占いを信じたおばさん、最強になる
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか？賞を取れるのか？プロも通うのか？〜
記事：須賀泉水（ライティング・ゼミ10月コース）
叶えたい夢はありますか？
私は現在50歳。
この年齢を迎える少し前から、自分の人生について考えることがとても増えたように思う。
区切りの良い、節目の年という理由もあるかもしれない。
実際、30歳、40歳を目前にしたころにも、ここまでの自分を振り返り反省したり、これからのことを考えて焦ってみたりした記憶がある。
ただ、今回の節目はなんだか今までと違う気がしている。
今まで与えられていた母親という役割が、子どもの成人をきっかけに終わりに近づいているのを感じる日々。これから私は何のために生きていくのだろう……
少し大げさだが、そんなことを思い悩む暇もある。
節目の年齢を前に悩むのが好きな私は、もうすぐ50歳の誕生日を迎える昨年の夏、ある占いで見た言葉が頭から離れなくなってしまった。
「お金の勉強をすると運気が上がります。お金の知識を身に着けると、あなたは最強になります」
最強になりますって、胡散臭い！ と思っていたのに、その日以来、私はこの占いの言葉に支配されるようになる。
給与明細をもらえば、今まで気にも留めなかったのに、なんだか意味が分からない税金や保険料がまあまあ引かれていることに気が付いたり、同級生がNISAの話をしているのを聞いても外国語に聞こえたり。
もしかして私、いい歳してヤバいかも？
節目の年齢を前にした焦りが発動し、私はお金の勉強をすることに決めた。
ひとまず知識の習得を目的に、FP（ファイナンシャルプランナー）2級の勉強をしてみることにした。３級をすっとばして2級の勉強ができる通信講座テキストを申込む。
届いた段ボールをワクワク開けて出てきたのは、私を最強にしてくれるためのテキストたち。
なになに？ ライフプランニング、タックスプランニング、不動産に相続・事業承継……
なんだこれ。意味が分からなすぎるし、私今からこれ勉強するの？
まるで、ちょっとウィンドウショッピングをするだけのつもりが、とても手が出せないものしか扱っていない高級店に入ってしまったときのような、来るところ間違えました感。
いや、自宅だけれども。
そっと段ボールの開け口を閉じる……
やっぱり私、焦っているしヤバい人だな、を再確認。
ここから数日、テキストを手に取ることはなかった。
それでも頭から離れないのは占いのあの言葉。
ガムテープがはがされて、少し中身が見える段ボールの中には、私を最強にしてくれるツールが眠っている。それを見て見ぬふりをし続けるのも辛くなり、よし！ やってみようじゃないか！ と決心した５０歳の秋。
何度もくじけては投げ出しそうになる気持ちを奮い立たせ、4か月も勉強を続けることができたのは、占いを信じる純粋な？ 気持ちを持ち続けていたからだろう。
最初は「知識の習得」＝「私ったら最強」、になるために始めたことだけれど、せっかくなので資格試験にチャレンジすることにした。
年が明けてからは最後の追い込みで、一日8時間ほど勉強をした。
自慢じゃないけど、こんなに勉強したのは生まれて初めてだ。
脳に増やしたいはずのシワは、眉間にばかり刻まれていく。
そしてついに1月23日、これまた生まれて初めての、国家資格取得のための受験の日を迎えた。合計3時間半の試験を終えた私は、とてもすがすがしい気持ちだった。
それは、今日まで頑張ってこられたことに、充実した気持ちを感じられたからだと思う。
最初の頃は、突然勉強を始めた私を不思議そうに見ていた娘も、途中からは応援してくれるようになった。さらには勉強大嫌いの娘自身も、何やら勉強をする姿を見るようにもなった。
これには驚いて二度見した。
頑張ることで、娘の心を動かせたような、ちょっといい気分も味わえた。
決してファイナンシャルプランナーになるのが夢だったわけではないけれど、目標を持てたことは、この数か月間の、私の生きる力になっていたような気がする。
夢、目標、やりたいこと、希望、信念など。
呼び方が違うだけで、大なり小なりこれらを持てることで、日々の生活が輝くのではないかと思う。
年齢を重ねるにつれ、できることがだんだん減ってきたとしても、夢や希望は年相応に形を変えて持ち続けることができるものだとも思う。
スマホでたまたま開いたゲッターズ飯田さんの一言のおかげで私は、私史上最強になれた気がしている。
年を重ねることは、老いではなく成長なのだ。
これからは年齢に焦ることなく、自分のペースで、自分なりの生きる意味を見出し、成長し続けていきたい。
まるで合格おめでとう！ なことばかり並べているけれど、合格発表は一か月以上も先である（笑）
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