メディアグランプリ

魔法のレシピとライティング


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記事:飯髙裕子(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
アメリカのテレビドラマで魔法のレシピという番組がある。
知り合いに「これ、めっちゃ面白いから」と言われ、料理に興味をひかれた私は早速見てみることにした。
一話目を見終わって次の回がまた見たくなり、進むボタンをすぐに押してしまう。それが次々と止まらなくなってしまった。こんなに魅了されるなんて……
題名の通り魔法にかかってしまったのか? などと、ありえない妄想まで出てくる始末。
 
ストーリーはといえば、ごく普通の料理好きな仲良しの女の子3人がひょんなことから魔法のレシピ本を手に入れる。そのレシピで作った料理を使って自分たちの身の上に降りかかる数々の問題を解決しながら成長していくというもの。
 
ケリーとハンナとダーウィンの3人は、ミドルスクールに通う仲のいい友達同士。
偶然屋根裏部屋で古いレシピ本を見つける。それが魔法のレシピだと分かり、困ったことを解決するためにいろんな料理を3人で作ることに。
もともとそのレシピ本はケリーのおばあちゃんが同じように仲のいい友達3人と持っていたのだが、あることをきっかけに仲たがいし、レシピ本は彼女たちのもとを離れてしまった。
レシピには魔法のスパイスが必要で、仲たがいしたおばあちゃんの友達がそのスパイスを持っているということから、ケリーたちの周りの人たちも巻き込んだ事件が起こってくる。
そんな経緯からケリーのおばあちゃんに起こる災難を解決しようと、話は進んでいく。
取り立てて珍しいとか奇抜なというものではないのだが、見ている人の心をぐいぐい引っ張っていく感じがする。
そしてその料理の見せ方も秀逸である。
 
例えば、なくしものを見つけるクッキーを作る回では、材料をこねる映像、生地を伸ばしてその過程を見せつつ必ず魔法のスパイスを振り入れる。
女の子3人でも作ることのできる手軽さも惹きつけられる。
出来上がりのクッキーは、こんがりと香ばしい香りがしてきそうだ。
 
彼女たちの作る魔法の料理には、問題を解決する効果とひきかえにリスクがある。
願いをかなえる代わりに失うものがあるのだ。それは、魔法が効いている間だけのものもあれば、何か条件をクリアしないと解けないものもある。
なぞなぞのような注意書きにそれが何かはっきりとわからないままに使って失敗することもある。しかし、彼女たちは、その失敗からいろんなことを学んでいく。
そしてどんな時も3人で助け合って、乗り越えていくのだ。
 
彼女たちが魔法の料理を作るのは、自分たちの大切な人たちへの想いからであり、決して自分たちだけが得をするために使うのではない。
魔法のレシピ本を守る者は、それを正しく使える人たちに託している。
だから魔法のレシピは彼女たちの元を離れずにいるのだろう。
 
私も料理が好きだし、料理を作る人の多くは同じような想いを持っていると思うのだが、その料理を渡す人がおいしそうに喜んで食べる表情。望んでいるのはそれだけなんだと思う。それが見たくてどんな食材が好きなのか、どんな料理が好きなのか、いろんなことに思いを巡らしレシピを考える。
料理の好みは人それぞれでそれを満足させるのは、料理の技術であったり、素材の良さであったり、条件は無数にあると思う。しかし究極のエッセンスは食べる人がおいしく食べられることを考える気持ちなのかなという気がする。
 
魔法のレシピは、映像ではあるけれどそのストーリーは文章でありそして作者は読者に料理という材料を通していろんな思いを手渡しているのではないだろうか。
見る人が心を動かされるいろんな要素を丁寧に、そしていたるところにちりばめている。
だから、次々とそのストーリーが知りたくなってしまうのかもしれない。
そう考えると、ライティングは、料理と通じるところが大きいのかもしれないと思う。
料理は、食べる人においしいと思ってもらうことを目的にしているし、ライティングは読む人に面白いと思ってもらうことが必要だ。
映像も本も、それを見たくてたまらない、読みたくてたまらないと思うのは、きっと、それを渡す側が受け取る人の喜ぶ姿、感動する姿を描いて作っているからなんだと改めて思う。
そのために様々な表現の形を考えあふれんばかりに手渡すことで、人の心を動かすことができるのだろう。
これからもたくさんの文章に触れ、心を動かされることができたら素敵だと思うしそうありたいと思う。
押しつけでも強要でもなく、読む人が自然と惹きつけられてしまうような文章。その先を知りたくてたまらなくなるような文章。欲しくてたまらなくなるような文章。
そんな文章を書くことができるように進んでいきたいと思っている。
 
 
 
 
***
 
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2022-03-02 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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