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京都は魔界か楽園か


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記事:いとうけんご(ライティング・ゼミ集中コース)
 
 
京都から東京に引っ越してきて、早二十数年。
もうこっちの暮らしにもすっかり慣れて、最早東京人気取り。
かというと、そうでもなく、相変わらず京都弁は出るし、何かあったら帰省して「ほっこり」したい衝動に駆られてしまう事も多い。
 
上京して挨拶の時、出身を聞かれて「京都です」と答えると。
「あぁ、京都ですか! 大好きです! 良いところですよね〜」と、大抵の方が言われる。
その頃は、若かったので「いやいや、お寺と神社しかない古い街ですから」と返すと、「そこが京都の良いところじゃないですか!」と。
 
改めて、自分が住んでいて気付いていなかった、我が故郷の好感度を知ることになる。
テレビなどのCMの影響や、修学旅行で行った楽しい思い出なども後押しするのかも知れないが、歴史の教科書や、名所の写真、旅番組や歴史映画やドラマ、最近はアニメでも印象は良さそうだ。
 
同じ京都出身の上京組の中には「CMとかの映像イメージはイイトコ撮りだ、実際はそうでもない」と言う人もいる。たしかに、綺麗に華やかな都をイメージした映像は美しく、歴史と文化の詰まった古の『楽園』のように見えて「そうだ、京都へ行こう」となるかもしれない。
 
実際の映像の場所や寺社等を思い出すと、割とこぢんまりしていたり、古くて色合いもくすんでいたり、映像とは少し隔たりがなくもない。しかし、その楽園イメージこそ、年間観光客数5000万人を超える人気観光都市京都を支えていると言ってもいいだろう。
 
自分の生まれ育った街を、良く言われることに嫌な気などするはずも無く、自分が褒められている訳でもないのに、妙に誇らしく鼻が高くなってしまい、内心照れてしまうことも。
 
京都出身ということで、京都旅行に行く知人からオススメ京都観光名所やスポット、御利益のある寺社から、ひどい時は全日程行程案まで。何でも知っている京都観光案内所の人みたいな扱いで聞かれることが多い。
 
まずは有名どころ、清水寺・金閣寺・銀閣寺・二条城・祇園・嵐山・五重塔……。
と、お勧めをしてみたら、既にガイドブックやインターネットで情報収集されていて、私の知らない寺院やお庭、はたまた誰も知らないような史跡や文化財等を聞かれることも。
実際観光地に住んでいる人間より、観光客のほうがよく知っている。というアレ。
 
でも、それでは京都出身の名が廃ります。
どうにか良いアドバイスが出来ないかな、と考えた末に編み出したのが、
『好きなジャンル案内』と『好きな歴史上の人物案内』とう2パターン。
 
好きなジャンルは、寺社仏閣、庭、着物、和食和菓子、仏像、紅葉、のような興味のある物を関連づけて、お勧めの場所を教えてあげる方法。
 
例えば、寺社・庭・仏像・紅葉のジャンルをまとめるなら、永観堂の『古今和歌集』にも詠われた約3000本の紅葉の美しいお庭と、珍しい本尊「みかえり阿弥陀仏」など。
 
好きな歴史上の人物案内は、皇室や足利氏、織田信長、豊臣秀吉、幕末志士、新撰組、のように好きな歴史上人物ゆかりの地を案内する方法。
 
これも例えば、新撰組が好きだと、壬生寺、屯所跡八木・前川邸、西本願寺、霊山歴史館、夕食は池田屋騒動跡地にある居酒屋池田屋など。
 
この2パターンを上手く組み合わせると、その方の好みで思い描いていた京都の『楽園』感を創出でき、なんとなくご満足頂ける行程が組めるのだ。
 
これで京都観光案内は、めでたし、めでたし。
と、いきたいところなのだが。
実は、もう一つ京都観光にお勧めの、裏観光案内をお教えしよう。
それが『魔界』案内。
 
魔界と聞いた途端に、いきなり怖いネガティブなイメージを持ったかもしれないが、
京都は1200年以上の歴史があり、様々な時代に、割と血生臭い出来事や、歴史上の事件、怪奇怪異現象の宝庫のような場所でもあるのだ。
 
実際、京都に生活している人は、その恐ろしい魔界的な場所や事件を気にしているのでしょうか?
正解は、全く気にしていないし、むしろ大切に保存したり伝えたり供養したりと、生活の中に当たり前に取り入れて暮らしている。
 
私の実家の近くには二条城があり、その隣の遊んでいた公園には、平安時代の化け物「鵺(ぬえ)」を射殺した矢を洗った鵺池という池があり、また少し離れたところには、有名な陰陽師安倍晴明が鬼を使っていた邸宅跡の神社や、平安の大怨霊菅原道真を祭る北野天満宮、本能寺跡も蛤御門も遠くはないし、百鬼夜行が通ったと言われる商店街も、生活圏内の遊び場や毎日通る所くらいの意識しかない。
 
なので、京都に観光に行く機会があるのなら、是非有名観光地と共に「魔界」の観光をお勧めする。
どうやって魔界を探すのか? と言っても、そんなに難しいことではない。
京都の多くの寺社仏閣や名所には『謂れ(いわれ)』というものが、ほぼ付いている。
鬼や妖怪が出たり、怨霊が祟ったり、戦や乱や変があったり、龍馬が斬られたり、あの世とこの世を行ったり来たり。
 
京都は町じゅう、魔界=ミステリースポットだらけと言っても過言ではないと思う。
そして、ミステリースポット=パワースポットとなって、御利益が受けられる寺社も多い。
 
パンフレットや由緒の立て札でも知ることは出来るが、是非やっていただきたいのは、その近所のお店や町の人に少し聞いてみるのだ。そうすると「良くはしらんけど……」と言いながらも、結構教えてくれるかもしれない、それも少し自慢げに。
 
京都の都の華やかさが『楽園』として見えている裏には、
生活に密着している摩訶不思議な『魔界』が潜んでいる。
 
裏と表、陰と陽の京都を楽しむことが、京都ツウの第一歩かも。
 
 
 
 
***
 
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2021-12-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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