わたし的「断捨離」のススメ
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:中村まりこ(ライティング・ゼミ2月コース)
耳タコができるくらい耳にする言葉のひとつである「断捨離」。
だいたいこういうワードがよく出てくるのではないだろうか。
「断舎離してから夢が叶い出しました」
「断舎離して無駄なものを買わなくなったのでお金がたまりました」
「断捨離をしたら人生が好転しました」
事実、そういうことが起こっているのだろう。
視界に入るものや景色が変わると、思考も変わり、何らかの変化がおこるという心理学的な事例はよく聞く。
そしてこの手のワードに心が動き、自分も変容したいという、
人間の良くなりたいという変容欲から耳タコになるほど「断捨離」という言葉を聞くのだろう。
「断捨離」というテーマだけで何冊も本が出ていて、雑誌の特集にもなり、
しかも季節ルーティンであるかのごとくコンスタントに見るので、
このタイトルは単純に売れるのだろう。
そう「断捨離」をすることにより、今までの自分と決別し、生まれ変われる錯覚に陥り、
毎年今年こそはと思い、本なり雑誌を買い、着手する。
自分のイメージ戦略のごとく、意気揚々と始めるのだ。
しかし「断捨離」をテーマにした本・雑誌が次々に出てくるということは、
挫折している人が9割なのではないだろうか。
わたしも何度も挫折している。
誰しもがきれいな家に住みたいし、モデルルームのようなホテルのような部屋に憧れる。
憧れの芸能人やフォローしているインスタグラマーがアップしている部屋にして、
あわよくば自分もイメチェンしちゃうかもと過度に期待をしつつ、
「よし!まずは捨てよう!断捨離しよう!」と一念発起をするのだ。
ここまではいい。
一念発起して、さて始めるぞとなると
思考が邪魔するのだ。
「捨てるもの多すぎるけど、何日かかるの?引っ越すの?」
「生きる上での最優先事項、断捨離って?」
「捨てたって、あんな部屋になるわけない」
「もの捨てる前に鏡をみろ」
自分の頭の中でそんな声が響くことはないだろうか。
そして、高ぶっていた「断捨離」への思いは一気に冷め、
冷静に自分の部屋を見渡し、憧れの部屋になるための道のりの果てしなさを痛感し、
適度にきれいにするだけの「掃除」で終わってしまう。
そんな自分を「断捨離」のたびに責めるのだ。
結局、やりきる覚悟がないのだろうと。
よくわからない「断罪」のようなやりきれない感情に葛藤することになる。
それが「断捨離」という言葉が市民権を得たかのごとく聞くようになる
6月と12月の年2回襲ってくるのだ。
そのたびに、一念発起と感情との葛藤を繰り返してきた。
だがしかし、最近、わたしの「断捨離」が進んできている。
「断捨離」を進めるための心の柱ができたのだ。
ある意味、成功の秘訣といっても過言ではない。
その柱はゆるがない決心と覚悟を持って「断捨離」に突き進むことができ、
甘い思考が話しかけてきて挫折しかける自分への問いかけだ。
「突然自分が死んだときに誰かに入られてもこの部屋であることに後悔はないか?」
即答しよう。
わたしは後悔だらけだ。
死んでも死にきれない。
なんなら、誰かが入ろうものならツタンカーメンの呪いのごとく、
私の部屋へ入った人を呪うしかないとさえ勝手に思う。
恥をさらけ出すならば、
いい年にもなっってまだ小学校のときのデスクが部屋に鎮座していたり、
ダイエット用に買った数多の器具やインナーやサウナスーツ、
使いもしないのに買って満足している健康グッズ、
見られたくない写真や雑誌の切り抜きの数々、などなど。
挙げたらきりがない。
あなたはどうだろうか?
誰か、見ず知らずの人が入っても今の部屋に後悔はないだろうか。
人には必ず「死」のときがやってくるが、それがいつなのかは神様は知らせてくれない。
10年後、20年後、もしかしたら、今日か明日かもしれない。
であれば、日々、いつ人生の終わりをむかえても後悔のないように
身の回りは整えておかねばならない。
わたしにとって「死」は、いつも隣にあるものに感じている。
それは、母の突然死を経験したことも大きいが、介護事業にも携わっており、
毎日、いつ誰が急に逝くかわからない現場では、1日がとても大切で貴重であると実感する。
だからこそ今すでに始まっている高齢化社会において、
「断捨離」は終活の一つだとわたしは感じるのだ。
終活は決して高齢になったからするものではなく、
いつ何時でも人生最期の時は誰にもわからないのだから、
今すぐにでもするべきものとしてわたしは捉えていきたい。
その一つが「断捨離」である。
自分のものの始末は自分の責任の上で始末して然るべきなのだ。
他の誰のものでもないのだ、わたしのものなのだから。
残された遺族にとってはすべてが遺品になってしまう。
なかなか遺品整理が進まないのは故人との思い出が、
ひとつひとつの物や服によって鮮やかに蘇るからだ。
それが多ければ多いほど、使わないのに捨てられないものとして、
逝った後にも家にあり続けるのだ。
万が一、わたしが父より先に逝って、この部屋の惨状のまま遺品として残され続けるのは
なんとも後味が悪く、申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
父も高齢でわたしの遺品整理どころではないだろうし、ましてや母の遺品整理は全く手をつけていない。
死んでもなお親に甘えるわけにはいかない。
人様に迷惑も掛けられない。
「断捨離」をするわたしの第一前提はこれに尽きる。
とにもかくにも「断捨離」=自分の終活と考えるようになってから、
先述の自分への問いかけを唱えながら少しずつわたしの「断捨離」は進んでいる。
おしゃれでもなんでもない、あくまでもわたし的「断捨離」のススメ方だ。
そんなわたしにどうしようもない悪あがきのように思考がこんな言葉を投げかけてくることも伝えておこう。
「大地震や台風で家ごと全壊しちゃったら断捨離なんて意味ないよね」
***
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