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メディアグランプリ

牛すじを焼いて食べさせていたオンナが行き着いた先とは


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:早川実花(ライティング・ライブ福岡会場)
 
 
「この子、料理はできませんが、優しい子なんです」
母は私の結婚の際に義母に向かって、遠慮がちに言った。
私はどういう顔をしていいか分からず戸惑いつつ、
「余計なことを言ってくれるな」と、内心では思っていた。
 
とはいえ、母の言うことは本当のことで、私には昔付き合っていた彼氏に、牛すじを焼いて食べさせたというなんとも恥ずかしい料理下手エピソードがあったのだ。
その元彼が、それを食べてなんといったか。
「歯応えあるな、でもまぁイケるで」
その時は割となんとも思わなかったけれど、後から友人や母に何の気なしにこれを伝えると、
「あり得ない!」「酷すぎる」「よく食べてくれたね」
と非難されたわけだ。
そして、正確に言うと、料理下手でもない。
料理の仕方を知らなかった。それくらい料理に興味がなかったとも言える。
 
そんな料理の基礎の基礎すら知らず、嫁いだ私。
即座に某料理アプリを有料契約した。
 
結婚して2、3年はアプリと睨めっこしながら、きっちり計量して、とにかくレシピに忠実にご飯を作った。それでも、「ハズレ」の日は、結婚後数年は特に多かったと思う。そんなお世辞にも美味しいと言えない料理も、夫は文句一つ言わずに食べ続けてくれた。神か仏か、ただの物好きか。不味いと言わないが、美味しいとも言ったことはない寡黙な夫には感謝しかない。
 
少しでもまともな料理を夫に食べさせたい一心で、料理教室にも通った。
体系的に料理を学ぶのは楽しかったし、レパートリーが増えると使える食材も増えたりして、栄養バランスも整っていった。
オシャレな食卓に憧れて、フレンチっぽいコース料理にも挑戦したり、腸にも優しい塩麹入りのスペルト小麦という古代小麦を使ったビスケットなども習ってみたりした。
このビスケット、なんとも優しい味わいで、おやつにもお食事にもいける万能ビスケットなのだが、洗い物も究極に少なく出来る工夫がされているので、トータル40分あれば仕込みから焼きまで完了して、気軽に作れるからありがたい。
スペルト小麦は現在、普通に食べられている小麦のご先祖様にあたるような古代小麦なのだが、小麦を食べた後に残る胃腸の膨満感が少なく、血糖値も上がりにくいという性質がある。中力粉の部類に入るので……。こう書きつつ、小麦粉について熱く語り出している自分にも、改めて驚きだ。
 
稲妻が走るように、ある日突然料理に目覚めたということでは全くないが、歳を重ねる毎に料理は自分の生活に馴染んでいった。
同時に、料理やお菓子を作るのが楽しくなってきている。
楽しくなったらこっちのもので、あとは興味の赴くままに夢中になるだけ。
大の苦手だった料理を、見事に自分の勝ちパターンに持っていったというわけだ。
好きになったらトコトン! の矛先を未知の世界である料理に向けた。それだけである。
 
食わず嫌いという言葉があるが、私にとって料理はそれに近しかった。
そして、興味を持つきっかけが無かっただけだったのだと後から気づいた。
 
料理が根っから嫌いだという方は例外として、料理をしたことがなく、料理に興味関心がない、そして、料理に縁がないという昔の私のような人はまさに、「鉱山に埋まった宝石の原石」なのだと感じる。
 
これから料理に目覚めるきっかけはたくさんあると思うし、いかようにも上達できる。
ただ今は、鉱山に埋まっているだけ。何かのタイミングで掘り起こされれば、あとは磨くだけなのだ。
 
私にとってそれは「結婚」だったが、この経験をした方というのは割と多いのではと思う。
今や男性も普通にキッチンに立つ時代で、女性が料理をしなければという概念は時代外れなのだとも思うが、“幸いにも”うちの夫は全くキッチンに立たない。必然的に私が食事を用意しなければならないということは、今となっては、料理に目覚めよ! と、神様が私にくれたチャンスなのだとしか思えない。
 
過去の料理とは無縁の自分に声をかけるとしたら、
「大丈夫。タイミングがきたら、ちゃーんと人並みには出来るようになるから!」
と、言ってあげたい。
もちろん、料理が出来るだけが全てじゃないけれど、今では私の人生を彩ってくれているものには違いないので、料理に目覚めることが出来て、ラッキーだったと思う。
 
「キッチンは主婦の聖域だ」と、全くキッチンに立たない夫により掘り起こされた原石は荒削りながら少しずつその能力を開花しつつある。
牛すじを焼いて食べさせていたオンナが行き着いた先は、古代小麦について熱く語り出すような料理好きでこだわり強めの奥さんだった。
夫に感謝しつつ、焼いた牛すじを優しさ100パーセントで食べてくれた元彼にも、最大限の感謝を贈りたいと心から思う。
 
 
 
 
***
 
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2022-02-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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