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息子よ、「不合格通知」から始まる4年間をキラキラに謳歌せよ


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記事:垣尾成利(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
今年の大学受験は大波乱だったようだ。
 
大学入学共通テストの難易度が去年に比べてとんでもなく高かったらしく、志望校を見直さなければならなくなった学生がたくさんいたそうだ。
 
うちの息子もその一人だった。
 
目指していた公立大学には到底届かない点数だったようで、やむなく私大に志望校を変更することになった。
 
模試などで合格圏内の判定が出ていた中で一番ランクの高い大学に変更し、同じ大学の学部を複数受験した。
 
きっと大丈夫だろうと高を括っていた。
 
しかしながら、結果は全滅。
 
すべり止めで確保していた大学の他、残されたのは3月に行われる地方の公立大学の受験だけとなってしまった。
 
息子なりに悩んだ結果、地方へは行かず、すべり止めで合格した大学に行くことにしたようだ。
 
不合格通知が届いた日、息子は結果について何も言ってこなかった。
 
 
ショックで何も言えなかったのか、ヤバいな、どうしよう……と考えをまとめようとしたのか、何を思って黙っていたのかわからないが、強いショックを受けて何も言えなかったのだろうと勝手に想像して、勝手に胸を痛めながら翌朝LINEにメッセージを送った。
 
「おはよう。結果見ました。残念でしたが今回は縁がなかったと割り切って、次に向けて気持ちを切り替えて取り組んでください。どこに行くかではなく、行ったところでどう過ごすかが大事だと思います。せっかくなら、行きたくないところに仕方なく行くのではなく、行きたいところに行って欲しいと思っています。お金のことは気にせず、選択肢は広く持って、後悔のないように納得して決めてください」
 
2021年から始まった「大学入学共通テスト」
2回目となる今年は平均点が20点以上低い結果となるくらい、去年に比べて数学の難易度が相当高く、現役東大生でさえ解けないような問題もあったそうだ。
 
当初から、去年の1回目の反動で難易度が上がると予想されていたようだが、結果的に想定を遥かに超えるものとなり、大波乱となってしまった。
 
息子もその煽りを受けて、第一志望はどう足掻いても無理となり、切り替えて臨んだ私大には同じように下方修正してきた学生がなだれ込んできたため、合格ラインが例年より随分高くなり、努力の甲斐なく不合格通知が束になって届いたのだった。
 
 
努力の結果を充分に出し切ることができなかったのではないだろうか。
 
不本意な結果に落胆しながらも家計に負担をかけまいと、すべり止めで我慢しようとしているのではないだろうか。
 
本当は浪人してでも第一志望を目指したいと思っているのではないだろうか。
 
息子の気持ちを想像する。
高校三年生ともなると、なかなか正面から向き合って本音で話してくれなくなるもので、
受験する大学も一切教えてくれなかったし、理系文系、どちらに行きたいのかさえわからないままシーズンに入り、あっという間に結果まで来てしまった感がある。
 
送ったメッセージに、ストレートに「浪人してでも行きたいところを目指せばいい」とは書きたくなかったので、選択肢は広く持って後悔のないように納得して決めてくれと書いたのだけれど、その思いが届いたのかどうかわからない。
 
父としては、どこにしなさい、なんてことは一切言わないと決めているので、どの大学を選んでも、考えを改めて浪人を選択しても、どんな思いも尊重して受け入れる考えで、気持ちの上では浪人してもいいからもうワンランク上を目指せばいいのにな、とも思っていた。
 
お金の納付期限が迫る中、息子はサバサバした様子で、受かったところに行くと決めたようだ。
 
自宅から近い大学と少し遠い大学。
志望校ではないからか、近い方が楽かな? などというこだわりのない選択をしようとしていたようだが、最終的に4年間を楽しく過ごせそうな大学はどっちだろう? という目線で遠い方の大学を選んだようだ。
 
うん、それでいいじゃないか。
就職率や通いやすさも大事だけれど、楽しそうという直感で決める、それで良いと思う。
 
私は、大学は学ぶだけの場ではなく、将来の礎となる考え方を磨いたり様々な経験を積む場だという考えが強く、自分自身も4年間好き放題に過ごさせてもらったことが何よりの価値だったと思っているので、どんな選択であっても、気持ちよく背中を押してやりたいと思っている。
 
息子が経験するこの4年間は、一生の中で最も大きな経験値を得られる時間で、望めばなんだってできる無敵の状態、スターをゲットしたスーパーマリオ状態が4年間も続くのだ。
 
この間に、生涯の友に出会い、たくさんの苦労をし、心からの喜びを味わって欲しいと切に願う。
 
金のことは心配するなと大見栄を切ったけれど、本音はあまり負担をかけるなよ、とも思っているが、お金で買えない大切な時間だから、いろいろ我慢してでも、息子の将来のための投資だと思って全面的にバックアップしてやりたいと思っている。
 
息子よ、何不自由なくとはいかないけれど、それでも君が行く大学での時間が一生の宝物となるよう、父も母も全力で応援したいと思っているから、少しだけ遠慮しながらいろんなことにチャレンジして欲しいと思っている。そのためなら母はアルバイトを増やすことも嫌がらないだろう。(少しは感謝しろよ)
 
かつて私がそうだったように、今しかできない経験を存分に味わって、何十年経っても色褪せないキラキラした思い出をいっぱい作って胸を張って社会に出て行って欲しい。
 
いつか、あの時第一志望の不合格通知が届いたからこそこの人生が始まったんだ、と笑えるような時間を過ごして欲しいと願っている。
 
 
 
 
***
 
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2022-02-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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