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我慢を止めるきっかけは、唐突にやってきた


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記事:Asski Miho(ライティング・ゼミ集中コース)
 
 
「なんでずっと言わなかったんだろう……」
 
私は白くて殺風景な部屋でそう、呟いた。
 
 
 
小学校の頃、気にしいで我慢癖のあった私はなんでも言いたいことを自分の中に溜め込み、我慢していました。
何か言いたいことがあっても「まあ、いいか」と我慢。
何か大変なことを頼まれても我慢して「いいよー」と笑って引き受ける。
委員会や係の活動でやりたい委員や係があっても、希望者が多かったら話し合いやじゃんけんをする前に、「じゃあ、私はこっちでいいよ」とすぐに人に譲る。
とにかく自分さえ我慢していれば、人に不快な思いをさせることはないし、面倒なことにはならず、なんかうまく回っていく、そう本気で思っていたし、我慢をやめる勇気もありませんでした。
 
でも、小学校の6年生になった時、そんな私に警告をするかのようにとある出来事が私を襲います。
小学校6年生になって1ヶ月ほど経った頃、桜が散った5月あたりでしょうか、私は突然体調が悪くなってしまいます。
最初は体がだるい、お腹が痛いという感じだったのでただの風邪だろう、そう思って風邪薬を飲んでいました。
でも、全く良くなりません。
それどころかどんどん悪くなっていくのです。
どんどん体が重く、しんどくなり、家ではずっと横になるようになりました。
足全体によくわからない紫色のポツポツした斑点がびっしり広がりました。
身体中の関節が痛くなって、歩くのにも壁を伝わないと歩けなくなっていきました。
食欲もなくなり、ご飯をほとんど残すようになりました。
 
そんなふうにどんどん体調が悪くなっていくのに、私は両親に相談することが全くできなかったのです。
話してしまうと、心配される、病院に連れて行かれる、痛いことをされるかもしれない、怖い……、そう思った私はいつか良くなるだろう、時間が解決してくれるだろう、次の日起きたらすっかり治ってるかもしれないと、一人で我慢をしてしまったのです。
当然、親が私の変化を見逃すはずがありません。
学校から帰ってきたらずっとベッドの上で横になり、ご飯もあまり食べない、ましてや足に紫色の斑点が広がっている私をみて、「どうしたの、大丈夫?」そう聞いてきます。
でも、私は頑なに体調が悪いということを言いませんでした。
「6年生になって、色々忙しくなったからちょっと疲れてるだけ、この足の斑点もダニとかなんじゃない? 大丈夫」
そう言って、親の心配する言葉を跳ね除けました。
そうしてずっと我慢をしているうちに大変なことになってしまいます。
 
私はついに学校で動けなくなってしまい、保健室のお世話になってしまうのでした。
そして、あまりにも様子のおかしい私をみて、母親は「大丈夫だから、ちょっと寝てれば治るから」という私を無視して病院に連れていきます。
小さな病院のお医者さんは、私の症状や足の斑点を見て、すぐに大きな病院に行くようにと紹介状を書いてくれました。
そんなに大変なことなんだと青ざめる私はすぐに大きな病院に連れて行かれ、様々な検査の後に
 
「入院」
 
が必要と告げられたのです。
そして、お医者さんからは病名であったり、どんな症状の出る病気なのか、何が原因でなってしまうのかなど説明され、最後にこう言われました。
「もっと早く来ていれば、入院することはなかった」と。
我慢なんてせずさっさと病院に行っていれば、家で薬を飲むだけで治っていくような病気だったのです。
 
そして入院。
入院すればすぐに良くなるかと思いましたが、入院して2日目あたりで私は食事を戻してしまい、3日間の絶食が必要となり、点滴のみで栄養を取る生活になってしまいました。
この状態になった時もお医者さんからは、「もっと早く来ていれば絶食せずとも快復したのに」と言われてしまいました。
 
絶食中の3日間はとても長く感じられました。
白くて必要最低限のものしかない部屋では、特にすることもなくだだ寝るだけ。
朝昼夜のご飯の時間帯には他の部屋からご飯のいい匂いがする、だけど食べれらない。
考える時間はたっぷりとありあました。
そして、私はとても後悔しました。
病院に行くのが怖くて、ずっとずっと一人で辛いと思いながらも我慢していたことを。
早く相談していれば入院したり、絶食することにはならなかったのにと。
 
そして、私は決めたのです。
もうこんな思いはしたくないと。
だから、一人で我慢をして溜め込むなんて絶対にしないと。
我慢をしても時が解決してくれるわけではなく、もっと大変なことになってしまうのだと身を持って体感したからです。
 
そして、絶食と薬が効いたのか、約2週間で無事に退院。
 
退院した私は決心した通り、我慢をやめました。
体調が悪くなったらすぐに相談をして病院に行きました。
言いたいことがあったら、勇気を出して言ってみるようにしました。
本当にしんどい時は頼まれごとを断るようにしました。
何か係決めなどがあったときに、他の人と希望が被ってしまってもすぐに譲る事をやめました。
 
あの時から十数年経った今も、時々「私が我慢すればいいか」と言いたいことを溜め込みそうになることもありますが、あの時のしんどかった事、痛かったことを思い出して「余計に大変なことになるかもしれない」と思って我慢を踏み留めたりしています。(我慢を踏みとどまるってなんだか矛盾している感じですが)
 
ということで、我慢しすぎて余計辛いことになった体験談でした。
入院をするのは辛かったですが、あの出来事のおかげでなんでも我慢してしまう性格から変わることができた、そう思っています。
 
そしてこの私の体験が、ついつい我慢して溜め込んでしまう方の「ちょっと我慢やめてみようかな」と思うきっかけになることができたら、幸いです。
 
 
 
 
***
 
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2022-01-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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