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メディアグランプリ

ペットボトルとストロー


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:齋藤由佳(ライティング・ゼミ12月コース)
 
 
「あなたを採用したのは、ペットボトルにストローを差して出してくれたから」
 
日々の生活で私たちは「選択」をしている。いつもは「右の道」を使うのだが、「左の道」を進んでみると意外と思いもよらないことが待っている。
 
ある日、料理経験ゼロで料理教室のアシスタントになってしまった。私は、食べることは大好きだが、料理を作ることは好きではなかった。しかし、たまたま行ったワークショップでの「ソーセージ作り」に感動した私は普段ではありえない行動に出てしまったのだ。
 
「先生の料理教室に通いたいのですが、他でやられていませんか?」とナンパした。
後から思い返すと自分でも驚くほど積極的だった。しかし、そんなナンパも失敗に終わる。
「他の料理教室に行ってから来て」と言われてしまう。全然相手にしてもらえない。私には全く興味がなかったのだ。
「え?」と立ち止まってしまう。しかし、私は引き下がらず、何度も交渉した。
「私はどうしても先生のところで料理を学びたいです」と料理について知識も経験もないのになぜかここに入りたいという強い思いで私は交渉権を手に入れた。
 
そんな出会いから私は料理教室に通い始めた。だが、そこに通う生徒さんは、料理が大好きで普段から料理をされている人ばかり。私は、完全に浮いていた。普段料理のしない私には知らない食材がいつも出てくる。「ルバーブ」を見て「菖蒲の葉」と勘違いしたり、「トマトを湯むきして」と言われて固まって動けなくなってしまうなど失敗ばかり。料理教室に通う生徒とは思えないほど料理も知識も全くない生徒が料理教室という門をくぐってしまったのだ。
 
そんなある日、料理教室後に突然、先生が思いもよらない一言を言ってきた。
「今度、イベントがあるから私のアシスタントやってみない?」
思わず、私はこう言った。
「え? 私ですか? 料理の知識も技術もありませんよ」
「知ってるよ。だからいいんだよね」と先生が言う。
その言葉に私は理解不能だった。料理教室のアシスタントと言えば料理のプロ。人前に立つのであれば料理教室をスムーズに進行できるサポート役が必要だと思っていたが、どうやらその先生はちょっと思考が違っていた。
「次回の料理教室の時に経歴書持ってきて」と言われ、その日は終わった。
 
言われた通りに後日、経歴書を持っていくとそれを見た先生は目を丸くした。
「本当に何にもないのね。こんな経歴書見たのは初めて」と言って大笑いされた。
実は、私が提出した経歴書は、本当にまっさらな経歴書だった。なぜなら私は本当に何も持っていなかった。経歴書に書けることはA4の用紙半分もなかった。恥ずかしさを通り越して、もう諦めるしかなかった。「何もない」を武器に正面からぶつかることにした。
「たくさん考えましたが、私の人生まっさらでした。経歴書に書くことがなかったので、ほとんど余白です」と言った。
それを聞いた先生は、大笑いしながらそれが面白いと言い放った。
 
それからイベントになると私は先生のもとで料理教室のアシスタントをしている。
周りから見たら私は料理教室のアシスタントであるが、先生から見ると出会ったことのない新しい生物のような存在らしい。
 
ある時、先生に聞いてみた。
「なぜ料理経験も知識もない私をアシスタントにしてくれたんですか?」
すると先生はこう言った。
「以前に打合せに行った時、ペットボトルの水にストロー挿して渡してくれたから」
私はなぜ、ストローとペットボトルを持ち歩いていたかというとその先生がいつもペットボトルで水を飲むときはストローを使って飲むか、コップに注いで飲むところしか見たことがなかったからだった。だからその先生に同行する時は念の為に「ペットボトルの水とストロー」を用意していた。そのことがきっかけでアシスタントに声をかけてくれたのだった。
 
いつもと違う行動に出てしまうと意外なところに出会いが広がることに気づいた。人生何が起きるかわからないとは、自分自身がいつも選択する道とは違う道を選んでみることで見えてくる世界があるのかもしれない。引っ込み思案と言われ続けていた私が自分では思いもよらない行動を起こすことで新しい出会いが生まれた。そして、私にとって必要だと思っていた「ペットボトルとストロー」により意外なところで信頼が生まれ、私が料理教室のアシスタントという新しい世界の扉が開いた。何も持っていなかった私が少しだけ誰かの役に立てると思うと嬉しくなった。またいつもと違う道を選択してみたい。その先にどんな新しい出会いが待っているか分からないことを怖がらず、楽しんでみようと思う。思いっきりの行動が自分の背中を後押ししてくれる。
 
 
 
 
***
 
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2022-02-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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