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組織に所属することの価値


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:赤嶺里美(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
企業勤めは私にとって、リトマス試験紙のようなものだと思う。
 
「お前、なんかこうしていきたいとか、これからのイメージあるの?」
 
年に2回の面談で、上司はラフに聞いてきた。コロナ禍で在宅勤務が進み、音声のみの、顔も見えない面談である。
退職意向を探っているとか、そういった他意はないだろう。社会人生活も中盤にさしかかり、一つ年上の上司ともども、次のステージを考えたくなる段階にさしかかっているのだと思う。
堅苦しさのないフラットな関係だが、面談という多少、改まった場になると、自然とこういう話題になるのは当然だ。
 
「うーん……そうですねぇ……。今のところ、辞めたいとか、そういう気持ちはないんですけど。あ、ようやく仕事が地に足がついてきた気もするので、何かしたいなとは思ってるんですけど」
 
いったんそう答えて、考えた。
 
なぜ「辞めるつもりはない」が先に出たのだろう。
 
「辞めるつもりはない」と「何かしたい気持ちはある」は別モノで、二者択一ではない。昨今の副業ブームでもわかるように、「なんかしたい」が必ずしも、転職するとか、独立して起業するとか、はたまたフリーランスになるとか、そういったやり方だけでしか実現できないわけではない、というのは明らかだ。
辞めても辞めなくても「なんか」はできるが、2秒で「辞めない」を選択したのには、何らかの理由があるはずだ。
 
1つ思いつくことは、自分が、組織の中にいる方が活かされやすいタイプだということだ。
20年近く企業勤めを行ってようやくわかってきたことは、数少ない私の特技が、仕事の仕組み化や効率化を行ったり、各人のアイデアを拾ってつなげたりして、組織全体の生産性を上げるということだった。
逆に言うと、ピンで仕事をするのはあまり向いてない気がする。アイデアマンでもないし、戦略家でもなく、専門家でもない。皆の考えやアイデアを拾わせてもらっているだけで、私自身から出てくるものは「あんまねえな」というのが正直な感想だ。おまけに人見知りで、何もないところから人脈を広げるとかほぼ拷問である。いろいろ残念な感じだが、これも向き不向きなので仕方ない。
攻めか守りかでいうところの完全に守りで、これまでも攻め型の人と組んできたからこそ、多少は役に立っているのかなぁ、と思えているように思う。
 
いろいろ書いたが、平たく言うと、組織を離れた自分はポンコツ度合いが増すので、食っていける自信がないのである。
 
しかし、本当にそれだけだろうか。
仕事で役に立つ・立たない、つまり食っていける・いけないと物理的に直結する話だけでなく、もっと感情的な、エモい部分で組織というものに価値を見いだしている気がする……。
 
「……リトマス試験紙だ」
 
はたと思いついた。
 
子供の頃から、自分が集団の中で若干、ズレたところに位置しているのを感じてきた。よく言えばマイペース、悪く言うと多少常識に欠けている、困った人間なのだ。思春期の頃は悩んだものである。
組織に所属し、強制的に人との関わりを通して仕事を進める中で、自分のズレを感じてハッとすることもしばしばだ。
こんな自分がフリーランスにでもなったら、とんでもなく常識の欠けた人間になってしまう気がする。大変だ。
仕事上のやりとりだけでなく、人としての根本的な部分でも、リトマス試験紙のように、自分のズレを日々、計っていることに気づいたのである。
 
音声のみの、顔も見えない面談だが、私は下を向いてもにょもにょと答えた。
 
「……ええと、私、見たいモノしか見えないところがあって……、うちの会社の人たちとちゃんとやりとりができていることで、自分の常識のポジションを確認しているというか、軌道修正しているというか……ちゃんとやれている、と思うことが、自分の自信になってたりするんです」
 
「ああ、なるほどなるほど」
 
少し楽しそうな声が返ってきた。
 
「あと、会社にいると、自動的に色んな人に出会えるし」
 
「普通にしてたら出会わないタイプとも、至近距離で仕事するしね」
 
「そうそう」
 
こんなエモい回答が伝わったか伝わらないかはわからないが、少なくとも私が「組織」というものに価値を感じていることは伝わったようだった。
 
「ま、俺も辞めないけどね。楽しいから」
 
顔も見えないが、彼がニヤッと笑ったのがわかった。彼は私と異なって、個人で不動産をいくつか所有しており、「大家さん」としての副収入があるため、金銭的にも辞めて困らない身分のはずだ。
彼には私の「リトマス試験紙」とは違う、彼なりの「組織に所属する理由」があるのだろう。
 
「私の常識を軌道修正してくれる人」には、当然、彼も含まれている。彼を含め、自分に影響を与えてくれる人がたくさんいる、と思えることは、とてもありがたいことだ。
 
ここ十数年で働き方が多様化し、私たちはいろんな選択肢を選べるようになった。ネット化が進んだことで、フリーランスとして働くことのハードルは大幅に下がり、自由に働いている人たちをちょっと羨ましく思うこともある。
 
しかし、今は、組織にいながらにしてより自由に働く落としどころを掴んでみたい、と思う。
落としどころが見つかればそれはそれでよし。何かのふんぎりがついて、今の職場に限らず「組織」というものを離れる決断をする時が今後、来たとしても、上司を始め、この環境に感謝をしながら卒業していくのだろう。
 
 
 
 
***
 
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2022-02-25 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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