メディアグランプリ

「頼る」と「甘える」の違いから見えてきた「仲間の力」の頼り方


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記事:深谷百合子(ライティング・ライブ名古屋会場)
 
 
「頼る」と「甘える」の違いは何だろう? 今まで色んな組織やコミュニティにいたけれど、時々この疑問が湧いてくることがある。大抵、こういう場面に遭遇する時だ。
 
「それってどこに書いてありましたっけ?」
「◎◎ってどういう意味でしたっけ?」
「今週出た課題って何でしたっけ?」
 
こういう質問を見聞きすると、私は正直ちょっとイラっとしてしまう。
「そんなことくらい、自分でちょっと調べれば分かるのに、なんで人に聞いてくるんだろう」って思ってしまうのだ。でもって、私は見て見ぬ振りができない性分なので、仕事の手を止めて調べて「こうだよ」と返事をしてしまう。「ちぇっ、自分の時間を奪われた」と内心はブラックな気持ちが渦巻いているのに、外面のいい自分にもイラッとする。
 
「頼る」も「甘える」も似ているけれど、「頼られる」と「甘えられる」のように受け身形にしてみると、感覚が変わってくる。個人的な感覚だけれど、「頼られる」と嬉しい気持ちがするし、「任せて!」と思えるけれど、そうは思えない時が「甘えられた」時かもしれない。相手の状況に対して「共感」があるかどうかの違いとも言える。「仲間の力を借りる」という名の下に、労力を使わずに要領よく結果だけ持っていこうとする場面に遭遇すると、「仲間だからって、甘えすぎじゃない?」とモヤッとするのだ。でも仲間だから助けてあげる。そういうのって、本当の「仲間の力」、「組織の力」なんだろうか? そんな疑問が湧いてくるのだ。
 
私は子どもの頃から甘え下手なので、ろくに頑張りもせずに「これやってぇ」とすぐ周りに甘える子どもに対して、子供心にイラッとしたものだ。素直に甘えられないひがみもあったのだろう。加えて、「自分の手足を使わないと身につかない」という信念みたいなものもある。楽して得たことは、簡単に忘れる。だから自分で調べて、自分でやってみる。ちょっと人に聞けばいいことも、自力でやろうとするから時間ばかりかかる。
 
じゃあ、自分で調べたり、自分でやってみることをせずに、すぐ人の力を借りようとしたり、安易に答えだけを欲しがる人がいるのはなぜなんだろう? ひょっとして自分に自信がないのかもしれない。自分で調べてやってみて、なにがしかの答えが出たとしても、それが他人の答えと同じじゃないと安心できない。だから人に聞くのかもしれない。それってつまり、「自分は間違っている」という前提に立っているのではあるまいか。
 
逆に私のような人間は、とりあえず自力でやって、できた経験が増えていくから、変な自信みたいなのはできてくる。自力でやって、誰にも聞かずに自己完結してしまうから、本当は間違っていたり、他の見方もあるのに、分かったつもり、できたつもりになっている可能性がある。「私の出した答えが正しい」みたいな思い込みや過信があったりする。だから、人に聞かれた時に、「それって、こうだよ」と安易に答えるのは、危険なのだ。
 
それならどういう状態であればベストなんだろう。以前私が所属していた、とある学びのコミュニティで実際にあった例で考えてみよう。
 
そのコミュニティで、ある日、講師から課題が出た。課題の書き方は講義の時に説明があったのだが、数日経ってから「これってどういう風に書けばよかったんだっけ?」と、仲間の一人が聞いてきた。いやいや、講義のアーカイブ動画はアップされている。それをもう一度見返してみればいいだけの話だ。
 
「あー、それはこう書けばいいんだよ」と誰かが答えたら済むことかもしれないが、本当にそれでいいのかな。「こう書けばいい」というのには、もしかするとその人の解釈が入っているかもしれないのだ。おまけに、講師が説明したことを思い出せないのだったら、やっぱりもう一度自分で見返してみるのが「学びの姿勢」というものじゃないか?
 
その後で、「私はこう書いたけど、皆はどう書いた?」と共有し合えたらいいんじゃないかな。同じ講師の同じ言葉を聞いていても、人は皆自分の解釈で聞いているからだ。間違っているとか合っているとかではなく、人と違うところを見つけたら、「そういう見方があったか!」と気づくこともあるし、自分の思い込みに気づけることもある。「これの書き方を教えて!」と、ただ受身で答えを待っているより断然自発的だし、自立しているし、自分にとっても周りに対してもいい影響をもたらすのではないのかな。つまり、こういうのが「仲間の力」なのではないかと思うのだ。
 
それに、簡単に聞いて、簡単に教えてしまうのって相手の可能性を奪ってしまうものだ。「魚を与えるか、魚の釣り方を教えるか」という喩えもあるけれど、本当に相手にとって、あるいは自分にとって必要なことは何かを見極めることが大切だ。
 
だから、「それぐらい自分で調べたらいいのに」と思う場面がきたら、それは「仲間の力」をアップできるチャンスかもしれない。教える側に立つ時は、調べ方だけを伝えて、「後でシェアし合おう」と提案する。質問する側に立つ時は、「これを見て、私はこう考えたけれど、皆はどうだった?」と、プロセスを共有できるような、そんな聞き方ができるようになればいいなと思う。
 
 
 
 
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2022-02-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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