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ドライブ・マイ・カー


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:山本三景(ライティング・ゼミ12月コース)
 
 
久しぶりに兄から電話がかかってきた。
ちょうど動画配信サイトをスマホで観ているときだったので、一瞬出るのに迷ったが、応答のボタンを押した。
そして、兄は開口一番こう言った。
 
「アカデミー賞、やったね」
 
(主語がない……)
と思いながらも、大体言いたいことの予想はつく。
 
「『ドライブ・マイ・カー』がノミネートされたみいだね」
と私は返事をした。
どうやら当たっていたらしく、興奮冷めやらぬ感じで兄は話を続けた。
 
「3時間もあるし、派手な映画ではないけど、外国語映画賞ではなく作品賞にノミネートだからすごい。全米批評家協会やロサンゼルスでも作品賞を取ってるしね」
 
『ドライブ・マイ・カー』は、濱口竜介監督、西島秀俊主演の日本映画で、3月28日に行われるアカデミー賞に作品賞、監督賞、脚色賞、国際長編映画賞の4部門でノミネートされている。
過去において、英語以外の映画が対象となる外国語映画賞(今の国際長編映画賞)でのノミネートはあるが、作品賞で日本映画がノミネートされたことはなかったので、そこに兄は興奮しているのだ。
兄の周りに映画好きな人はいるはずなので、そちらに話せばいいのに……と思いながらも、自分の言いたいことを理解してくれる人に話したい気持ちもわかる。
自分でも、「アカデミー賞、やったね」だけで、よく『ドライブ・マイ・カー』にたどり着けたものだと思う。
 
弟や妹の立場の人は、幼い頃に兄や姉から受ける影響は大きい。
兄、姉、一人っ子の役目を背負った人は、いつも開拓者だ。その後ろを弟や妹はついていく。
もちろん、すべてにおいてそう言えるわけではないし、逆のパターンもあるかもしれない。しかし、弟や妹は上が面白そうにしていると、自然と後を追っかけてしまうものだ。
私は妹の立場なので、兄が面白そうにしているものに興味を持った。
 
子どもの頃から兄は映画が好きだった。
小学生の頃、ある映画のビデオを借りてこいと兄からミッションを受けたことがあった。
私はおつかいが嬉しかったので、元気よく自転車を立ちこぎして橋を渡り、今でいうTUTAYAに向かった。
小学校3、4年の子どもが一人で借りに行った映画は何であったか。
今でも兄は笑いながら言う。
「あなたが初めて借りた映画は『イージー・ライダー』だもんね」
 
『イージー・ライダー』とはどんな映画か。
1960年代のアメリカンニューシネマの代表と言われる映画だ。
決して小学生が借りるような話ではない。
よくこの映画を幼い妹に借りにいかせたものだと、わが兄ながらいかれてんなと思う。(命令した兄も子どもだったのだが)
なんて言えばいいのか、1960年代から1970年代後半にかけてのアメリカにおいて、ベトナム戦争、ドラッグ、白人至上主義、ヒッピーへの差別が背景にあった時代を色濃く反映したロードムービー。
実は結構評価が高く、アカデミー賞にもいくつかノミネートされていた。
正直、断片的にしか覚えていない。
ただ、音楽と映像は強烈に覚えている。
ハーレーダビッドソンをぶっ飛ばしている映像でよく流れる音楽は、今でもTVやどこかで流れている。
ちなみに、若き日のジャック・ニコルソンが出演している。
ジャック・ニコルソンが誰かと言われると、『シャイニング』の人と言えばわかりやすいかもしれない。
『シャイニング』のずっと前のこの映画で彼はアカデミー助演男優賞にノミネートされている。
 
『イージー・ライダー』はデニス・ホッパーが監督、主演、脚色をしているのだが、なぜか、兄はこのデニス・ホッパーを推していた。
ドラッグ依存症や映画会社との対立等、波乱万丈の俳優人生を送った人物だ。
それにしても、ラピュタとか、もっと他に楽しめる映画はあったはずなのに……
この映画はクセが強すぎる。
カメラワークも熱弁された記憶がある。
こうやって映画の雑学は兄から受動的に私の中に入っていった。
 
そして「当然映画のことはご存知ですよね?」というような感じでたまに映画の話を振ってくる。
いやいや、私はそんなに映画は観ていません。
アカデミー賞にもさほど興味はございません。
たまに映画を観る程度で、残念ながら私は映画好きとはいえない。
今は3時間の映画に集中力が持つかも不安なぐらいだ。
 
自分が興味のあることは、必ずしも他人も興味があるとは限らない。
どんなに面白いことが自分に起こったとしても
(自分は面白いと感じるがこの人はどうだろう、つまらなくないだろうか)
と相手をみて話す内容を私は考える。
兄に『ドライブ・マイ・カー』の話は周りにしたのかときいてみると、あっさりと「もちろんしたよ」と返ってきた。
たとえ映画を知らない人にでも、兄は気にせず楽しく力説できるタイプだ。
血は繋がっていても全然似ていない。
自分の物差しで人をはかることはできないと思った。
 
そして、要件は映画でないことを長い付き合いで知っている。
「ジェーン・カンピオンかケネス・ブラナーがとるかな」
と兄が話したところで
「で、要件はなんだった?」と話をぶった切った。
 
 
 
 
***
 
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2022-02-16 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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