メディアグランプリ

何も知らないことも、時には悪くない


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:Allie(ライティング・ライブ東京会場)
 
 
デスクでいつものように仕事をしていたら、ポン、と1件のメールが届いた。天狼院書店からである。何だろう、次の講座のリマインダーかな? と思いながら開いてみると、
「12代目天狼院秘本、通販/予約開始しました!」とあった。
 
秘本? パソコンで一発変換できないこの言葉はなんだろう? そして秘本とはどんな本? めっちゃくちゃ気になる……。ここでメールを閉じられるわけはなく、さらに読み進めてみるとこう書いてあった。
 
「タイトルは秘密です」
「返品はできません」
「他の人には中身を教えないでください」
 
タイトルは秘密?! そんな斬新な売り方ある?!
しかしながら、隠される方が見たくなるというのが人間の心理ではないだろうか。私も例外なくそのタイプなので、心はぐわんぐわんと揺れ動いた。すごい気になる。めっちゃ気になる。そしてなんだかワクワクする。クリスマス前夜にサンタを待つ子供のような気分になった。
 
「恐らくこの作品を目にした皆さんは、作者の、恐ろしいほどの想像力/創造力に驚嘆することでしょう」
 
一体どんな想像力/創造力なんだ……。煽り方がうまい。膨れ上がる好奇心に勝てず、あまり迷うでもなく気づいたら購入の手続きを踏んでしまっていた。でも店主の三浦氏お薦めの本だというから、読む価値があるのは間違いないだろう。わりとあっさりと購入を決めた。何ともチョロい消費者である。
 
タイトルが謎な本を手に入れるのは人生で2回目だ。1回目は大学生の時だった。大学2年になった頃、私は通っていた大学を休学して海外留学を決心した。今になって考えると、休学なんて大それた決断を両親がよく許してくれたな……と感謝しかない。そして留学すると決めたことを、当時一緒にいることが多かった友人Nに、最初に話した。
 
Nとは同じサークルで知り合った。ものすごくおっとりとしている子だな、というのが第一印象で、話してみたらやっぱりおっとりしていた。せっかちな私とは正反対の性格だけどなぜかウマが合って、ランチに行ったり飲みに行ったりと、自然と一緒に行動することが多くなった。彼女はいつも本を持ち歩いていて、暇さえあれば読書をしていた。
 
旅立ちの約1週間ほど前だったと思う。Nと一緒にごはんを食べに行った時のことだ。
「これ、あげるよ。荷物になっちゃうけど許してね」
そういって小さな包みを渡された。これは何? と聞くと
「本だよ。まあ飛行機の中で読んでみて。それまでは秘密」
秘密?! めちゃくちゃ気になるのに、目の前で開けたらダメなのね。海外でよくある、目の前で包み紙をビリビリ破るやつはできないのか……と少しばかり残念な気持ちと、プレゼントをもらった喜びを抱えて帰宅した。
 
出発までの数日間、何度か中身を見てみたい衝動に駆られたけれど、彼女との約束どおり本の包みは出発当日まで開けなかった。飛行機に乗って落ち着いた頃、ようやく包みを開く。出てきたのは、パウロ・コエーリョの「アルケミスト」だった。
 
どんな内容だったか、詳細は書かないでおく。でも、読んでよかったと思える本だった。推理小説ばかり読む私にはとても新鮮で、文字どおりページをめくる手が止まらずあっという間にのめり込み、現地に到着するまでに読み終わっていた。もらった本は今でも持っているし、折に触れて読み返したりもする。私のお気に入りの一冊になった。
 
帰国してNと再会した時、どうして私にあの本を贈ろうと思ったの、と聞いてみたことがある。すると彼女はこう言った。
「旅をする本だったから、留学のお供にいいかなと思って。あなたは推理小説が好きって言ってたから、きっと読んだことないだろうと思った」
 
自分で何か本を読みたいと思って検索をすると、知っている作家さんや読んだことのある作品の続編など、どうしても好みの本に偏って選んでしまいがちになる。確かにある程度の傾向が分かっているほうが安心するし、読みやすい。でも同じ味の食事ばかり食べていたら飽きてくるのと同じで、同じテイストの本ばかり読んでいたら味気なく感じてしまうこともあるだろう。
 
だから時には何の予備知識もない本を手に入れて、読んでみるもの悪くない。新しい世界が開けるかもしれないし、興味の幅が広がるかもしれない。実際、Nが贈ってくれた本は、私に見たこともない世界を教えてくれた。こんな本もあるんだな、と新たな発見があった。天狼院書店から届く本も、きっと新しい世界を見せてくれることだろう。今から楽しみだ。
 
 
 
 
***
 
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2022-01-19 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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