない可能性だってある。
それでも、ライブの度に彼にプレゼントを用意するのをやめられない。
相手に感じた気持ちや感謝の言葉をしっかりと相手に伝えたいし、忘れたくないから。
 
これまでの人生で、何回贈り物を選んできただろう?
家族、友達、職場の人といった身近な人達から、取引先、お世話になった先生、行きつけのお店の店員さん、大好きなアーティスト。
その対象は多岐にわたり、相手に応じて様々なモノを贈ってきた。
ただプレゼントを選ぶコツのようなものを本当に分かり始めてきたのは、ごく最近のことのように思う。
コツというよりか、自分なりのルールと言った方が良いかもしれない。
万人に当てはまるかは分からないが、これを意識することで今までよりも相手のリアクションが良くなったと感じているので、参考になれば幸いだ。
 
以前まではいわば万人受けしそうな贈り物選びしかできていなかったように思う。
お店を物色して、ハンカチやマグカップなどの無難なモノを買う。
女性誌の「センスが良い人の手土産特集」で見たおしゃれなお菓子を取り寄せて贈る。
相手の性別や年代に合わせて、「それっぽいもの」を選ぶ(たとえば20代半ばで付き合っていた同年代の元恋人にはタケオキクチの財布をプレゼントする)
このスタイルでも、何もしないよりは相手は喜んでくれるかもしれない。
でも本当はもう一歩踏み込むべきなのではと気付かされた体験があった。
 
それが起こったのは社会人になって5年目のことだった。
初めて勤務地の変更を伴う異動をすることになった私のために、同じ部署の同僚達が送別会を開催してくれたのだ。
年度末で全員が多忙の中で会を開いてもらえること自体とてもありがたく、感謝の気持ちでいっぱいだった。
そんな中で更にプレゼントまで用意してくれていて、驚きを隠せなかった。
「たくさん使ってくれると良いんですけど。良かったら開けてみてください」
そう言って後輩が私に渡してくれたのは、ティファールの手動チョッパーとクイックボウルだった。
クイックボウルは電子レンジ加熱が可能な深型の鍋で、材料を入れて電子レンジで加熱するだけでチャーハンや蒸し野菜ができるという超便利な代物だ。
火を使わずに調理可能ということで、料理に慣れていない当時の私にはおあつらえ向きの調理器具だった。
異動先の住居は借り上げ住宅で、これまで住んでいた会社管理の寮と違って食事がつかない。
そのため家事を全て自分でやらなければならず、特にこれまでほとんどやったことのない料理に対して不安な思いを抱いていた。
ただその話は職場で仲の良い女性のIさんとSさんにしか話しておらず、プレゼントを選んだ後輩には話していなかったはずだ。
「異動先で自炊しなきゃいけなくて不安がっているという話をIさん達から聞きまして。ちょっとでも楽になればと思って選ばせていただきました。気に入っていただけると嬉しいです」
その言葉を聞いて、とても嬉しくなったのは言うまでもない。
彼が忙しい間を縫っていろんな人に相談してくれたこと、調理器具をプレゼントしようと思いついた中でもこれらのグッズに絞り込んでくれたことや、そこに至るまでの時間の全てに対して感謝したくなった。
ちなみに今でもクイックボウルはラーメンやカレーを食べたりするときに登場しており、大活躍している。
そして私の人生の中でもかなり印象に残るプレゼントとなっている。
そのときは「本当に嬉しい、ありがとう!」としか返すことができなかったのだが、彼のプレゼント選びのスタンスはその後の私のお手本になった。
 
