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「変わりたい」そう願う彼女には、シトリンのピアスを


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記事:中江 園加(ライティング・ゼミ12月コース)
 
 
「私変わりたい! それで、次こそは絶対にいい恋をする!」
そう、高らかに宣言する彼女は、大好きだった元カレと別れてから、もうすぐ二度目の春を迎えようとしていた。
別れた当時は、本当にもう見ていられないくらいズタボロに傷ついていた彼女が、春の訪れと共にようやく前向きな気持ちになれたのは私にとっても嬉しいことだった。
 
彼女は宣言通り、次に会った時には髪を短くしてきた。変わるにはまず外見からということらしい。
元カレと付き合っていた頃から伸ばしていた髪を10cm程切った彼女は、髪色も表情も明るくなって、とても良く似合っていた。
「なんかこれって、元気だった頃の私の髪型だよね」と照れながら彼女に言われて思い出したが、確かにそうだ。私達が出会ったばかりの頃の彼女の髪は今と同じくらい短かった。
「そうだね。すごく可愛いよ」と言いながら、私は彼女と出会った頃のことを思い出していた。
 
 
彼女と初めて出会ったのはもう7年程前のことだ。ちょうど今と同じ桜が咲く季節だった。
初対面の彼女は女の人には珍しいくらいのショートカットで、立ち居振る舞いも凛としていて、表情にも声にも自信に満ち溢れているように見えた。
「あ、ちょっと苦手なタイプかも……」と思ったのも束の間、そのイメージが間違っていることにすぐに気が付いた。
みんなの前で乾杯のあいさつをしている彼女の手が少し震えていたのだ。
彼女の表情も、声もいつも通り凛とはっきりしているが、手だけが震えているのを見た時に「もしかして、自分の弱い気持ちとかをあんまり人に出せない子なのかな?」と直感的に感じて、思い切って彼女に話しかけてみたら案の定「私って強く見られがちなんだけど、本当はすごくビビりなんだよね~。全然自分に自信も持てないし。でも人には格好良く見られたいからなんか強がっちゃうんだよね」と照れ臭そうに話してくれたのがきっかけで、それ以降仲良くなった。
 
一度心のガードが外れた彼女は、最初はあんなにしっかりとしていて、凛として見えていたのに、蓋を開けたら子犬のように懐っこい人だった。よく笑うし、よく怒るし、よく泣く。いつも会う度に何かしら事件が起こっていて、表情をくるくる変えながら一生懸命話している彼女を見ていると、真剣な話でもなんだか面白くなってきてしまって、つい笑ってしまう。
そうすると彼女に「もう! またちゃんと聞いてない! 私は真剣なんだから!」と怒られるが、その怒っている顔すら可愛かった。
 
しかし、大好きだった彼と別れてから彼女はあまり笑わなくなった。それだけではない。元々自分に自信が持てていなかった彼女はすごく自分を否定するようになった。
 
「私になんてできない」
「なんで私にばっかりこんな嫌なことが起こるの」
「どうせ私になんてこの先も良いことなんてない」
 
そんな否定的な言葉ばかりが彼女の口から出ていた。
元々明るくて、優しくて、素直な彼女は、そんな自分に戻れないことにも傷ついていた。
しかし、一番彼女が嫌だったのは、「自分が一番なりたくない自分」になっていたことなのだと思う。
 
生きていれば、嫌なこともあるし、良いこともある。
最低だったと思う日も、最高に幸せだと思う日もある。
誰かに裏切られたり、誰かに助けられたり、孤独を感じたり、愛し合ったり。
本当に一日一日が違う日で、その一日一日に誰と一緒にいるかなんてわからない。
 
でも、必ず「自分」とは一緒にいる。
生きている限り「自分自身」とは離れられない。
その「自分」を嫌になることは「生きているのが嫌」になることときっと同じだ。
誰に嫌われたとしても、自分自身に嫌われることが一番悲しいことなのかもしれない。
 
 
それ程どん底まで落ち込んでいた彼女も、二度目の春を迎えてようやく傷も癒えてきたらしい。前みたいによく笑うようになっていた。
 
そんな前向きになってきた彼女に次に会う時には何かプレゼントをあげよう。
そうだ。向日葵みたいに笑う彼女に良く似合うシトリンのピアスがいい。
シトリンの石言葉は「友情・希望・繁栄」
そしてシトリンは「その人の内面の魅力を引き出してくれる石」
そのままで十分可愛らしい彼女の魅力を思いっきり引き出してくれたらいいな。
「変わりたい」そう願った彼女が短く切った髪型にもこのピアスはきっとよく映えるだろう。
 
 
 
 
***
 
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2022-03-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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