メディアグランプリ

親バカをこじらせて、居心地の悪い家を建てた


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:若林麻由(ライティング・ライブ福岡会場)
 
 
「今日、嬉しかったことは何? 楽しかったことは何?」
 
寝る前の、家族共通ルーティンだ。
かれこれ10年近く続けている。
今は小学5年生と3年生の子どもたちが、少し喋れるようになった頃から始めた。
 
なぜ、この質問のしあいっこが、ルーティン化したのか。
 
その昔、布団に入った瞬間、
 
あー、今日あの場面で、あの一言言わないほうが良かったよね……
あー、あの時、お客様のこと考えたらこう動けばよかったよね……
あー、なんであの時、子どもの話しっかり聞いてあげなかったんだろ……
 
と、寝る前は特に、その日の、反省が必要な場面や、ショックを受けた場面が、脳裏に浮かんでしまうことが多かった。
家庭の中での会話や、仕事の場面においてまで、どうしても夜まで、感情がひっぱる。
 
そのまま、悶々としたまま眠りについた場合、8割くらいの確率で、朝起きた時に、「あまりいい夢とは言えない夢を見たな今日も」と感じてしまう。
朝を清々しく迎えたいのに、眠りも浅いのか、スッキリ目覚められる日が、なかなかないなあと感じていた。
 
では、スッキリ目覚めるにはどうしたらいいのか?
 
単純に、布団に入ったら、嬉しい感情、楽しい感情を抱くことに集中する、ということを日々、意識してみることにした。
そのために、「子どもたちを巻き込もう!」と思ったのが始まりだ。
子どもたちと共に、心もぽかぽかになって眠りにつく。
この質問のしあいっこ、1日やってみただけで気に入った。
子どもたちの気持ちも知れる。
私の気持ちも知ってもらえる。
あーーー、なんて幸せなんだろう。
これは、ずっとずっと続けたい。
 
「今日楽しかったことはね〜、お友達4人で外で遊んだこと!」
「今日嬉しかったことはね〜、給食のおかずが美味しかったこと!」
子どもたちはいくつになっても、迷わず、すんなり答えが出る。
 
「じゃあ、お母さんは? 今日楽しかったこと、何?」
 
私が子どもたちに質問した後、必ず、質問返しが来る。
 
「お母さんはね〜〜〜」
と、時間稼ぎしながら、脳内フル回転で、楽しかったことを探す。
 
必死に探さないと見つからないという現実。
毎日楽しいことなんて、そうそうないよなあ、と思いつつ、
でも、‘大人になるって楽しいことなんだよ!‘ってことを大人が見せなきゃ、と心では思っているので、寝る前なのに、逆に頭が冴えてくる。
 
でも、私も大人だ、学習能力はある。
日頃の家や職場での会話で、「あ、これは、夜のルーティンの時に話せる!」と、いいこと探しをするようになった。
この習慣が、私にとって、転機となった。
 
意識してみれば、実は、日々の日常は、たくさんの楽しいこと、嬉しいことの連続だった。
 
朝、すんなり目が覚めたこと。
朝起きたら洗濯が終わっていること。
家族揃って朝ごはんを食べたこと。
お味噌汁の出汁が効いて美味しくできたこと。
お肌のケアをすることで自分を大切にできている、と感じられること。
朝の愛犬の散歩で清々しい気持ちになれたこと、血流が良くなったこと。
その散歩でポイ捨てされたタバコを拾って、いいことした私、と気持ちが上がること。
冬らしい風や匂いを肌で感じられること。
家族みんなの元気のいい「行ってきます」が聞けたこと。
 
 
朝の1時間の中でも、たくさんのいいことに囲まれて生きていることを、日々、実感する。
このルーティンがもし習慣化していなかったら、もしかしたら、今感じている‘いいこと‘に、気付けていないままだったかもしれない。
 
子どもが小さいうちは、このルーティンを続けるのは容易だ。
なんせ一緒の布団に入って、だんご状態で眠りにつくのだから。
布団に入りながらおしゃべりができる。
でも、小学生になり子ども部屋でそれぞれ寝るようになったら、このルーティンが続けられないではないか。
 
もしや、私の極上の楽しみに、タイムリミットが迫ってきているのでは?
 
その事実に早々に気づき、焦った私は、主人とも話して、マイホームを持つことにした。
名付けて、‘居心地の悪い家‘。
2階建の1軒家でありながら、1LDK。
1階は1部屋、2階も1部屋。
いわゆる宿泊施設のログハウスのような作りにした。
ちなみに家の中にあるドアは、トイレとお風呂のみ。
それ以外にプライベートな部屋がひとつもない。
もちろん子ども部屋もないし、主寝室もない。
主人のお父さん、お母さんが泊まりに来た時にも、全員で2階全体に布団を敷き詰め、合宿状態で眠る。
 
子どもたちは、「高校を卒業したら、一人暮らしする!」とまだ小学生なのに言っている。
思惑通りだ。
 
私はどうしても親バカだから、自分から、手を離す勇気がない。
だからこそ、子どもたちが大きくなっていくにつれて、どんどん居心地の悪くなるであろうこの個性的な家のおかげで、きっときっと、子どもの自立もうまく促せるのではないかと思っている。
お気に入りのマイホームだ。
 
今日も2階に広げたそれぞれの布団から、
「今日楽しかったことはね〜……」
と、それぞれの言葉を聞きながら、そして伝えながら、眠りにつく。
 
 
 
このルーティンと、この間取り、絶賛推奨中、です。
一緒にやってみませんか?
真似してみたよ、の声、お待ちしております。
 
 
 
 
***
 
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2022-01-19 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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