ちょっとした会話や雑談の端々から相手の生活のイメージを膨らませる。
そこに登場するものの中で「これだ!」と思うものを選んで、それを使う具体的なシチュエーションまで想像してみる。
それを何度も繰り返し、吟味したものを相手に贈る。
自分の想像と相手の実際の生活がぴったりリンクし合ったときに、選んだものが相手にとって最高の贈り物となるのではないだろうか?
私のこれまでのプレゼント選びには、生活シチュエーションの妄想が足りていなかったのだと思う。
「引っ越しをする人にはマグカップかタオルをあげる」というような決まりきったテンプレートしか持っておらず、その人自身を見る努力を怠っていた。
相手のことをもっとよく見て、その上でじっくり考えて選ばないといけない。
そこに自分ならではの視点が加わっていたらなお良い。
日頃からできている人には当然のことのように思えるかもしれないが、「プレゼントといえばこれ!」の枠にはまっていた私にとっては新鮮な視点であった。
もし分からなかったら、周囲の人に聞くなどの情報収集も欠かせない。
贈り相手が自分よりも年齢が上な場合などは、同年代の人に何をもらったら嬉しいか、聞いてみるのも良いだろう。
そんな過程を経た上で選ばれた贈り物と共に、選んだ人の気持ちもきっと相手にも伝わるはずだ。
芸能人などの少し世界が遠い人に通用するかはさておき、身近な人への贈り物を選ぶ際はかなり効果があると思われる。
 
実際にこの点を意識するようになってから、プレゼント選びの幅がぐっと広がった。
テンプレ的な選択から外れて、自由度が上がったことがからだと思う。
つい最近もプレゼントを贈る機会があったのだが、とても嬉しいリアクションをいただくことができた。
2ヵ月ほど前に上司に当たるMさんが関西に異動することになり、そのプレゼントを選ぶ役割を仰せつかった。
今の勤務地を思い出せる品物をあげるのが良いのではないかとふと思い立ったのは、Mさんの異動が発表されてから1週間後のことだった。
Mさんの異動が発表された日に「関西圏は実は初めてです」と話していたのが、思いついたきっかけになった。
それと同時に、Mさんが自分の車を異動先まで持って行くという話をしていたことも思い出した。
職場までの通勤は車の可能性が高いとも。
「……車や家の鍵はセットで持ち歩くだろうな。キーケースなんてどうだろう?」
小さな火種がしゅるしゅると導火線をたどり、爆弾まで辿り着くようなスムーズさで、これらの思考が頭の中を走った。
早速ギフトサイトを検索してみると、国産の本革製のキーケースがあった。
しかも名前の刻印は無料。
その場で即決した。
引っ越しのときに荷物になりにくいのも、相手にとっては嬉しいはずだ。
最終的には関東の思い出グッズとして茨城県産笠間焼のマグカップを選び、Mさんの最終出社日にMさんの名前入りのキーケースとセットでプレゼントした。
嬉しかったのはMさんがその日退社する前に早速キーホルダーに鍵をつけて、皆に見せて回ってくれたことだ。
そのときお世話になった挨拶と一緒にくれた言葉に、報われた思いがした。
「ちょうどキーホルダーが壊れそうになっていたところで助かりました。革の手触りも凄く気持ち良いし、大切に長く使いたいと思います。本当にありがとう!」
達成感を覚えると同時に、あることに気付いた。
 
「……そうか、プレゼント選びはライティングと同じだ」
 
何をあげるか、何を書くか、考える時間がとにかく長い。
あげるもの、書くことが決まるととんとんと進んでいくし、書けるようになる。
そして一番の共通点は、とにかく受け取り主や読者のことを考えること。
自分のアイデアを出して、それを受け取った相手がどんな気持ちになるか、どんなメリットを受けるかまで、徹底的に考えてみる。
必要であれば企みやおふざけやユーモアを入れ込み、文章やプレゼントにオリジナリティを持たせる。
そうすることでプレゼントや文章受け取った瞬間を、相手の印象に残る出来事にすることができるのだと気付いた。
「文章を書くのがうまい人はプレゼント選びも早いし、上手なのかもしれない」
プレゼントを選ぶのにまだまだ時間かかってしまう私は、プレゼント選びもライティングもまだまだ未熟な状態に違いない。
でもこのまま文章を書き続けていれば想像力や感受性が鍛えられて、ライティングもプレゼント選びの腕もだんだん上がっていくのかもしれない。
ライティングが得意な皆さん、あなたのプレゼント選びのスキルはどのくらいですか?
もし秘訣があるなら、是非とも伝授いただきたいものです。
 
 
 
 
***
 
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2021-12-15 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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